2010年04月06日

ハッピー・リタイアメント







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ハッピー・リタイアメント   浅田 次郎
¥ 1,575   幻冬舎 (2009/11)

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プロローグが面白かった。著者である浅田次郎氏が登場するのだ。

作家として成功した浅田氏は、ある金融機関の職員の訪問を受け
る。三十年前に保証した金を、整理するための書類にサインをし
てくれと言っている。

借金は返せなかった。だが、時効である。もはや返す義務はない
のだが、書類上の手続きが必要だと職員は言う。彼とのやり取り
の後、浅田氏は返済義務のない金を返す決意をした。自分の過去
を清算したいと思ったのだ。

このエピソード、実話なんだって。作家さんは、こんな出来事か
らお話を作るのね。

普段どおりのネタばれ仕様です。読みたくない方、ご注意下さい。

主人公はおじさん二人。財務省をリストラされた野口慎太郎と、
同じく自衛隊を早期退職させられた大友勉。ともに56歳。

財務省を退いた慎太郎に、妻は離婚届を差し出した。子供たちも
家から出て行き、家族はバラバラ。大友勉には妻子がなく、家族
を持たないという点でも二人は共通していた。

慣れた職場を追い出された二人は、全国中小企業振興会という金
融機関に新しい職を与えられる。いわゆる天下りというやつだ。

立派な部屋はあるが仕事はなく、ただぼんやり過ごしてくれと言
われ、二人は驚き、途方に暮れた。

二人の世話をするのは立花葵という四十代の女性だ。美人でスタ
イルもいい。もともとは銀行員だったのだそうだ。

立花葵は矢島という理事と愛人関係にある。矢島はいけすかない
男だ。天下り、官僚主義の見本のような男だ。

葵はあきらめている。愛情のない肉体関係も、無意味といえる仕
事もうんざりだが、高給を得られるこの仕事をやめたいとは思わ
なかった。

全国中小企業振興会、略してJAMSは、戦後GHQが立ち上げた組織だ。
資本のない人にもチャンスが与えられるように、身元保証をする
のがその役割だった。

だが、焦げ付いた債務もたくさんある。本来なら取り立てるべき
債務であるが、JAMSの職員は勤勉ではなかった。借金は放置され
たままだった。

慎太郎、勉の二人から、仕事がしたいと突き上げられて、葵はこ
の債務を「整理」することを思いつく。時効を迎えたものばかり
だ。債権放棄の書類を整えるだけでもよい。返す気がある人を見
つけられたらもうけものだ。

二人は手分けして債務者を当たる。債務者は、経済的に成功して
いる人が多かった。彼らは自分の貧しかった過去を清算するつも
りで、借金の返済を申し出てきた。

金が集まってくる。葵はこの金を外資系銀行に預けていた。そう
すれば追求されないことを知っているからだ。

矢島理事も馬鹿ではなかった。葵たちの動きを知り、金をよこせ
と脅しをかけてくる。葵は決断した。おじさんたち二人に連絡し
て、ハワイに高飛びさせた。もちろん自分も後に続く。

返済額は三億にのぼる。三人で山分けして、これぞハッピーリタ
イアメント……!


なんかなあ。これっていい話なの? 私にはよくわかんなかった。
要は横領でしょ。すがすがしいとは思えないのよね。若い人向け
ではないような気がするわ。

物語の運び方はさすがさすがの浅田次郎。ただ、次郎さんの「泣
き」を期待して読むとやや肩透かしかな。


















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2010年03月30日

悦楽王







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悦楽王  団 鬼六
¥ 1,575  講談社 (2010/2/19)

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ご存知、団鬼六先生の自伝的小説。雑誌「SMキング」の創刊から
廃刊までの嵐のような三年間をつづったもの。

鬼六先生は、もともと関西で英語の教師をなさっていたそうだ。
その後、テレビで放映される洋画のテロップをつける仕事を手に
入れて上京し、ピンク映画の脚本を手がけるようになる。

脚本の仕事は実入りがよかった。翻訳には限界を感じていた彼は、
自ら映画を製作しようと考えて会社を辞める。いったんは成功し
たが、いつまでも下請けでもあるまいと、とうとう雑誌の創刊に
手を出すことになった。

最初の一年は赤字続きだった。出しているのはSM雑誌である。客
はエロを求めているはずなのに、編集者が高尚な思想を前面にう
ち出していたせいだ。

女を縛るだけなど低俗。マルキ・ド・サドとは、ザッヘル・マ
ゾッホとは。こんなお堅い文面のエロ雑誌が受け入れられるはず
もなく、悩む鬼六先生の前に一人の青年が現れた。

一流大学の学生である。自分を編集として雇ってくれと言う彼に、
鬼六先生はある条件を申し出た。入社試験をするというのだ。

試験は、鬼六の前で性交をしろというもの。断るかと思いきや、
アングラ劇団の女を伴ってきた学生は、アフリカンミュージック
を流しながら、奇抜なセックスを披露して見せた。

いやらしくはなかったそうだ。鬼六先生は、そのぶっとんだ光景
に疲弊する。ともかくも彼はSMキング編集部の一員となった。

学生のつてをたどって若者たちを編集者として雇い入れる。未経
験の若者たちだ。他社の編集者たちの助けを借り、新生SMキング
が創刊された。

新しい雑誌は大当たりだった。部数は順調に伸びていく。この辺
りで、編集部に集まる奇抜な人たちの様子が描写され、読んでい
るこちらはため息ばかり。人間は深いと、つくづく思い知らされ
る。

緊縛師の美学。マゾの女。有名人たちとの交流も楽しい。鬼六先
生の自宅には、俳優の渥美清さんが出入りしていたのだそうだ。

また、コメディアンのたこ八郎さんも、先生の下で働いていた。
直木賞作家の胡桃沢耕史さんとも付き合いがあった。胡桃沢さん
が、別名でエロ小説をたくさん書いていたからだ。

SMキングは成功した。たくさんの読者に支持されている。だがそ
の終幕はあっけなかった。

取引先から言われるままに振り出した手形が、不渡りになってし
まったせいだ。取引先は突然倒産し、代表が行方をくらましてし
まった。

SMキング編集部は、明るい解散パーティをする。素人ばかりで始
まった編集部。文字通り、嵐のようなどんちゃん騒ぎを繰り広げ
ていた彼らは、終幕も笑って迎えようとしたのだった。


熱風のような本だった。雑誌創刊にかける若い、ぐちゃぐちゃの
エネルギーに圧倒される。また、文中に描かれている「変態さん」
たちの姿も圧巻だった。すごいわ。

渥美清さんって、寅さんそのままのお人柄だったみたいね。縛ら
れているモデルさんに、「お嬢さん、大丈夫かい?」なんてお茶
を汲んであげたり、優しいの。

青春小説と言ってもいいのかな。そりゃあ鬼六先生だから、叩い
たり縛ったり、もっとすごいのもあるけれど、当の鬼六先生がい
たってノーマルなので、ともに戸惑いながら読むことができる。

しかしまあ、ノーマルとかアブノーマルとか、その辺の区別がば
かばかしくなる一冊ではあるな、うん。
















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2010年03月24日

Invitation






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Invitation  江國 香織 他
¥ 1,470   文藝春秋 (2010/01)

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江國香織、小川洋子、川上弘美、桐野夏生、小池真理子、高樹の
ぶ子、高村薫、林真理子。女性作家八人による短編小説集。

江國香織。夫と別居中の女に、不思議なことが起きる物語。蛾が
入ってきたり、訪問販売の人から買った鉢植えからかたつむりが
這い出してきたり。

ラスト、ドイツ料理店で義妹と食事。義妹が突然、水着に着替え
る場面が圧巻。

小川洋子。外国人の作家の接待を命じられた女の話。作家は巨人
と呼ばれている。

巨人の作品は、話す人がほとんどいない言語で書かれている。巨
人はその家族を、ナチスによって奪われていた。鳥を愛する巨人
の優しい人柄が、少数言語しか話さないというファクターを通し
て繊細に描かれている。孤独の物語。素敵なお話。

川上弘美。主人公は作家。昔縁があった男が、編集者という立場
で彼女の前に現れる。彼に対して欲望を感じる主人公。だが男は、
「寝ない関係だから続いている」と。

桐野夏生。相変わらず後味が悪い。この人、なんでこんな気味の
悪い話を書けるんだろう。脱帽。

時代物。人殺しの罪から逃れるために、異人の船に乗ってポルト
がるまでやってきたヤシロー。日本人の老人に会い、住処に案内
される。

老人はヤシローに縄をかけ、自らの人生を語り始めた。戦国の世
に、親を殺され、兄弟と離れ離れになって、奴隷として売り飛ば
されてこの地にやってきたことを。

小池真理子。夫と別れることを決意した妻。引越しのアルバイト
をしている青年に頼み、家財道具を持ってマンションから逃げる。

高樹のぶ子。一番面白かった。

主人公は介護士。若い女。彼女はある老女から、初恋の人に会い
たいのだと相談を持ちかけられる。

相手は著名な書道家。なんとか逢瀬を実現したが、書道家と親密
になったのは介護士の若い女。介添えてとして付き添っていたの
だった。

書道家は遺言を書く。若い女に財産を譲ると。それは、二人のあ
る計画が成就する瞬間だった。

高村薫。警官の一人語りという形式。あるとき、財布を拾った女
のことが忘れられない。幻のような女。しかし、女は財布を取り
には来なかった。

林真理子。さすがさすがの不倫物。中年の女性の欲望を書かせた
ら、第一人者と言っても過言ではないだろう。

翻訳家の女。十二年前から夫とは別の男に抱かれる暮らしを続け
ている。男は、彼女の体を褒めちぎり、執拗に愛するのだった。

しかし、女は別れを決意する。孫ができたのだ。年齢も気になる。
一度、男が萎えて事が成されぬことがあった。自分はもう、こう
いった情事とは無縁であるのかと女は失意にあえぐ。

男に配慮して、別れを切り出す女。「殺生だわ」と告げると、男
は別の意味にとったようだ。「ここのところ、ご無沙汰だったも
のね。ね、ね、次は部屋を取っておくから」

女の胸に欲望と希望が甦る。


いやあ、ええね。お菓子でも何でも、詰め合わせって好きなのよ、
私。短編だから読むのも気楽だし。おいしゅうございました。











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2010年03月09日

きりこについて








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きりこについて  西 加奈子
¥ 1,365  角川グループパブリッシング (2009/4/29)

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面白かった。町行く人みんなに声をかけて、「この本読んでみて!」
と、大声で叫んで回りたいくらい。(もちろん、現実にはしませ
んよ。私だって一応、常識人のつもりでいるんだから)

さて、語られるのはきりこという女の子の人生。お姫様みたいな
服が好きなきりこだが、百人いれば百人の人が「ブス!」という
ほどの、ひどい容貌をしていた。

だがきりこは、自分がブスであると知らずに育っていた。何しろ
きりこのパァパとマァマ(両親)は、誰もが認める美男美女なの
だ。両親はきりこを、「かわいい、かわいい」と誉めそやして育
てていた。

幼稚園にあがっても、小学校へ行っても、きりこは自分をかわい
いと信じている。クラスの女の子たちにあれこれと指示をして、
女王様のように振舞っていたのだった。

そのきりこはいつか、猫を拾って帰ってくる。きりこの住む団地
はペット禁止であるのだが、その規則を守っている者はいない。
きりこは猫に、ラムセス2世という名前をつけた。

猫は話ができる。猫は賢いのだ。あるときからきりこは、ラムセ
ス2世と会話を交わすようになる。

小学校も高学年になると、男の子たち、女の子たちの間に変化が
生じてくる。女の子は生理が始まり、男の子たちもかわいい女の
子に目を奪われるようになった。

そんなある日、きりこは好きになったこうた君にラブレターを出
すことにした。だが不幸なことに、手紙はクラスメイトに見つか
り、こうた君はさんざんからかわれてしまう。

「やめてくれや、あんなブス!」と、こうた君は低い声で言う。
ハンサムで女の子にも人気があったこうた君は、からわかれるこ
とに我慢ができなかったのだ。

自分が、ブス? きりこはびっくりした。ブスとは何か、かわい
いとはどんなものか。悩み、考えたきりこは、外に出ることをや
めてひたすら眠り続ける日々を送る。

きりこが家の外に出たのは、同じ団地に住むちさちゃんが夢に出
てきたからだった。ちさちゃんはきりこに助けを求めていた。

ちさちゃんは早熟な女の子で、早いうちにセックスを憶えてから、
その快感を追求することに熱心だった。出会い系で男性を探し、
性交に励んでいたのだ。

だが、あるとき、ちさちゃんはある男性にレイプされてしまう。
ちさちゃんがいやだと言ったのに、男は彼女に性交を強要したの
だった。

傷ついているちさちゃんの前に、たくさんの猫を従えたきりこが
現れる。

女性団体に訴えても、「出会い系? あなたが悪い」とけんもほ
ろろだ。望まない性交は、レイプと呼んで間違いがないはずなの
に。

憤ったちさちゃんは、AV業界に身を投じる。ついには制作会社の
社長になり、きりこやラムセス2世とともに、女性が望まない性
交を描く作品を、業界から根絶しようと努力する。

その頃、きりこの前に再びあのこうた君が現れた。容姿しかとり
えがない彼は、暴力団の一員となっていた。

きりこは再び考える。自分は、こうた君のハンサムな顔が好き
だった。だがそれは、自分がブスにとらわれていたように、こう
た君の本当を見ていなかったのではないか。

こうた君も大人になった。人の本当は容姿などではない。それに
気づいた彼は、きりこの真実の姿を見るようになる。


ユーモラス、何度も吹き出してしまう軽い文章が素敵。このお話
ね、猫の視点で語られているんだ。

だから、容貌がどうのとか、人の幸せがどうのとか、他人からか
わいいと思われることが大切なのかどうかとか、そういうことが
とっても自然に胸に落ちてくる。上手なの。

教室で地味だった女の子たち、かわいくて派手だった女の子たち。
彼女らの人生も、「わかるわかる」ってな感じで描かれていて、
女性ならすごく共感できる部分が多いと思う。












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2010年03月03日

鉄の骨







経済エンターテイメント小説。

とっつきにくいと思われる方もおいでかもしれないが、
この人の作品はほんと、映画やドラマみたいで面白いよ。

娯楽に徹している。

銀行、会社、オジサン向け社会派みたいな雰囲気ではあるけど、
基本的にハラハラドキドキ、読んでて飽きることがない。

サービス精神あふれる人なのかなあなんて思ってしまう。

主人公は富島平太。
中堅ゼネコン一松組の社員。

大学を出て三年間現場で汗を流してきた。
その平太に突然、業務課への移動が命じられる。

急な命令に不審を抱きながらも、業務課にやってきた平太は、
そこで談合が行われていることを知り愕然とする。
彼はまっすぐな青年だった。

平太には恋人がいた。

同い年の彼女は、一松組のメインバンクに務めている。

彼女は談合に反対している。
コンプライアンスなどという言葉を口にする。

所詮、守られている世界である銀行。
彼女にはわからないのだと平太は落胆し、
自分が一松組の社員であることを強く意識した。

ある日平太は、常務に連れられて競馬場へ行った。
そこで、大物フィクサーである三島に出会う。

三島と平太は郷里が同じであり、
しかも、彼と平太の母は知己であるのだという。

以後平太は、三島に気に入られ、
常務と三島の連絡役をおおせつかることになる。

一松組は地下鉄工事の落札をもくろんでいた。
公共機関の仕事は入札で決まる。

本来なら各社それぞれの見積もりを出してその場に挑むべきであるが、
業界はこれまで、談合によってその仕事を割り振りしてきた。

ゼネコン会社はどこも青色吐息である。
どこも潰れないように、
談合をして生き延びていくべきだと考えているゼネコンマンは多い。

大手が潰れたときの、社会に対する影響を考えると恐ろしい。
たくさんの子会社、従業員が路頭に迷うことになる。

だが、三島は違っていた。

彼は国会議員の義理の弟という立場から、
「調整役」を引き受けることが多かったが、
このようないびつな状況は長くは続かないと感じていたのだ。

一松組は、新しい工法を開発して地下鉄入札に臨もうとしている。

だが、一松だけがそのうまい果実を手にしてはならんと、
他社の三島に対する工作はひどくなっていくばかり。

この物語では、平太という新人社員が談合に向き合い、
その是非を考えるというすじ書きがなされている。

談合は悪だと、平太もわかっている。
だが自分はゼネコンの社員であり、
生き延びるためには仕方がないことではないかとも考え、悩む。

また、談合に寄らず、
新工法でコスト削減を提案する一松組の社員の姿も情熱的に描かれる。

しかし、各社の工作と、義兄である国会議員の圧力に負けた三島が、
とうとう「調整」を行うと宣言してしまった。

一松は地下鉄工事をはずされ、平太たちは憤る。

平行して、平太の恋愛も描かれている。
同い年の彼女は、銀行の先輩社員に心を奪われる。

平太とは違う、賢くてスマートな彼に、
新しい世界を見てしまうのだ。

だが、彼女は先輩を選ばなかった。
彼と一緒にいて、背伸びをして、
仕事を捨てて生きていくことは、自分が望むことなのか。

ラスト、検察によって談合が暴かれ、国会議員も失脚した。
混乱の中、なんと地下鉄工事の受注は…。
本当の黒幕は誰なのか。


駆け足であらすじだけご説明しているけど、
談合に至る過程とゼネコン各社の攻防、内実。

迫力あって面白いんだよ。

ただ、恋愛話は蛇足ではないかと思う。
思ってしまった。

平太、彼女のために給料の半月分の指輪を買ったりするのって、
今の若い子らしくはないと思うんだよなあ。

それに、談合に対して悩んだり、憤ったりするって、
若い人らしくないような気もする…。

会社が一生面倒見てくれるんだから、
俺も会社の言うことを聞くのさなんて、
ちょっと違う気がするんだけどどうなんだろ?

若い人は、社会悪に対しては、
もっと冷めた目を持っていると思う。
いい意味でも、悪い意味でも。

若者の描き方が一昔前に感じられたのは私だけだろうか。

しかしながら、全体的に見れば、
これが良質のエンタメ小説であることは間違いがない。

文章、構成なんて、その辺のポンチョコリン小説とは比較にもならないすばらしさ。
読んで損はおまへんよ。












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2010年02月12日

ビッチマグネット






MY女王太郎と、頭の中で変換してしまう。
この作家さんの扱いって、数年前の芋焼酎みたいかな、って思う。

通の人たちがこっそりと手に入れ、
その独特の癖に酔い、
自分こそがその「本当の味」を理解しているのだとほくそ笑む。

舞城さんって、そんな作家さん。
一部に熱狂的なファンを持っている。

この作品、芥川賞の候補になりながら、
「タイトルがいや」という理由で減点されたのだそうだ。

文章も、女の子の一人称、とめどなく続く会話、
スレスレの下品さと独特だ。
まあ、クセがあっていいわね。好きな人は好きだろうな。

主人公は香緒里、女子高生だ。
弟の友徳と仲がよく、一緒の布団で眠りながらさまざまな話をする。

香緒里たちの両親は別居している。
父親が浮気して出て行ってしまったからだ。

「カレーライスなんか毎日食えるか」と、去り際に言った父の言葉が、
香緒里には強く心に残っている。
香緒里は恋に興味を持てない。

だが、弟の友徳には恋人がいる。
同じ高校の同級生だ。

テレフォンセックスをする仲の二人は、
あかりちゃんという女の子の出現で、破局を迎える羽目になる。

あかりちゃんはきれいな女の子で、人気者だった。
あかりちゃんと関わってしまったために、いじめにあう弟、友徳。

香緒里はそのとき、大学に進学し、心理学を学んでいた。
友徳の元恋人からいじめの件を知らされ、香緒里は激怒する。

友徳を殴りつける香緒里だが、その怒りは実は
父親に向けたものだと自覚した。

自分は病んでいると思う。
母を誘って病院へ行こうとするが、そのときの母の言葉が笑える。

香緒里は言う。
「お母さん、私たち、おかしいよ」

母は答える。
「ちゃんと生きてたらおかしくなるような出来事がありました」

父の浮気なんてよくあること。

だが、それは個人にとっては普通ではない出来事なのであって、
香緒里は深く傷ついていたのだった。

そんな香緒里だが、恋人ができてセックスも覚えた。
非常に覚めた目で、キスやセックスを語る香緒里がかわいい。

その頃、友徳はまたあかりちゃん関連のトラブルに巻き込まれていた。

彼も進学し、大学は別になっていたのに、
あかりちゃんに助けを求められ、つい応じてしまったのだ。

あかりちゃんが大学の友達にレイプされた。
友徳が怒って男を殴り、怪我を負わせてしまった。
入院代を支払わなければならない。

香緒里はあかりちゃんと対決する。

この事件は、あかりちゃんが仕組んだことだった。
あかりちゃんは金が欲しかったのではない。
友徳に執着するあまり、
「少々オイタがすぎてしまった」のだと香緒里は言う。

「俺、ビッチマグネットって言われてる」友徳が語る。
ろくでもない女、ビッチばかりをひきつける磁石というわけだ。

でも、ビッチって何? 
全ての女はビッチであり、ビッチでない。

弟の危機を救った香緒里は、
父の浮気相手、佐々木花と連絡を取り合うようになった。
自立して生きる花のおかげで、香緒里の世界は広がっていく。

父はかわいいと花は言う。

父はそれに乗じているだけに見えるが、
恋愛とは個々人の考えであって、
花がそう思うならそれでよいと香緒里は考える。

だが、花と父は別れた。そして母も別の男性と再婚するという。
ラスト、家族四人で食事をすることになり、
ユーモラスな場面が展開される。

父がいけしゃあしゃあと語るのだ。

「このたび、離婚することになったのですが、
香緒里と友徳というすばらしい子供を持つことができたのは
大いなる喜びとするところであり……」


ユーモラスな会話に笑い転げながら、
恋について、人生について語る香緒里に共感し、ときに涙する。
読み始めると止まらなかった。

要チェック!の一冊。












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2010年02月09日

食堂かたつむり







岩舘真理子の漫画で、小説を書く女子高生の話があった。

彼女、友人に言われるのだ。

「この小説、あなたが主人公? 
面白いわ。
主人公、四畳半の部屋から一歩も外に出ようとしないんだもの」

映画化で再び話題となったこの小説。
高校生が書いたようなお話だった。

文芸部の、ちょっとコザカシイ女子高生が、
一生懸命考えて書きましたって感じ。

本当に高校生が書いたのだったら、努力賞くらいはあげてもいい。

ただし本気で小説家になりたいんだったら、
もっと世間を知って、人に揉まれておいでなさいと、
アドバイスをつけたくなる。

そんな感じだった。

主人公倫子は、料理人になることを夢見ていた。
恋人と二人、店を出すことを目標にお金を貯めていた。

だが、恋人は突然失踪する。
貯めたお金も家財道具も、一切がなくなっていた。

失意で声が出なくなる倫子。
十五年前、反発して飛び出した母のもとへ戻るため、
夜行バスの切符を買った。

母はスナックを経営している。
田舎の広い敷地に家とスナック、
愛人がくれたモデルハウスの建物を持っている。

倫子はそこに住んで、
モデルハウスで食堂をやっていくことに決めた。

母のペット、豚のエルメスの面倒を見ながら、
倫子は着々と準備を整える。

倫子の手助けをしてくれる、
熊さんという男性が出てくる。

外国人の妻に逃げられた彼は、
倫子の母に愚痴を聞いてもらったことに恩義を感じて、
何かと倫子に協力をしてくれる。

熊さんの登場、人となりがあまりにも都合が良すぎる。
また、食堂を開いてからのとんとん拍子ぶりもまた、都合は良すぎる。

だが、愛する人を失った老婆が、
倫子の心づくしの料理を食べて、生き生きと立ち直る場面など、
ありがちながらええんやない的な描写もある。

ざくろのカレー、季節野菜をいっぱい煮込んだスープなど、
細かい料理の描写も、努力賞に値するくらいの書きこみではあるんだ。

しかし、よせばいいのに作者、
この物語を文学にしたかったみたいなんだな。

ほんわかスイーツファンタジーで終えればよかったのに、
後半部で突然、物語が俄然リアリティを帯びてくる。

否、リアリティを帯びさせようとする著者の姑息が感じられる。

リアルといっても、所詮高校生が感じる程度の現実なんだ。

本物の下品を知らないくせに、下品を描こうとするから、
ことごとくはずしてしまって読者を混乱に陥れる羽目になる、
恐ろしいラストシーンが待ち構えている。

倫子の母が突然言うのだ。

「アタシ、処女なの。
好きな人がいたけどかなわなかったから、
適当な男の精子をもらって、水鉄砲でアンタを身ごもったの」

ううっ、これはドン引きだった。
こういうの、面白い?
私はダメ。

そして母の恋人登場。

ずっと行方が知れなかったはずなのに、
思い出の人が突然母の主治医として登場して、
母が末期がんであることが明かされるのだ。

これも引いた。
突然のがんって、恋空以来それは禁じ手やで。

そしてそして、母を送るパーティのため、
倫子はペットの豚を解体して料理を作る。
この描写、やたらと長く、詳しい。

どうせ、豚を飼って
最後は食べちゃう学校の話なんかから思いついたんだろうけど、
突然すぎて。

食べたいという気持ちが理解できず、
ただ恐ろしいだけの一幕だった。

最後、命を大切にすることを学んだ倫子は、
家の前で死んでいた鳩を調理して食べる。

もうな、これはため息しか出んよ。
アッパレとしか言いようがない。

……違うやろ、それは。

前衛的でしょ、芸術でしょ、命の大切さでしょ、これぞ文学でしょ!

著者の意図も努力もわかるんだけど、
あんまりなあ、ぐぐっと引き込まれはしなかった。
浅いんだよ。

もういっそ、死んだオカンも食べてしまえと思う私だ。
そしたら、食べる=愛の図式が見事に完成するではないか。
オカンの指でもくわえてみせればよかったんだ。
いっそな。

だけど、ネットで酷評されているほど腹立たしくは感じなかった。
どうでもいいの。
どうでもいい本だった。

お勧めもしない、嫌いもしない。
書いた人も、読んだ私もお疲れさんって感じだな。













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2010年01月18日

廃墟に乞う







昨日の「ほかならぬ人へ」のふんわりフォントと大違い。
がっちりした明朝体が目にささる。

雰囲気もずいぶん違って、
こちらは大人向けのハードボイルドのようだ。

第142回直木賞受賞作品。
短編6つ。

主人公は北海道警の刑事、仙道。現
在休職中の身である。ある事件が原因で、
医者から職務につくことを止められている。

・廃墟に乞う

デリヘル嬢が殺された。
顔を鈍器で滅多打ちにされたのだ。
仙道にはその手口に心当たりがあった。

13年前、彼が担当した事件と類似している。
仙道は、その事件の容疑者が言った言葉が、
どうしても忘れられないでいた。

古川というその容疑者は言った。
お前は、俺が育った町を知っているか?

仙道は古川の故郷に向かう。
炭鉱が閉山されてから、ずっとさびれたままの町だ。

そこで古川は、想像を絶する貧苦の中で生きてきた。

体を売っていた母は古川の妹を殺そうとし、
それに失敗すると、子供を捨てて失踪した。

古川は仙道に会いに来た。

母が妹を殺そうとしたその現場、ダムに立った古川は、
自分はもっと早くに死んで入ればよかったと言った。
仙道が止めるのもむなしく、古川はダムに身を投げる。

・博労沢の殺人

大畠という男が死んだ。
大畠は以前、殺人事件の容疑をかけられたことがあった。

彼は自宅で殺されていたため、家族にその疑念が向けられた。
二人の息子ともうまくいっていなかったようであるが、
しかし、家族は潔白であるようだ。

仙道はあるカフェバーで、大畠の次男と対面する。
次男は、大畠が殺されても仕方がない人間だと語った。

大畠が殺したとされる男には、どうやら息子がいたらしい。
そのことを突き止めた仙道は、
大畠の家に最近雇い入れられた青年に目をつけた。

では、その青年に「真実」を告げた者は誰なのか。
彼は父を知らずに成長したはずなのだ。

仙道の脳裏に、次男の憎悪の言葉がよみがえる。

・復帰する朝

有名な菓子メーカーの一族の女性が殺された。
その容疑者の姉が、仙道を頼って電話をかけてくる。

妹がマスコミの攻撃にさらされている。
守ってほしい。
潔白を晴らしてほしい。

仙道はその町を訪れるのを躊躇した。
休職の原因になった事件に関わる、かつての同僚がそこにいたからだ。

三年前、仙道はある通報を受けて現場を捜査していた。
マンションの一室の前に立つ。
男が出た。

不審があったが立ち入ることはしなかった。
結果、男は女性を惨殺して自殺した。

女性の遺体を発見したのは仙道だった。
浴室のドアを開けた彼は、体から切り離された女性の首と対面した。

以後、仙道は小部屋のドアを開けることに
恐怖を感じるようになっていた。

ためらいつつ出かけた仙道だが、
そこにマスコミの姿を見ることはできなかった。
妹への嫌疑もあらかた晴れている。

仙道は気づいた。姉は妹を陥れようとしている。

警察へ行こうと、仙道は思った。
事実を話そうと思った。

そのとき俺は、刑事の顔をしているだろう。
仙道はそう考えるのであった。


面白かったよ。
犯罪っちゃ、悲しいもんだなあとしみじみ思った。
主人公も、犯人も、犯人に関わる人たちも、みーんな弱いのよね。
それがいい。

今回の二作品、毛色はまったく違うけど、
どちらもとても楽しく読めた。
お好みに合わせてどうぞ、というところだな。














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2010年01月17日

ほかならぬ人へ






このメルマガを読んでいる皆さんはきっと、
私の非常識さ、偏見、馬鹿ぶり、教養のなさにあきれ果てておられることと思う。

私はこれまで、その粗暴で愚かな性格のため、
いわゆる恋愛小説というものに多大な偏見を持っていた。

アホくせえ、と女性らしからぬ台詞を吐いて
本を投げ捨てたり(?)していたのだ。

馬鹿だった。
いいものを読んでなかっただけなんだな。

にゃー、泣いたぜ、オイラ。
第142回直木賞受賞作品。

主人公、宇津木明生はいわゆる名家の出である。
だが、優秀な家族に比べて、彼には特別に秀でたものが何一つなかった。

自分は生まれそこないなのではないか。
別に本当の家族がいるのではないか。
そんな思いを消すことができない。

彼は一族と関わりのないスポーツメーカーに就職した。
そして、接待に出向いたキャバクラで、一人の女性と恋に落ちる。

彼女の名はなずな。
美しい女性だったが、彼女も明生のことを
一目で気に入ったようだった。

父親の浮気で苦しんだ過去を持つ彼女は、
明生の実直さに惹かれたのだと語った。

二人は出会って一ヵ月半で結婚を決めた。
が、明生の実家はいい顔をしなかった。
明生には、渚という婚約者がいたのだ。

明生はなずなを選び、幸せな結婚生活を送っていた。
だが、なずなの幼馴染、真一が離婚したことをきっかけに、
二人の間に亀裂が生じ始める。

なずなと真一は恋人として交際していたことがあった。
真一が別の女性と結婚することになったとき、
なずなは酒びたりになって真一の妻に暴力を振るったこともある。

なずなは家を出て行き、明生は会社の上司、
東海さんに相談を持ちかけるようになった。

東海さんは、自称ブス、ブサイクな女性であった。
しかし、仕事熱心で料理もうまい。

「体型は努力でなんとかなるから」という言葉の通り、
プロポーションも見事なものだった。
その東海さんの体からは、彼女によく似合ういい香りがするのである。

努力家の彼女には、悲しい過去があった。
肺がんを患ったために、身ごもった子供を失っていたのだ。
そのことが原因で離婚も経験している。

一方、明生の婚約者であった渚は、明生の次兄に恋をしていた。
だが、次兄が愛していたのは長兄の妻である。
世の中の理不尽を、明生は嘆く。

明生は会社の命令で中国に出張し、その間になずなと別れた。
なずなは、「真ちゃんじゃないとだめ」なのだという。

そして、渚は若くして不幸な死を遂げていた。
次兄に交際を迫った渚は、ふられた寂しさを抱えたまま、
交通事故に遭ったのだ。

明生は思う。もし渚が自分を好きであったら、
自分は渚の手をとっていたかもしれない。
もし次兄が、兄の妻ではなく渚を好きであったら。

渚は、人間にはベストの相手がいて、
それを得ることができれば、人の人生は成功なのだと言い残して死んだ。

なずなと明生は、ではベストではなかったのか。
なずなにとってベストとは、やはり真一以外にはいなかったのか。

明生は東海さんと結ばれることとなった。
仕事にも家事にも手を抜かなかった東海さんは、
肺がんを再発して他界してしまう。

死後、明生は彼女の体から発していたいい香りの謎を知る。
彼女は香水などつけてはいなかった。
明生にとって恋しいあの香りは、彼女自身のものだったのだ。


フォントというのか、文字の形がまたいいやね。

柔らかく、丸みを帯びた文字を見ているだけで、
この切ない世界に引き込まれていくよう。

文章はいたってシンプル。
読みやすい。無駄がない。

明日は佐々木譲氏の「廃墟に乞う」です。
お楽しみに?!

















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2010年01月11日

掏摸







面白かった。
もともと私はこういうお話が好きなんだ。
満腹!

主人公はスリを生業としている。
新幹線のホームで、電車の中で、コンサートホールで財布を盗み取る。
彼が狙うのは裕福な者だけだ。

それはかつて、共に仕事をしていた石川という男の哲学でもあった。
(描写では、この石川が主人公の師であったようである)。

彼は考えている。
石川はもうとっくに死んだに違いないと。

あるとき、彼は得体の知れない人物から頼まれた、
危ない仕事を石川と共にしたことがあったのだ。

彼は電車の中で、女性とに痴漢をしている男から財布を奪いとった。
警察にも行けはしないだろう。

それを見ていた立花という男が、彼に声をかける。

立花もかつて、石川の死の原因となった仕事に関わっていた。
またあの人物が動き出したらしい。
立花はそう言う。

うんざりした気分でスーパーに出かけた彼は、
そこで子供に万引きをさせている女を見つけた。

彼は、その親子に警備員が目をつけているのに気がついていた。
彼は親子を助ける。

以来、子供がなついてくるようになった。
女は売春婦である。ヒモの男が、子供を殴るのだという。

彼はやがて、石川を死に追いやった
得体の知れない人物との接触を持った。

木崎という名の、裏社会の人間であるようだ。
木崎は、裏社会の情報をもって株を操作していた。

木崎は彼に命じた。
三人の人間から、あるものを奪って来いと。
それができなければ、万引きをしていた親子を殺すと。

彼は従わざるを得なかった。運命は木崎の手の中にある。
木崎は、人の運命を支配することに快楽を感じていた。

一人目、携帯電話を盗むことは成功した。
二人目、毛髪と指紋のついたライター。これも成功。

三人目は書類のすり替えだが、これには問題があった。

木崎が目をつけた男は、
コートの内ポケットに書類をしまいこみ、縫いこんでいたのだ。

仕事に挑む前に、彼は子供を施設にやることに決めた。
虐待されていた子供に、スリの仕事を教えることはできた。

だが、正しい道へ戻してやりたいと彼は感じたのだ。

後顧の憂いを経って、決死の覚悟で彼は男の後を追う。

書類のすり替えは見事成功した。
だが、彼を待っていたのは木崎の無残な言葉だった。
「お前はここで死ぬ。俺がそう決めていた」


面白かった。
先にも言ったけど、こういうお話、私は好きなんだ。

スリの場面のスリリングさ(駄洒落とちゃいまっせ)や、
主人公のひたすら己を追い詰めていく心理描写など、文章が素敵。

ああ、これが小説でっせ、という幸福な気持ちに浸りながら読める。
幸せだ!

欲を言うなら、もう少し長い物語にしてほしかった。
石川の過去など、もっともっと読んでみたいことがたくさんある。

時間がたつと。その辺が物足りなく思えてくる。














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2009年12月20日

無理/奥田英朗







東北地方、ゆめの市という架空の都市を舞台に、
5人の人間の人生を描いた物語。

相原友則
公務員。生活保護を管轄する部署に配属された。
ケースワーカーとして働いている。

友則はうんざりしている。
弱者を装い、不正に生活保護を受給する人間がいかに多いことか。

友則は、ある受給者のパチンコ通いの証拠を得るために
パチンコ屋で張り込みをしていた。

そこで主婦売春が行われていることを知り、
つい顧客となってしまう。

彼は生活保護の受給を不許可とした市民から逆恨みされ、
命を狙われる。

その市民が生活保護が必要な水準であることは友則もわかっていた。
だが、役所は受給者の数を減らそうとやっきになっている。

久保史恵
高校生。田舎で暮らすことにうんざりしている。
華やかな都会に憧れ、東京の大学に進学することを夢見ている。

ある日史恵は、男に拉致され、監禁されてしまう。
男はゲームオタクで、史恵をゲームの中のお姫様として扱い始める。

加藤裕也
営業マン。彼が売る商品は、
漏電防止装置という詐欺まがいの商品だった。

だが、彼のような暴走族上がりの人間が
勤められるような職場は他にはない。

彼には子供がいた。
妻とは別れ、妻は生活保護を受給している。

裕也が勤める会社は、社員同士をあおって競争させ、
老人をだまして商品を売りつけるような会社だ。

ある日、思い通りに昇進させてもらえなかった先輩が、
「社長を殺した」と裕也のもとにやってきた。

堀部妙子
万引き犯を捕まえる保安員の仕事をしていた。
契約社員であるため、社会保障費は自分持ちだ。

給料は手取りで16万。一人暮らし。
新興宗教を信じている。

ある日妙子は、捕まえた主婦を宗教のセミナーに誘い、
万引きを見逃してやった。そのことがばれて会社をクビになる。

おりしも母が倒れ、同居している兄は面倒を見ようとしない。
仕事がなくなってしまった妙子だが、
一人の部屋に母を引き取ることに決めた。

山本順一
父は政治家だった。
その基盤を継ぎ、市会議員を務めている。

順一の周りにはさまざまな問題がある。

引退した後も、彼をいいように使おうとする元大物政治家の老人。
彼を頼ってくるやくざまがいの者たち。
敵対する市民団体の主婦たち。
買い物におぼれる妻。

順一はある日、彼の支持者である男が、
市民団体の主婦を拉致したという話を聞いた。
現場に乗り込んだ順一の目の前で、男は主婦を銃で撃ってしまう。

死体をトランクに詰め、逃げる途中で事故に遭う。

ラストは、この5人全員が事故現場に居合わせるというオチ。
史恵は男から解放され、
順一と裕也は隠していた死体が発見される。

友則を狙った男は死に、
妙子は怪我を負ったために
新しく決まりかけていた仕事がなくなってしまう。

貧しさゆえ、行き詰る地方都市というくらーい物語だった。


分厚い本だったので、最初は戸惑ったけど、
読み始めるとすらすら進めることができた。

ジェットコースターに乗っているみたい。
どうなるの、どうなるの、と飽きることがない。

でも、私は読み終わってもそれほどの感動はなかった。
地方都市に住んでいるので、
ま、こんなもんか、というのが正直な感想。

ずいぶん誇張されているとは思うけれど、
「ええっ、こんな実態が?!」ってな驚きはないのよね。

しかし、私のその感想こそが、
作者の力量の確かである証拠だと思う。

この陰惨な物語が、非現実的な寓話ではないって、私は思うんだよね。














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2009年11月24日

あるキング







アマゾンのレビューでは、あんまり芳しくない評価が多いみたいだけど、
私はとっても楽しかった。

著者本人が楽しんでいるのが伝わってくる(と、私は思った)。
先生、遊んでるな。そんな気持ちなる、楽しい作品だった。

仙醍市に住む山田夫妻は、当地の弱小野球チーム、
仙醍キングスの大ファンだった。

夫婦に男児が生まれたその日、
彼らが長年応援してきた仙醍キングスの監督が死んだ。

引退試合にボロ負けした上、
ファウルボールをよけて、ベンチに頭をぶつけたのだ。

夫婦は落ち込んだりはしなかった。
彼らの息子こそが、仙醍キングスの救世主になることを
「知っていた」からだ。

息子は王求(おうく)と名づけられた。

王が求め、王に求められる子に、という意味であった。
同時に、「王求」と並べて書くと、
「球」という字に見えることも二人は気に入っていた。

夫婦は王求に心血を注いだ。王求は小学校の授業を終えると、
母親と練習をし、バッティングセンターに通う日々を送っていた。

選球眼がよかった。投げられた球は全てホームランにしてしまう。
リトルリーグの試合では、敬遠ばかりされてしまうため、
山田夫婦は相手の監督に贈り物をした。

王求にまともな球を投げてもらうためである。

王求は中学生になった。
体格がよく、ストイックな王求は目立つ。

上級生に呼び出され、殴られた。
それを知った父は、その上級生を呼び出して殺してしまう。

王求には不思議な女たちの姿が見える。
黒い服をまとった、三人組の女たちだ。

彼女らはまるで、歌劇の舞台回しのように王求の人生を歌い上げる。

高校生になった王求。甲子園でも注目の的だ。
だが、父親の罪が暴かれ、高校を退学せざるを得なくなってしまった。

プロになる実力はある。名を偽ってプロテストを受け、
仙醍キングスへの入団を果たす王求。

ここでも、難なくプロの球を打ち、
周りはその隔絶した才能におののき、自信を喪失する。

中でも、彼を恐れていたのは仙醍キングスの監督その人であった。
監督のもとへ王求を中傷する手紙が届き、
監督はいつの間にかその手紙を信用するようになる。

ある日、王求は打席へ向かう途中、わき腹に痛みを感じた。
コーチが王求を刺したのだ。

コーチは監督と長い親交があった。
監督の手を汚すよりは、と思ったのだ。

王求は生まれて初めて、その完璧だった打撃フォームを崩し、
素人のような姿勢で本塁打を打った。
彼の人生の最後の打撃だった。


はい、あんまり深読みすべき物語ではないように思います。
ただ、一人称、二人称、三人称が入り乱れる
遊びたっぷりの文章を楽しめばいいんじゃないでしょかね。

王求は野球以外に興味がない、人らしい情緒がない人間である。
その親の王求への熱中も常軌を逸している。

それを責めたり、意味を求める小説ではないだろう。
幕間の黒服女たち、シェイクスピアのせりふなど、
著者の遊びを一緒に楽しみたいところ。

私はけっこう好きだ、この小説。














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2009年10月27日

森に眠る魚






読み始めてすぐうんざりした。
読んでいる途中も気分が悪かった。
だけど止めることができなかった。

東京都文京区の「お受験殺人」をモチーフにしているようだが、
事件の場面はぼかして描写されている。

事件そのものよりも、そこに至った女性たちの心理描写がすさまじい、恐ろしい。

・繁田繭子
義理の父親の遺産をあてにして、
東京で分譲マンションを手に入れた女。
娘の名前は理央。家事は苦手。

東京のマンションは、彼女には分不相応だった。
住人の江田かおりと知り合いになるが、
彼女とは生活レベルがまるで違う。

かおりに子供の古着などをたかるようになり、
やがて消費者金融に手を出してしまう。

・久野容子
長野県出身。
学生時代も東京で過ごした。

お金持ちで恵まれている同級生を、まぶしい思いで見つめながらも
自分とは違うのだと言い聞かせて過ごしてきた。

子供を生んで、繁田繭子、江田かおり、高原千花、小林瞳らと、
いわゆるママ友になる。
依存しがちな性格。

子供は人見知りをしがち。
お受験に悩み、小林瞳に頼りきりになる。

・小林瞳
私立校に通っていた。
登校拒否、拒食症を経験している。
それがきっかけである宗教団体に関係し、夫とはそこで知り合った。

今はボランティアなどもして、精神的には強くなった。
子供を私立に入れたいと思う。

自分が私立校に通っていて、
登校拒否をしたときもケアがしっかりしていたからだ。

お受験には情報が必要だが、
ママ友の高原千花が一人だけ抜けがけしているように感じる。
お受験に成功したのは瞳の子供だけ。

・高原千花
自由奔放に生きる妹にコンプレックスを抱いていた。
夫は高収入で申し分ない生活を送っているつもりだ。

ママ友の繁田繭子には、その無邪気さに好意を抱くが、
やがて彼女のずうずうしさにあきれるようになる。

また、繭子を通じて江田かおりとも知り合いになり、
彼女の知人にお受験の相談をする。
その知人とは、江田かおりと長年不倫関係ある男だった。

・江田かおり
編集の仕事をしている。

娘がおり、娘は一度私立の受験に失敗している。
不倫相手の娘がいる学校に通わせたかったのに。

かおりは仕事も家事も完璧にこなしているつもりだった。
なのに娘が学校に行きたくないという。
娘は、同じマンションの繁田繭子の家に出入りしていた。

部屋に合わない粗末な家具のある繭子の部屋。
掃除も行き届いていない、
スナック菓子を袋からそのまま食べるような繁田繭子。

嫌悪していた繭子から、かおりは恐ろしいことを聞かされる。
娘の異変に気づき、
かおりはこれまで築いてきた世界が崩れたことを知った。


五人の主婦。
最初は仲がよく、受験なんて、
子供はのびのびと育てたいと話し合っている。

少しずつずれていき、
追い詰められていく心理描写がこの本のキモ。

同じ女として、嫌で仕方がないのに
読むことを止められない迫力があった。

ゆっくりじっくり、手に汗を握りつつ読む一冊。














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2009年10月14日

新参者






東野圭吾の新作ミステリー。
短い物語を重ねてひとつの事件を描き出す。

物語はそれぞれ、
人情味あふれる、読後感のいいものになっている。

ネタばれありなので、読みたくない方は、
今日はここでやめておいてください。
ごめんなさい!


小伝馬町で女性が殺された。
45歳、独身、一人暮らし。

事件を追うのは加賀という刑事。
赴任してきたばかりの新参者だ。

煎餅屋の娘

古い町並みの中にある商店街の煎餅屋に刑事がやってきた。
出入りの保険外交員を疑っている。

外交員が保険金請求に必要な書類を取りに来た時間がおかしい。
アリバイが不確かだ。

だが、それは家族と示し合わせた芝居であった。
祖母が外交員に渡したのは偽の書類。

本当の書類は別の場所で受け取っていたため、
手続きの時間と齟齬が生じていたのだ。

本当の書類に書かれていた病名はがん。
これを隠すために、外交員は警察にも本当のことは言えなかったのだ。

瀬戸物屋の嫁

商店街の瀬戸物屋、嫁と姑の仲が悪い。
嫁の好きなキティちゃんのタオルを、
姑が雑巾にしてしまったのが原因だった。

その店に、被害者が訪れていたと聞いた刑事がやってくる。
嫁は被害者にある刃物の購入を依頼していた。

加賀が調べたところ、嫁が頼んだのは歯の悪い姑のための、
食べ物を切るはさみだった。

洋菓子屋の店員

その洋菓子屋に、被害者は何度も足を運んでいたようだ。
店員とも親しく、
妊婦である店員に安産のお守りを渡したこともあった。

被害者には息子がいる。
彼女は離婚していたのだった。

被害者は、洋菓子屋の店員を息子の彼女だと誤解していた。
遠くから二人を見守っているつもりであったようだ。

翻訳家の友

被害者は翻訳の仕事をしていた。
といっても、まだ駆け出しである。

独身時代からの夢であったその仕事をサポートしているのは、
翻訳で身を立てている友人だ。

友人は、近々外国に住む人と結婚するつもりだった。
日本を去ると告げると、被害者はひどく落ち込んでいた。
仕事の不安があったのだろう。

殺された日、会うはずだった二人だが、
予定が狂ったために被害者は殺された。
自責の念にかられる翻訳家。

加賀刑事は被害者の足取りを追ううち、
被害者が二人のために夫婦箸を購入しようとしていたことを知る。

民芸品屋の客

その民芸品屋には、選りすぐりの品が置かれていた。
店主の道楽のような店だ。
そこで独楽を買っていった人物を、加賀刑事は追う。

事件の日、近くの店で独楽が盗まれていた。
そして、被害者の夫の会社の税理士が、
その独楽を息子夫婦に土産として持ってきていたのだ。

息子夫婦の子供にあげようとしたその独楽には、
ひもがなかった。
ひもをなくした、と税理士は言った。

税理士の息子夫婦は贅沢な暮らしをしていた。
穴埋めのために、被害者の夫の会社から金を着服していた税理士。

税理士は、被害者から金の相談をされていた。
被害者は、仕事の不安と、
彼女の息子の援助のために金を必要としていたのだ。

加賀刑事は、民芸品屋の独楽を調べ、
そこから出た税理士の指紋を証拠として提出した。


さまざまな人の暮らしを描き、
被害者女性の人柄、生き様をあぶり出している。
犯罪者の弱さも十分に伝わってくる。

飽きずに読める。面白い。













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2009年08月14日

終の住処






というわけで、今日は暴言。
第141回芥川賞受賞作。

彼も、妻も、結婚したときには三十歳を過ぎていた。

二人とも、二十代の長い恋愛を終わらせたばかりで、
疲れたような、あきらめたような顔を見合わせて夫婦になった。

新婚旅行のときから、妻は怒っているようであった。
彼には心あたりがない。

あるときなど、一晩中妻ににらまれていたような気がして
ぞっとしたことがあった。

彼は製薬会社に勤めている。暮らしに困ることはないが、
しかし、車も持たず外食もせず、つつましやかに暮らしていた。

あるとき、彼はある女と関係を持つことになってしまった。
会った翌朝には必ず後悔するというのに、
なぜか女と別れることができない。

決意して、妻に離婚を言い渡そうとしたとき、
妻が身ごもっていることを知らされた。
女とは別れた。

その頃、世の中の景気は上向きになりつつあった。
プラザ合意が結ばれ、
円高による輸出不振を恐れた日銀が公定歩合を引き下げた。

これによって、内需が活気づいたのだ。

彼の前にはまた、新しい女が現れていた。
サングラスをした女で、彼の理想そのもののように思えたのだ。

このままではいけないと、
ある日彼は妻と娘を連れて遊園地に出けた。

その日から、妻は彼に話しかけることをやめてしまい、
実に11年もの間、夫婦は一度も口をきくことがなかった。

彼はその11年の間に8人の女と付き合った。

ようやく二人が会話をしたのは、
彼が「家を建てる」と宣言した日である。

妻は自然に「そうね、そういう時期ね」と答えた。

信頼できる職人とめぐり合い、家を建てた。

彼は会社の仕事でアメリカに出向いた。
アメリカの製薬会社との合併話をまとめるためだ。

商談は難航したが、
一年と七ヶ月の時間をかけてなんとか合意にこぎつけた。

帰国すると、娘はアメリカに留学していると妻が言う。
自分はまるで知らされていなかった。

妻の顔は、結婚したときと変わらないように思えた。
その瞬間、彼はこの家でこの女と死を迎えるのだと知らされた。


あー、なんというかね、もう。
これが「ブンガク」なのかいね。

あのね、読者はね、
お利口ちゃんの観察日記なんか読みたくないわけなのよ。

自分だけ傷つかない高みにいて、
下界を見下ろすような視線の「小説」、
もうやめてくれんかいね。

小説を読むのはね、
揺さぶられたいからなのよ、ハートっつうやつを。

小難しい文でもいいのです。
わかりにくい表現でもいいのです。
がつんとくるアツイ何かがほしいんです。

妄想なら妄想でもいい。
狂気の渦に巻き込まれるような厚みと情熱を見せてくれ。
ガルシア=マルケスがやったように。

妻が機嫌悪いんです、
だから女と浮気してまうんです、
そんで皆さん聞き分けがよくて修羅場にはならのです、
出世もしちゃって大変なんです、家も建てましたって、ねえ。

修飾でごまかすな!逃げるな!人の本性に立ち向かえ!

それをしなければ、文学なんてこの世に必要ねえじゃねえか。






暴言だなあ。
無学非才の身で、こんな言葉を吐いていいものか。
改めて反省中。





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2009年07月29日

鷺と雪






第141回直木賞受賞作品。

短編三つ。舞台は昭和初期の東京。

主人公は学習院に通う令嬢、花村英子。
好奇心にあふれ、しっかりとした志を持ったお嬢さんだ。

彼女がささいな事件に巻き込まれ、
お抱え運転手の協力を得て謎を解決するという形式で物語が進んでいく。

運転手の名前は別宮みつ子。

博学で機知に富んだ女性で、
主人公は彼女のことをベッキーさんと呼んでいる。

・不在の父

英子の友人、桐原道子は侯爵家の令嬢である。
ある日英子は、道子の義理の小父が
行方不明であることを聞かされた。

小父は子爵、名門の家の人間である。

彼がルンペンをしているといううわさを聞いた英子は、
さっそくベッキーさんとともに貧民が暮らす町へ出かける。

そこで子爵は馬さんと呼ばれ、たくさんの人に慕われていた。

面会した英子に、子爵は
華族の暮らしが自分には合わなかったのだと言い、
そこから逃れ、無になりたかったと語った。

数日後、「馬さん」はトラックから幼児をかばい死亡する。

・獅子と地下鉄

老舗の和菓子屋の息子が、夜中に警察に保護された。
まだ小学生である。

彼は中学受験を控えていた。
手がかりは日記に記されたライオンという言葉だ。

東京にいるライオン。三越デパートの前のあれではないか。

英子は、彼が
「誰にも見られないでライオンにまたがったら希望がかなう」という
ジンクスを実践しようと試みたのだと知る。

・鷺と雪

英子には、若月という知人がいた。
若月は陸軍少尉である

昭和十年、修学旅行に出かけた英子は、
級友の千枝子がカメラを持っていないのをいぶかしく思っていた。

千枝子が金に不自由しているわけではない。

やがて英子は、千枝子がある写真におびえていることを聞かされ
る。
いないはずの婚約者の姿が写った一枚があるというのだ。

台湾にいるはずの婚約者がなぜ。

ベッキーさんの助けを借りて調査に奔走する英子。

千枝子の友人のいたずらだったと知り、胸をなでおろす。

年が明け、昭和十一年二月。

若月から本を贈られた英子は、お礼に時計を選ぼうとした。

時計店にかけた電話が、
なぜか若月につながってしまう。

電話を切って確認すると、
英子がかけた電話番号は首相官邸のものだった。

二月二十六日。
雪の朝、英子はこの記憶を生涯忘れないだろうと思った。


英子とベッキーさんが活躍する物語は、他
に二作があるシリーズ作品であるようです。

私は他の二作を読んでいないので、
最初人間関係がわからずに戸惑った。

また、子爵だの侯爵だのって、
私の現実からは遠い存在なので、
これにもなかなかついていけなかった。

でも、背景になる昭和の暗い時代と、
二人の明るい活躍ぶりの対比が、だんだんとツボにはまってくる。

鷺と雪は、この後が読みたい。
とてもとても続きが読みたくなる。

そんな余韻がなんとも素敵な一冊でした。











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2009年07月24日

地獄番 鬼蜘蛛日誌






昨日も泣いた、今日も泣いた。

人によってはグロテスクと感じられる場面もあるかもしれない。

私自身、恐ろしくて読み飛ばした場面もあるが、
陰鬱な気分になる小説ではない。

主人公は生前女郎だった女。

彼女は閻魔の裁きによって蜘蛛に姿を変えられ、
地獄の番をしながら日誌をつづっている。

小説は、彼女の日誌という形で語られている。

蜘蛛になった女は、地獄の鬼たちの用件を満たしてやる。
なます地獄にいる鬼たちは、
亡者の体から手や足を切り取って自分の体に縫い付けている。

縫ってやるのは女だ。

鬼は生きているとき、醜さのためにそしられた者だという。

美しい人間の手や足を体いっぱいに縫い付けている鬼に、
蜘蛛になった女は奇妙な哀れみを抱く。

女が女郎になったのは、母に売り飛ばされたからだ。
その母も春をひさいで生きていた。

苦しみの中を生きた女は閻魔を、神仏を恨んでいる。

弱い人を救わずに高説をたれやがって、閻魔にいつか復讐してやる、女はそう、日記に書き綴る。

ある日、女は天井に開く穴を見つけた。
空に続く穴だ。

一人の鬼とともにそこに上った女は、
鬼が人間になって消えていくさまをみた。
解放された気分だ、と鬼は言い、浄化されて消えた。

地獄をさまよううち、女は白い竜に出会う。

白竜の口の中には一人の女がいる。

白竜は言う。
「女郎だった女だ。子供ができたから助けてくれと言われた。
俺は覚悟を決めたのに、
この女は集めた金を持って消えたんだ」。

白竜の口の中にいたのは、蜘蛛になった女の母であった。

それから女は、何人かの鬼たちを天井の穴に連れてゆく。

鬼の中には僧侶だった者もいた。
生前、女に触れることがなかった人生を悔いたのか、
地獄では性にただれた者を罰する仕事をしていた。

しかし、彼も天井の穴から空に上り、
蜘蛛になった女に抱かれて浄化された。

女は白竜を空へ導こうとする。
が、白竜はすでに息絶えていた。

女は天井の穴に上り、
地獄の鬼たちをその糸で引き上げてやろうとする。

閻魔は言う。

女よ、生きるために必要な何か、
それを神仏に求めるな。
お前がそれをつかみ、後世を生きる者に伝えよ。

女は身を削って鬼たちを天井へ引き上げようとした。
この身が朽ちても、この糸が切れないようにと願いながら。

地獄の鬼もかつては人間だった。
彼らは亡者を苦しめているが、それで救われることはない。
自ら天を目指すしか救いの道はない。

人の世の不公平がなくなることはないが、
しかし、空を目指すことを忘れて、鬼になってはいけない…。


胸に迫る物語でしたよ。第三回小説現代長編新人賞受賞作。

この方、これがデビュー作になるみたいだ。



がんばってほしいな。
密度の濃い、いいお話だった。













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2009年07月10日

1Q84 BOOK 2






ふかえりと天吾が書いた空気さなぎは、ベストセラーになった。

小説、空気さなぎは山奥のコミューンで暮らす少女の物語である。

世話をしていた山羊が死んだため、少女は10日間監禁の罰を受ける。死んだ山羊とともに、蔵に閉じ込められる彼女。

ある夜、山羊の口から小人が6人出てきて、
彼女に空気さなぎを作れと言った。

彼らは自分のことをリトル・ピープルと名乗った。
少女は空気から糸を取り出して繭を作り始めた。

・青豆

青豆には空に浮かぶ月が二つに見える。
彼女は老婦人の手引きにより、
教祖の体をマッサージする仕事を引き受けることになった。

殺人の武器であるアイスピックを手に、
青豆は教祖がいるホテルに向かった。

彼を殺せば、盲目的な信者に追われることになる。
これを終えたら顔も名も変えて、別人になるつもりだ。

失敗したときには、自ら命を絶つことを覚悟していた。

教祖はふかえりの父である。
彼は青豆に、この世にはリトル・ピープルなる存在がいると教える。
古代から人間のそばにいたもの。

教祖は語る。自分はリトル・ピープルの代弁者だった。
少女と性交渉を持ったのは
彼女たちが自分の跡継ぎをほしがったからだ。

彼は、青豆がいる「現在」は1984年ではなく、1Q84年だと言った。

リトル・ピープルは天吾を狙っている。
それを阻止したければ自分を殺してほしい。
青豆は組織に狙われて死ぬが、天吾は生き延びることができる。

青豆は教祖の命を絶った。

隠れ家に潜伏し、時が経つのを待つが、
運命の導きにより天吾の姿を目にすることができた青豆は、
タクシーで首都高に向かった。

そこに、非常出口がある。
以前そこから出入りしたときから世界が変わり始めた。
もう一度そこへ行き、やり直したい。

だが、出口は封鎖されていた。
青豆は拳銃を口に入れた。

・天吾

天吾の勤める予備校に、訪問者が現れた。

資金を出すので、執筆活動に打ち込めというのだ。
唐突で不審な申し出を、天吾は断った。

天吾は痴呆症を患い、山奥の施設にいる父を尋ねた。
天吾は父を愛していない。

母には別の男がいたのではないかと疑っている。
父から、本当の子ではないと告げられ、
奇妙に得心する天吾であった。

その日、ふかえりが天吾のもとへやってきた。
リトル・ピープルが見ているという。

オハライをしなければ、とふかえりは言い、
全裸になって天吾に体を重ねた。

ふかえりは天吾の家に留まることになった。
天吾には、ふかえりとの性交渉の意味がよくわからない。

自分は、これまでに何人かとの女性と体を重ねたが、
本当に彼女らが好きだったのだろうか。

自分が本当に求めている女性、
それは小学校にいた、宗教が原因でいじめられていた女の子だけだ。

女の子の名前は青豆。彼女に会いたい。

居酒屋で酒を飲んだ天吾は、
帰り道の公園で月が二つになっているのを見た。
月が二つ。
これは小説、空気さなぎの世界だ。

天吾は月を見上げていた。
その道路ひとつを隔てたマンションで、
青豆が彼を見ているのを知らずに。

天吾は決めた。青豆を探そう。
彼女に会って、愛しているのは君だけだと伝えたい…。


ん、ん。私個人の感想を言えば、
1は面白かったが、2でげんなり、というところ。

1の展開はスピーディでミステリアスで、
ものすごい世界の変動が始まるような気がしてわくわくした。

ほんでもって2を読み始めたら、
あれ、これって「ただの」恋愛小説だったの?って肩透かし。

しかし、青豆と天吾の孤独、
地の文に出てくる音楽や小説がかもし出すムード、
リトル・ピープルの謎など、
独特の世界観はたまらなく魅力的。読む価値はある。

(が、古本を待つのもありかも。これだけ売れた本は値崩れも早い)

続編が出るといううわさもある。
確かに、この終わり方ではなんとなく物足りない気もする。













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2009年07月09日

1Q84 BOOK 1






売れてるねえ。

三十歳になろうとする二人の男女の物語が、
1章ごとに交互に描かれている。

女の名は青豆。あおまめ、と読む。男は天吾。

・青豆

贅肉の一切ついていない、美しい体をした青豆。
彼女の仕事はスポーツジムのインストラクターだ。

青豆は、護身術を個人的にレクチャーしている婦人から、
ある仕事を請け負っている。
女に暴力を振るう男を暗殺する仕事だ。

仕事を依頼する婦人は、株で財産を築いた七十代半ばの女性。

娘を配偶者の暴力で亡くして以来、
同じような境遇の女性をかくまうということを続けている。

青豆が育った家は宗教の戒律が厳しい家だった。

子供は、学校が休みになると
親と一緒に布教に回らなくてはいけない。

変わった子だということで、学校ではいじめられた。
そのとき、ただ一人かばってくれた男の子に、青豆は恋をしている。

だが、大人になった青豆は行きずりの性行為を、
見知らぬ男性と楽しむことを習慣にしていた。

婦人警官のあゆみという女性と知り合い、
二人で男漁りをするようになっていた。

そんな青豆は、ある宗教団体の教祖が
少女を強姦しているという話を婦人からきかされる。

彼を「別の世界へ送ってほしい」と頼まれ、
婦人警官のあゆみに調査を依頼する。

・天吾

天吾は予備校の講師をしている。
教師になることも考えたが、小説家を夢見る天吾には、
自由になる時間を持つことが貴重だった。

新人賞の下読みのアルバイトもしている天吾だが、
ある日衝撃的な作品に出会った。

ふかえりという少女が書いた、空気さなぎという作品だ。

編集者の小松に見せたところ、
小松はとんでもない策謀を考えついた。

まだ未熟な表現の残る空気さなぎを、
天吾に書き直させようというのだ。

作者はふかえり。
高校生ということもあって、話題を呼ぶだろう。

天吾が手を入れたことは秘密にする。
詐欺行為にも等しいことだ。

悩んだ末、天吾はそれを了承する。

空気さなぎの魅力には効しがたいものがあった。
作者であるふかえりと会うことになった天吾は、
ふかえりの不可思議な性格に驚くことになる。

ふかえりは難読症だった。両親はいない。

保護者によると、彼女の両親は
ある宗教団体のコミューンで暮らしているのだそうだ。

学生運動が盛んだった時代、
学生たちを率いて闘争に身を投じた大学教授がいる。
それがふかえりの父だ。

彼はやがて自給自足の農業コミューンを立ち上げ、
後に宗教団体となった。
ふかえりはたった一人でそこから逃げてきたようなのだ。

天吾は以前のクラスメイトのことをふと思い出した。
家の宗教のせいでいじめられていた女の子のことを。


続きは明日、乞うご期待?!










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2009年05月27日

アマルフィ






もともと、映画の企画が先にあって、
その後に書かれた小説であるそうだ。

映画とは違う場面もたくさんあるようなので、
映画、小説、両方とも楽しめるようになってるとのことです。

主人公は外交官、黒田という青年だ。

彼は外務省のはみ出し者で、邦人保護が主な仕事である。
外国語堪能、組織に距離を置き、ライフルが得意。
まあ、お約束のヒーロー像だわね。

黒田はイタリアに赴任する。
国際会議に出席する外務大臣の警備にあたるためだ。

しかし、その黒田のもとに、
日本人が誘拐されたという知らせが舞い込んできた。

誘拐されたのは矢上まどか。9歳の女の子である。

だが、大使館には捜査権がない。
なるべく関わり合いを持ちたくないという態度の大使館員が多い中、
黒田は少女を救うべく、
母親とともに奔走することになる。

矢上という女性は、外資系金融機関に勤めていた。
そこから身代金を融通してもらい、
犯人から指定のあった場所へ金を運ぶ二人。

その場所はアマルフィという、イタリアの美しい海岸都市だった。

だが、身代金の受け渡しは失敗した。
絶望と極度の疲労の中、二人は、
事件の場所にある共通点があることに気がついた。

警備会社だ。事件のあったホテルも、
アマルフィまで金を運んだ列車も、
ミネルヴァという会社の防犯カメラが設置されていた。

ミネルヴァでは、光永という日本人スタッフが二人に対した。
彼女はひどく同情し、
そっと防犯カメラに関係するスタッフの名簿を与えてくれた。

怪しい男が浮かび上がり、彼に会いに行くものの、
彼は別の男性に名前や住所を貸していたのだった。

その男こそ犯人に違いない!

ミネルヴァの中枢であるコンピュータールームに向かう二人。

そこで、パスワードが書き換えられ、
防犯カメラの画像も偽のものが差し込まれていたことがわかった。

真実にたどり着いた二人に、
ミネルヴァで働く日本人、光永が銃を向ける。
彼女は、誘拐犯の一味だったのだ。

誘拐犯たちの目的は、身代金でも、まどかの命でもなかった。
光永をコンピュータールームに導き、
警備を混乱させることが狙いだったのだ。

ミネルヴァの警備が一瞬途切れた。

誘拐犯たちは本当の狙い、ロシアの外務大臣が乗る
バチカン行きの列車が襲われる。

犯人は、チェチェン共和国出身の男性と、
彼を支援するイギリス人であった。

イギリス人は、ジャーナリストである妻をロシアで失っていた。
妻は、チェチェンの闇を探ろうとしたのである。

その復讐のため、
彼は自分が勤務する外資系金融機関で働く矢上親子に目をつけた。

矢上を誘導し、ミネルヴァを探らせたのも彼だ。
まどかは丁重に扱われており、無事、母の元へ帰ってくる。


残念なのは、チェチェンというテーマが、
単なる小道具くらいの扱いしかなされていないこと。

チェチェンの惨状を、たとえば福井晴敏ばりに
情緒たっぷりで描いてくれていたら、
もっと深みのある話になったかも、なんて思う。

展開早く、一息に読める。
エンターテイメントとして、楽しむのにはなかなか。












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