2009年05月22日

光/三浦しをん







小説が好き、という方にはぜひとも読んでもらいたい一冊。

信之、美花、輔(たすく)の三人は、
二十年前に美浜島を襲った大津波の生存者である。

信之は結婚して家庭を持っていた。

妻の名は南海子(なみこ)。
美浜島を思わせる名が気に入ったのだ。
娘には、島に咲いていた花の名をつけた。椿という。

公務員である信之の生活は、表面上は穏やかで平穏なものだ。
だが、島で付き合っていた美花を忘れられない信之は、
妻を心から愛することができない。

信之は美しい美花と、幼い体を重ねる仲であった。

だが、津波に襲われた村で、
同じく生き残った観光客に強姦された美花を助けるため、
その男を殺した過去を持っている。

夫の愛情を確信できない南海子は、
ふらりと近づいてきた男との秘密の逢瀬を重ねている。

真っ黒な瞳を持つ、安アパートで暮らす男だ。

南海子は、男との接触は偶然の賜物だと信じていたが、
南海子に近づいてきた男にはある目的があった。
信之だ。

南海子の浮気の相手は、島で生き残った輔だったのである。

輔は幼い頃から父親の虐待に怯えていた。

遠縁である信之に頼り、彼に守られることを願っていた。
だが、信之は輔のことを卑屈でいやな子供だと考えている。

信之を慕いつつも、その不幸を心のどこかで望んでいる輔。
信之の妻を抱くことは、輔のその欲望を満たすことができるのだ。

しかし、信之の家庭に悲劇が訪れる。

南海子が輔と会っている間に、子供の椿が変質者に襲われてしまう。
命は無事であったが、
椿はそれから、夜になると眠れないと泣くようになった。

信之は椿の気持ちがわかる。
突然襲いかかる暴力の理不尽さを、身をもって知っているのだから。

その頃、輔のもとに、彼をいじめぬいた父親が現れた。

信之がかつて島で行った殺人をねたに、
信之と美花から金をせびろうというのだ。

美花はその美貌を活かし、女優として活躍していた。
脅迫から美花を守ろうとした信之は、輔とその父を殺そうとする。

信之は、美花を守るためだけに生きたいと考えていた。
彼が愛していたのは美花だけなのだ。

輔が父を殺し、信之が輔を殺す。
美花のもとを訪れた信之は、
美花が自分を愛してはいないことを知る。

輔は信之の救いを、生涯をかけて求めていた。
だが、信之はそれに応えなかった。

信之は美花だけを求めていたが、
美花も、信之には応えるつもりはなかったのだ。


ぬおー、最後の最後まで救いがない。
だけどなんなのかな、この感動は。

三浦しをんさん、すごい! 

楽しいエッセイも書かれるし、
こんなシリアスな話も書かれるし、腐女子だし、
この人どんだけひきだし持ってんの、って感じだ。

登場人物の全員が、得られないものを求めていて、
その飢餓感が読む人間の心を打つ。

小説読みならぜひ手にとっておきたい一冊。












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2009年05月12日

庵堂三兄弟の聖職







真藤順丈さん。
昨年デビューされた新人作家さんだ。

なんと、昨年一年で4つもの新人賞を受賞されたそうで、
それはすごい才能の持ち主なんである。

しかしなぜか、アマゾンでのレビューを見る限り、
どの作品もいまいち評価が芳しくない。

どんなものかいな、と思って手に取ってみたのがこの本、
昨年のホラー大賞受賞作品です。

結論から言うと、私はけっこう好き。
すごくいいお話なのね。
グロテスクなシーンは多いが、基本はホームドラマでした。

さて。庵堂家の家業は、
人の死体を加工して雑貨を作ることである。

櫛、茶碗、石鹸、なんやらかんやら、
死んだ人の体を切り刻み、折り曲げ、溶かし込み、
ぐっちゃぐちゃのめっためたにして
雑貨を作り上げるのが生業だ。

この辺りの描写、かなりグロテスクで苦手な人は苦手だろうが、
読み飛ばしてもまるで問題はない。
物語の主題はそこではない。

庵堂言には三人の兄弟がいる。
兄の正太郎、次男の久就、三男毅巳。

父の七回忌に、三兄弟が集まるところから物語が始まる。

家業を継いでいるのは兄だ。
毅巳は営業の手伝いをしているが、
死体の加工ができるのは正太郎だけだ。

久就は実家を出ている。

正太郎は、七回忌までに注文を片付けるべく、
眠る暇も惜しんで働いている。
正太郎の心配は、末っ子毅巳の暴言と暴力だ。

毅巳は若い頃から、自分を傷つけたり、
暴言が止まらなくなる癖があった。
チックの一種だろうと正太郎は考えている。

毅巳には恋をしている女性がいた。
スナックで働く彼女との間におかしな男が現れる。

そのことで、毅巳の精神はどんどん不安定になっていく。

暴言が止まらない毅巳。
しかし、毅巳にとっては、糞、バカ、ぶたやろう、というの
はすべて愛の言葉なのだ。

一方、正太郎のもとには大変な依頼が舞い込んできた。
暴力団幹部の娘の交通事故死体を、
美しく復元して、剥製にしてもらいたいというものだ。

手間がかかる。
が、母親の錯乱した様子に圧倒されて、
正太郎は依頼を受けてしまった。

剥製を完成させる正太郎。

毅巳は、相手の女性に逃げられてしまった。
彼女は、昔産んだ子を虐待の末殺して逃亡したのだ。
現れたおかしな男は、子の父親だったのである。

大仕事を終えた正太郎は、父の七回忌の日に、
この仕事をやめると言い出した。
庵堂家は解散だ。

しかし、三男の毅巳にはどうしても残したいものがあった。
彼女の捨てた子供の死体で、雑貨を作って残したい。

だが、小さな子供の体では足りず、
毅巳は自分の腕を切り落とすことを決める。


いやあ、なんだかグロいっすねえ。
でも、毅巳の不器用なバカぶりが、私は不快ではなかった。

「糞、糞」と連呼することに批判もあるようだけど、
毅巳の病なのだと思うと、
それなりに必要な描写ではないかとも思ったりするの。

ただ、グロテスクな小道具をぜーんぶ取り去ると、
兄弟の成長物語であり、
ホームドラマであるのがこの作品の本当のところ。

私はホラーファンではないので楽しめたけど、
純粋に怖い物語を待っていた人が、
この作品でがっくりと肩を落とす気持ちはわからんでもない。
だって、ぜんぜん怖くない作品なんだもの。

地の文が乱雑なのも、ひとつマイナスかな。









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2009年05月07日

おっぱいバレー







連休明けの本日は、肩のこらないこの一冊で。

綾瀬はるかさん主演の映画でも話題の、おっぱいバレー。
中学生のアホさ満載、かわいらしいお話ですわ。

舞台は静岡県。浜名湖の北西にある小さな田舎町の中学校だ。
この中学校は、部活動に大変力を入れている。

主人公はバレー部のキャプテンを務めているが、
それは名ばかりのもの。

バレー部といっても、まともに練習もせず、
部室でマージャンをすることだけが楽しみの集まりなのだ。

部員も5人しかいない。バレーには6人のメンバーが必要なのに。

そのバレー部に、新しい顧問の先生がやってきた。
新任の女の先生だ。

バレー部はそれまでキモ部と呼ばれていた。
暴力的な先輩のしごきばかりで、ろくな練習もせず、
キモイ(気持ち悪い)部活だと思われていたのだ。

当然、モテない。

だが、中学生の男子にとって、
やはり女の子というのは特別な興味の対象である。

女の子の体が、どうなっているものなのか、
頭の中は煩悩でいっぱいなんだ。

新任の女の先生は、
めったやたらと張り切ってバレー部の男の子たちを
正しい方向へ導こうとする。

先生、実はバレーの経験なんてなかったのだが、
臨時講師という立場から、
よい指導者であるところをアピールしたかったのだ。

先生の熱意にうんざりしてしまった男の子たちは、
先生に提案をする。
練習をまじめにしたら、先生のおっぱいを見せてほしいと。

先生も悩み、マージャンでかたをつけようとするが惨敗。
おっぱいを見せる約束をしてしまう。
条件は、地区大会で優勝すること。

先生は前の学校で、ちょっとした指導の行き違いから
父兄のやり玉にあげられたことがあった。

しかし、よい教師になりたいという思いは強い。
悩みながら、生徒達に向き合っていこうとする。

バレー部に優秀な一年生が入部し、
さらにその父が指導者として参加することで、
だんだんと成長してゆく部員達。

地区大会で決勝まで勝ち上がるが…。


この小説を書いたのは、放送作家をされていた方なのだそうだ。

テレビらしい、

問題あり→揉め事あり→爽快な場面あり→ほろりとさせるラスト

という構成がお見事。

中学生が、最後まで現代っ子というか、
先生に対して小生意気な態度をとり続けるのが新鮮かも。

文章はまるで凝っていなくて、多少荒い印象もあるけど、
読みやすいからよしとする。

おっぱいってロマンなんだなあ。













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2009年04月13日

千の輝く太陽







胸がいっぱい。

今週はもう、他の本の話なんてしたくないなあ、
なんてことまで考えている。

著者のカーレド・ホッセイニさんはアフガニスタンの生まれで、
現在はアメリカに住んでいる。

彼はデビュー作、カイトランナーで
故国に残った幼馴染の少年の過酷な人生を描いた。

作品は高く評価され、全世界で千万部も売れたそうだ。
映画にもなった。

アメリカに亡命できた彼の人生は、
同年代のアフガニスタン人の中では
幸福なものの部類に入るのではないだろうか。

そして彼もそのことをよく知っているのだと思う。

彼は故国のために小説を書いている。
アフガニスタンで生きる人たちの不幸と悲しみ、悲惨な過去。

告発のための文章ではない。
ホッセイニさんの小説は鎮魂歌なのだと私は思う。

おっと、かっこいい(?)ことを書きすぎた。
月曜の朝からいやねえ。
しかし、この小説には何かを変える力があるのよ。

主人公はマリアムとライラという二人の女性。
物語は15歳になったマリアムが、父を尋ねる日から始まる。

マリアムは父を尋ねてはいけなかった。
なぜなら彼女はハラミーだからだ。
ハラミーとは不義の子、父親を持たない子のこと。

父の三人の正婦人にうとまれたマリアムは、
強引にカブールの靴屋、ラシードと結婚させられた。
ラシードは45歳。

男児の誕生を望むラシードだが、
マリアムは子を産むことができなかった。
ラシードはマリアムに暴力を振るうようになる。

ライラはマリアムが住む町で生まれた。
マリアムよりも19歳若い。

ライラが生まれたとき、町を支配していたのは共産主義者で、
彼女は男の子と同じように学校に通っていた。

ライラには幼馴染の男の子がいた。
タリークというその少年は、地雷で片足をなくしていた。

成長したライラとタリークは、いつしか愛し合うようになる。

だが、戦乱が二人をひきさいた。
共産主義者を追い出したゲリラたちが内戦を引き起こしたのだ。

タリークが町を去ったとき、
ライラは彼の子を身ごもっているのを知る。

親を亡くし、家をなくしたライラは、
マリアムの夫の第二夫人になることを余儀なくされる。
ライラはそのときまだ14歳。

年若いが聡明なライラによって、
マリアムは生まれて初めて人のぬくもりを知ることになる。

表題の太陽とは、物語の中で友情のたとえとして描かれている。
不幸なマリアムの人生に現れたライラとの友情は、
千の輝きを持つ太陽だったのだ。

虐げられる二人の女、度重なる内戦による破壊、暴力、
狂わされるたくさんの人の人生。

これらのことが圧倒的な迫力をもって描かれている。

胸につまったのは、ライラの子供が
アメリカ映画のタイタニックの一場面をまねする箇所だ。

遠い中世の物語のように感じてていた女二人の人生が、
同時代にあるものだと強く実感させられた。


長い、長い物語だ。文章も重厚なので、
かるーく読める小説ではない。

だけど、だからこそ、大切に大切にページをめくりたい。






ブログを更新している今でも泣ける。
めちゃくちゃいい小説だった。





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2009年03月15日

納棺夫日記





映画「おくりびと」の原作になった本。文庫。

読んでみたけれど、不思議な本だった。
小説ってのはちと違う気がする。

日記なんだ。著者もあとがきで書いているし、
タイトルにもあるとおり、この本は葬儀会社で働くある男性の日記だった。

他者に語るというより、
己の内々に向かって語り続るように書かれた本。

当時、葬儀会社で働くということは、
社会的に見てほめられることではなかった。

まして納棺の仕事は、死者に触れる仕事である。

親戚からも、妻からも忌まれる仕事をしている著者は、
崩れそうな自分の内面に
向かい、必死で自分の仕事の意味を問い続けるのだ。

自分の仕事の意味。つまり、死とは何かを、
それの傍らにある人が見つめ続けた記録になっている。

1章、2章は納棺の仕事の描写が多いが、
3章になると仏教用語が多く使われ、
仏教における死について思考が重ねられる。
たくさんの死に向かった人の記録が引用され、哲学的な文章が続く。

著者は満州の生まれである。弟と妹をそこで亡くし、
母と二人で故郷に引き上げてきた。

成長した彼はパブを開くが、ずさんな経営がたたって倒産。
葬祭業を営む会社に就職した。

親戚からは非難され、妻には汚らわしいとののしられた。
そんな彼を支えたのは、ある女性の行動だった。

若いころ交際していた相手の家に、
納棺の仕事に出向いた時のことである。

彼女の父の死体に向き合って作業していたところ、
夏の暑さのせいで汗がぽとぽと落ちかかりそうになる。

汗をぬぐおうとしたところ、そばに彼女が座っていて、
汗を拭いてくれているのに気がついた。

彼女の真摯なまなざしを見て、
著者は納棺の仕事を恥じるのをやめようと考えた。

人は必ず死ぬ。それを穢れと遠ざけても、
死から逃げおおせる人はいない。

死とは何か、なぜ人は死を忌むのか。

臨死体験をした人の多くが、
暗いトンネルの向こうに光を見たと証言しているが、
その光とは何なのか…。

仏教にすがり、宮沢賢治の詩に没頭し、
また、がんを宣告された人の手記を読み、著者は死を考える。


著者はもともと詩人だったそうだ。
美しい言葉で、目をそらさずに死と向き合った男性の心の記録。

川原に飛ぶ赤とんぼの群れに命の輝きを見るなど、
死に対して描かれる「光」がとてもきれい。









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2009年03月02日

ポトスライムの舟






第140回芥川賞受賞作品。
あんまり面白くなかった。
つくづく自分には、文学的素養がないのだと思う。

ナガセ、29歳、女子、独身。
ある工場で契約社員として働いている。
手取り13万8千円。

大学卒業後、正社員として働いたこともあるが、
上司のモラルハラスメントがひどくて退社した。
今の仕事は薄給だが、人間関係がよいのでそれなりに続いている。

ナガセはある日、工場の休憩室の壁に
世界一周旅行のポスターが貼られていることに気がつく。
それにかかる費用は163万円。彼女の年収と同じ金額だ。

それまで、ナガセは腕に刺青を入れる算段をしていたのだが、
ふと、年収を全部貯金して、旅行費用を貯めようと考える。

ナガセの仕事は工場だけではない。
友達のヨシカが開いたカフェでアルバイトをしたり、
週末にはお年寄り相手のパソコン教室で講師をしたりしている。

ヨシカは大学からの付き合いで、
他にそよ乃、りつ子という友達と連絡を取っている。
そよ乃、りつ子の二人は既婚者だ。

そよ乃は義理の両親の援助を受けて、それなりに幸せのようだが、
りつ子は問題を抱えていた。夫が家に金をいれようとしないのだ。

絶えかねたりつ子は、ナガセの家に子供をつれて逃げてくる。
りつ子とその娘、ナガセとナガセの母は、女四人で生活を続ける。

ナガセはポトスを育てるのが好きだ。
水につけておけば、どんどん成長するポトスを見るのは楽しい。
また、節約を重ねているナガセは、
ポトスを食べることができるのではないかと夢想する。

りつ子は再就職が決まり、家を出て行った。
ナガセはひどい風邪をひいてしまう。

仕事を休むナガセ。
りつ子にお金も貸してしまったし、
これで旅行費用はだめになったかとあきらめたところ、
工場からボーナスが出、目的の163万円を貯めることができた。


一度挫折を味わった女性が、
つつましくもぼんやりと前向きに生きる姿勢を描いた物語、
ということでいいのかな?

そういうことが、二回読んでやっとわかった。
最初読んだときは、ポンチョコリン女子の
ポンチョコリン日記にしか思えなかった。

現代の蟹工船というのはちと違うので、
蟹工船好きな方は期待しないように。

だいたい、年間163万円を生活にあてず、
好きに使える境遇で蟹工船って。それはちゃいますやろ。

貧困の物語ではない。(なんでこんな宣伝がされてるの?)

静かに、しかし着実に生きている人間の物語。
彼女の生き方がどこかポトスに重なるって感じかな。
うん、うまいオチがついた。





面白いご感想をいただきました。
詳細はこちら↓
http://haraguro-momo.seesaa.net/article/115369258.html






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2009年02月27日

告白






本屋大賞にノミネートされたこの作品、
湊かなえさんのデビュー作なのだそうだ。
でもって、その完成度が新人離れしていると、あちこちで評判を呼んでいる。

面白かった。ある事件の真相を、
関係者の告白を重ねて暴きだしていくというものなんだけど、
まるで玉ねぎの皮をむいているような感覚を覚えた。

ある視点に感情移入していたら、新しい視点で物語が語られ、
読んでいるこちらとしては飽きることがない。
なるほど。話題になるの、わかるわ。

さて。事件はある冬の日、
中学校のプールで女の子が死んでいたことから始まる。
死因は溺死だった。

その女の子は、中学校に勤める森口という女性教師の子供だった。
会議のある水曜日は、森口は学校に子供をつれてきていたのだ。

森口は学校を辞めることになり、
担当していたクラスの子供たちの前で事件について語り始める。

彼女にとって、子供はただ一人の家族だった。
彼女の夫になるはずだった人は、
HIVウイルスに感染していることが結婚前に判明した。
存命ではあるが、結婚することは彼が拒んでいる。

森口は言う。娘はこのクラスの生徒に殺されたのだと。

仮に名前をA、Bとしよう。

Aは以前から、動物の死体をネットで公開するなど、
問題のある子だった。
成績は優秀だが、その倫理観には疑問を抱いていた。

そのAがある日、開くと電流が流れる財布を考案して
森口のもとへ持ってきた。
防犯用だというが、危険極まりない代物である。

Aは自尊心を傷つけられたのだろう。
もっと強い電流がながれるしかけを子供用のバッグにしのばせ、
森口の娘に試させた。
娘が、近所の犬にえさをやるために訪れていたプールサイドで。

AとBを裁くため、森口は学校で飲む牛乳に
あるものを混入させたと生徒の前で告白する。
それは、森口の愛する男性、娘の父親の血液…。

この告白の後、クラスメイト、Bの母親、Aの告白が続く。

Aが財布を作ったのはいたずらなどではなかった。
幼い頃生き別れた母親に、成長した自分の存在を示すためであった。

しかし、母に捨てられたことを悟ったAは、
卒業式が行われる体育館に爆弾をしかけた。
爆弾は爆発する。
が、それは体育館の中ではなかった。

森口の手により、その爆弾は設置場所を変えられていたのだ。


後味が悪いという方もいらっしゃるかもしれない。
私自身はそんな気持ちにはならなかった。
純粋に、謎解きとして楽しめた。

深い感動が残るかといわれればそうでもないんだけど、
エンターテイメントとしてはなかなか。

一人称の語りなので、読みやすいのもありがたい。
週末に、ちょっとした読み物がほしいとお思いの方に、
ちょうどよさそう。









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2009年02月24日

ぼくと1ルピーの神様/文庫版








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2009年02月12日

決壊/下巻









平凡なサラリーマンであった沢野良介は、
バラバラ死体になって発見された。

妻の佳枝は、良介の兄崇を犯人だと疑っている。

良介が最後に会ったのは666という、
良介のブログにコメントをしていた人間だ。
666が崇だと、佳枝は信じているのだ。

警察も崇を犯人だと考えている。
ある夜、飲酒運転をした崇は、警察に捕まり、
良介殺しの自白を執拗に迫られた。

崇の母は崇を信じてやることができず悩んでいる。
そんな折、うつ病を患っていた崇の父が自殺した。

母は家庭を混乱に陥れた崇を恨むこととなった。

ネットの掲示板ではあらゆる憶測や罵詈雑言が飛び交い、
警察にはさまざまな犯行声明が寄せられた。

社会からの離脱を促すという内容のものもあり、人々の関心を引いた。

そんな中、北崎友哉という中学生が、
少女を惨殺したとして警察に自主してきた。

友哉が以前、ネットにヌード写真をばら撒いた少女である。

家宅捜索の後、友哉の部屋から良介の耳が発見された。

崇は釈放されるが、壊れてしまった家庭は元には戻らない。

良介の妻は実家に戻り、
良介の母は孫に会うこともままならなくなってしまった。
崇を疑った母は、精神を病んでいる。

崇の元にある日、一枚のDVDが届けられた。
それは良介が拷問を受け、殺害されるまでの様子を録画したものだ。

それを送りつけた男こそ、良介のブログに現れた666であり、
友哉に殺人をそそのかした悪魔と名乗る人物である。

男は、フジテレビ前で爆破テロを行った。
犯罪歴のある義父に育てられ、つらい人生を過ごした男。

その妹はテレビの前で語る。
「友達に言ったらドン引きされたし。ウケる!」

すべてが終わった後、崇は電車に身を投げた。


いろいろな感想を持つ方がいらっしゃると思うが、
私は今ひとつ、感動には至らなかった。

その理由は、物語が陳腐であり、ワイドショー的であるからだ。

警察の冤罪も、ネットのあおりも、加害者の環境も、
被害者の感情も、ステレオタイプで退屈しちゃった。
生意気言ってごめんなさい。

猟奇的殺人は、戦前にもあったことなのであって、
それは人間の闇なのである。
現代の闇ではない。

文章が仰々しいからなあ、
読み終えることですごい達成感が得られるが、
それと感動ってのは違うかなあって思っちゃった。









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2009年02月11日

決壊/上巻









いやあ、疲れた疲れた。
読みにくかった〜。

難解、というよりこねくり回した文章がくどいのなんのって。

でもまあ、こういうのが平野啓一郎氏の味といえば味なんだし、
3ページに一度ほどの割合で
「だから何が言いたいねん!」と頭をかきむしりながら読むのも
また楽しい。

かもしれない。

沢野良介は30歳のサラリーマン。
彼には妻の佳枝と三歳になる息子の良太がいる。

良介の兄、崇は独身である。崇は小さい頃から頭のよい子で、
東大を出て国会図書館で働いている。
そんな兄に、良介は複雑な感情を抱いていた。

祖母の法事のため、兄弟は実家に戻ってくるのだが、
父の様子がおかしいことが気になった。
崇は父がうつ病なのではないかと言う。

精神病などではない、病院など行かなくてよいと
母と良介は考えるが、崇は強引に父を病院に連れて行くことにした。

賢い兄。だが自分には、独身の兄にはない家族がある。
そんな微妙な心境を、
良介はインターネットのブログにつづっていた。

良介の妻、佳枝はそのブログを偶然に発見する。
自分には語らない夫の心情をこっそりと読み、
いつしかAIというハンドルネームを使って
コメントをつけるようになっていた。

だが、夫の秘密を知ってしまったことが佳枝を苦しめる。
佳枝は夫の兄、崇にそのブログのことを相談した。

それから、良介のブログには666というハンドルネームの人間が訪れ、
コメントを残していくようになる。

佳枝は、666が崇なのだと考え、
秘密を共有してくれたことに感謝する。

沢野家の物語が語られる傍ら、
北崎友哉という中学生の少年の物語が同時に進行していく。

友哉は「孤独な殺人者の夢想」という日記サイトを運営している。

友哉はある日、同級生の女の子の裸の写真を、
ポルノサイトにばら撒いた。

彼女の交際相手からひどい暴力を振るわれた友哉は、
サイトにアクセスしてきた、悪魔と名乗る男と対面する。


そして次の日、沢野良介がバラバラ死体となって発見された。

良介は666と会っていた。666を崇だと信じる佳枝は…。


続きは下巻、明日に続きます。












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2009年02月02日

利休にたずねよ






第140回直木賞受賞作。

物語は千利休が豊臣秀吉から死を命ぜられた日の前日から始まる。
そこから遡りながら、美を追求した利休の人生と、
彼の一生を支配した、異国の女性との恋を描き出す。

利休、その妻、秀吉、家康、石田三成、古田織部、
そして利休に頼まれて茶碗を焼いた瓦職人など、
さまざまな人間の目を通して利休像を描くという構成。

一章が短く、文章に改行が多いので読みやすい。

天下人となった秀吉だが、ただ一人だけ
屈服させられない人間が存在していた。

それが利休だ。利休の目は冷酷だ。

いつも秀吉に冷ややかな視線を送り、下賎のものと軽蔑している。
利休の物腰は慇懃だが、礼を尽くした態度と裏腹に、
心根に秘めた傲慢が透けて見える。

利休を「のどにささった小骨」だと秀吉は考えるが、
しかし、秀吉は利休の眼力には全幅の信頼を置いている。

道具の目利き、茶室のしつらえ、茶をいれるしぐさのすべてに、
秀吉は感服せざるを得ない。

秀吉は、かねてから利休の持っている香合に興味を持っていた。
高麗のものであるというそれは、緑釉の見事な細工であった。

他の茶道具は召し上げることができたが、
その香合だけはどうしても手に入れることができない。

利休が生涯手放さずに持っていたそれは、
かつて高麗から流されてきた女が持っていたものだ。

美しいその女は、高麗の姫君であったという。
国内の勢力争いに敗れて売られてきた女を、
利休は逃がしてやろうとした。

そのたくらみは失敗に終わり、女は死に、利休は生き残った。

狭い茶室にたった一輪の花を飾る、
利休の茶はわびさびだと評されている。

だが、そのわびしい世界に隠された艶こそが、利休の茶である。

利休は生涯、高麗の女の姿を追い求めたのだ。

とまあ、あらすじはこんな感じなんですが、
あらすじだけ読んでもこの小説はいまいち面白くはないんですね。

秀吉が北野で開いた、1000人余が集ったという大茶会、
黄金張りの茶室、高麗から来た使者へのもてなしのご馳走、
瓦職人に焼かせたという茶碗。

そういった、その時代の人間の美に対する執念というか、
エピソードがたまらなく面白い。

利休もね、秀吉に命乞いをすることはできたんだ。

秀吉は利休を認めているのだから、
彼が頭を下げれば助命することも考えていた。
むしろそれを望んでいたと言ってもいい。

だが、理屈の通らないものに利休はかしずこうとはしない。
そして死んでゆくのである。

講談社モーニングで連載中の「へうげもの」。
こちらのファンの方には必読の小説でしょうな。










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2009年01月18日

悼む人






テレビで直木賞発表のニュースを聞いて、
飛び上がって喜んでしまった。
こういう厚みのある作品を書く人が評価されて、私は本当にうれしい。

なんてまあ、素人が言ってもしょうがないんだけど、
それでもやっぱりうれしいッス。

というわけで、天童荒太さんの悼む人。
第140回直木賞受賞作品です。

うれしくて読み始めたけど、非常に重い内容で、
私は最初から最後まで泣きっぱなしでした。

主人公は坂築静人。各地を旅しながら死者を「悼んでいる」。
彼にとって悼むことは、死者を知ることだ。

しかしながら、彼が知りたいのは残酷な事件の概要ではない。
事故の悲惨さでもない。

死者が、誰に愛され、誰を愛し、どんなことで人に感謝されていたか。
それを知り、記憶にとどめることが悼みになるのだと静人は考えている。

この物語では、彼に深い関わりを持つ三人の人間が描かれる。

雑誌記者の蒔野、旅の途中で出会う女性倖世、静人の母巡子だ。

蒔野は通称「エグノ」。
残酷で通俗的な記事を書くのが得意な記者だ。

きわどい情報だけを求めていた彼だが、
静人との出会いを通して、被害者の心情に関心を寄せるようになる。

倖世は愛のない家庭で育った。
愛情とはどんなものか知らず、
言い寄ってくる男に簡単に体を許すような娘であった。

最初に結婚した男に暴力をふるわれ、
逃げた先で助けの手を差しのべてくれた寺の住職と再婚した。

しかし倖世はその住職を殺し、すべてを失った。

住職を悼みに訪れた静人に出会い、ともに旅を続け、
自分が殺した夫と自分の間にあった愛情を知ることになる。

そして、静人の母巡子はがんに犯されていた。
残りの時間を自宅で過ごそうと決めた巡子は、
娘の美汐の妊娠を知る。

しかし美汐は恋人と別れたばかりだ。
静人の奇行ともとれる旅が、破談の原因であった。

巡子は静人のこれまでの人生から、
静人の「悼む」行為の意味を考える。

静人はその人生で、いくつかの死を経験している。

小鳥の死、祖父の死、そして親友の死。
それらの死が忘れ去られることが、
静人には耐えられなかったのではないかと巡子は考える。

だから悼んでいる。そこにいた善き人の姿を
記憶にとどめようとしているのだ、と巡子は悟る。

文中でこのような言葉がある。

「普通の人なんていません。一般市民という人間もいません。
特別な人が死んでいます。特別な人が殺されています」

身近にある死、ニュースに流れては風化していく死。
これらに絶えられなかった静人の、
ひいては著者の叫びのような作品である。

最後、巡子は、孫が生まれるそのそばで死んでいく。
命は消え、そして再生する。

重い話だ。軽い、明るい話ではないし、
好きになれない人もたくさんいると思う。

それでも、こういう真っ向勝負重量勝負のような作品が
評価されることはそんなに悪くないと私は思います。










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2009年01月16日

夜の光








ジョー、ゲージ、ギィ、ブッチは高校三年生。
天文学部に所属している。

彼らの一年を描いた物語。
彼らがそれぞれ主役になる短編が四編に
卒業後を書いたおまけ一編という構成。

・ジョーの場合

ジョーは黒髪のきれいな美人である。
お嬢さまみたいだからジョーと呼ばれている。

ジョーは勉強が好きだ。だが、両親はそれを理解しようとしない。

早くいいお嫁さんになってほしいと願っている。
大学に行きたい、仕事をして自立したいと考えているジョーにとって、
毎日は戦いだ。

・ゲージの場合

特別な何かになりたい、とゲージは思っている。
ゲージが憧れているのは泥棒だ。

ファッショナブルで粋な泥棒。
だからゲージは女の子には「ベイべー」と呼びかけ、
明るい性格を演じている。

しかしある日、ゲージは
ギィの顔に殴られたあとがあるのに気がついた。

・ギィの場合

職を失った父親は酒を飲んで暴れるようになった。
姉は両親を見捨てて遠くの学校へ進学した。

彼女も家を出たいと思っている。
好きな料理の道を進むべく、アルバイトをして資金を貯めている。

この考えを悟られないように。弱い両親にすがられないように。
ギィは息を殺して機会を待っている。

・ブッチの場合

ブッチの家は農家である。
祖父が権力を持っていて、
家中の人間は祖父に逆らうことができない。

祖父とそりが合わないブッチにとっては居心地の悪い家でしかな
い。年をとっていることがそんなに偉いのか? 

ブッチはいつか、ここから自由になりたいと考えている。


それぞれ、問題を抱えた四人の冷えた感情と
ほのかな友情が描かれた作品。

観測を行うために集まった夜に、
小さな事件が起きるという話なのだが、
その事件自体はそれほどおもろしくない。

教師と付き合った女の子が捨てた携帯の秘密、
たくさんのトッピングの載ったピザのなぞ、
文化祭での恋のさやあて、
ブッチの禁断の恋の話。

ピザの話なんて少々無理やりなんじゃないかという気がする。

しかし、四人がそれぞれ、
大げさに問題を話し合うのではなく、互いに沈黙のまま、
信頼しあっている様子がとてもいい。

文章もとても上手。高校生の一人称という、
ある意味地雷のような(?)手法なのに、心理描写も繊細だ。

静かな感動の残る一冊。









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2009年01月09日

アイスクリン強し







しゃばけシリーズで人気の畠中恵氏。
新境地を拓こうと奮闘されているご様子だ。

時は明治23年、舞台は東京。
主人公のミナは、風琴屋という洋菓子店を開いたばかり。
店を軌道に乗せるべく、奮闘の日々が続く。

ミナといっても女性ではない。
皆川真次郎という名を持つ立派な男性だ。

幼い頃両親と別れ、居留地で育った彼のことを、
幼馴染の長瀬はからかいの意味を込めてこう呼ぶのだ。

長瀬は元士族の若君である。
明治になって武士という「生業」を失った彼は、
糊口をしのぐために政府に仕える巡査になった。

警察にはそんな元士族の若者がたくさんいて、
彼らは「若様組」と呼ばれている。

彼らには養うべき家臣がいる。
巡査の給与は薄給である。
よって彼らは年中金がない。

時流によって勢いを失うものがあれば、力を増すものもいる。

ミナにひそかに想いを寄せている小泉沙羅は、
小泉商会という成金の一人娘。
気の強い女学生で、ミナの作る洋菓子が大好きだ。

こんな三人組が事件に巻き込まれ、
その話の中で洋菓子がエッセンスになる。
こんな構成の短編集。

・チョコレイト甘し
ミナの洋菓子店に、小弥太という若者が身を寄せてくる。
彼もまた武士であった若者で、藩の跡継ぎを探す集団に追われている。
彼が跡継ぎ探しのヒントになる、刀の鍔を持っているからだ。

・シュウクリーム危うし
長瀬とミナは貧民街で、士族の令嬢かの子を助ける。
かの子の家に何度も泥棒が入ったからだ。
かの子はなんと、洋菓子作りに適した麦を隠し持っていたのだ。

・アイスクリン強し
おかしな記事を書かれ、抗議に出向いた長瀬とミナは、
そこで暴漢に遭遇する。

言論の自由を脅かす者は誰か。
新聞社に寄せられた手紙を手に、ミナと長瀬は調査を開始する。


お話としては面白いのだろうけれど、
ごちゃごちゃしていて読むのがしんどかった。

今ひとつお話にぐぐっとのめりこめる感じが、
私はしなかった。

主役の三人の性格がいまいち際立っていないし、
事件がごちゃごちゃしていて、何の話だか混乱しそうにもなる。

明治の華やかな世の中を、
洋菓子という小道具で描こうとしているのはわかる。
貧困や忍び寄る戦争を背景にしようとしている
意図も汲み取ることができる。

でも、なんだかがんばって詰め込みすぎて
話がすっきりしてない感じがして、
私の脳みそではちょっとついていくのがつらかった。

感動が残らない。これが残念。










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2008年12月12日

Re-born はじまりの一歩







この前せんべい屋さんに行ったら、
いろいろ詰め合わせセットというのがお歳暮用に出ていました。
えびせんやらたこせんやらの小袋が6種類。

そうそう、こういうのがいいのよ。

小説は読みたいが、長編は気が重い。ついでに手もしびれる。
そんな方に、バラエティに富んだ短編小説集をご紹介です。

書き手は、今をときめく7人の作家さん。おせんべい詰め合わせ
よりも豪華なんである。
しかも書き下ろし&オリジナルだそうだ。

本日はその中から、私が好きな作品をひとつご紹介してみます。

・ゴーストライター 瀬尾まいこ

中華料理屋を営む戸村家。
兄のヘイスケはこの春、専門学校に行くために上京する。

ヘイスケは小さい頃から何をさせても器用な子供だった。
おまけに顔もいいので、
いつも女の子たちからラブレターをもらってくる。

弟のコウスケは、そんな兄が嫌いだ。
兄が勝手に出て行くと決めたせいで、
自分が中華料理屋を継がなくてはならないからだ。

しかもコウスケは、同級生の女の子から
ヘイスケあてのラブレターの代筆を頼まれてしまった。

代筆にはいやな思い出がある。
なんでも器用にこなす兄の、一番得意なことは
文章を書くことである。

兄は普段から、友達の作文を代筆してお金を稼いでいる。
コウスケも一度頼んだことがあり、
それが賞を受賞したことがあるのだ。
受賞したら、代金が割り増しになる。

嫌いな兄。いけ好かない兄。しかしラブレターを書きながら、
コウスケはふとあることに気づく。

小さい頃から家族とは「少し違っていた」兄。
野球が好きではない。料理も苦手だった。
店に来る常連さんたちとも上手に話をあわせることができない…。

生まれた場所に、違和感を感じ続けた兄は
どんな気持ちだったのだろう。
愛されてはいるが、そこに居場所がないという気持ちは、
どんなものだったのか。

兄の夢は小説家になることである。
そのために、小銭を貯め続けていた兄の気持ちは…。


その他、井坂幸太郎の音楽学校の受験に失敗した女の子の物語、
平山瑞穂の不思議な二重人格の女の物語など、
まさに色とりどりのお話が楽しめる。

名古屋風にいうと、まさに「お値打ち」。
つまり、お得感たっぷりの一冊でございます。









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2008年11月25日

東京島







清子、46歳女性。
5年前、夫と二人で乗っていたクルーザーが難破し、
無人島にたどり着いた。

太平洋の孤島。タロイモやバナナの野生種が生い茂り、
餓えからはまぬがれることができた。

その数ヵ月後、日本人の若者23人が島に流されてきた。
与那国島でアルバイトをしていた若者だが、
その過酷な労働条件を嫌って逃げてきたのだという。

そしてさらにその三年後、中国人の集団が流れ着いた。
密航の途中、捨てられた男たちだった。

日本人と中国人は島の東西で住処を分け、
日本人が住む場所をトウキョウ、
中国人が住む場所をホンコンと呼ぶようになった。

そんな状況下で暮らす人間たちの様子が描かれた小説。

これは実際にあった、「アナタハン島事件」を
モチーフにしているという。

孤島に住むたくさんの男とたった一人の女。

アナタハン事件は戦時中に起こったが、この小説は現代劇である。
太平洋の孤島に流された清子やその夫が、コーラが飲みたい、
ジャムの付いたパンが食べたいと願うくだりがある。

さて。

法律の支配がない場所で、女性一人で暮らすなんてどれだけ心細いかと思う。
まして清子の夫はとっくに亡くなっているのである。

しかし清子はこの状況を楽しんでいる。
何しろ、若い男たちが皆、自分をあがめ、奪い合っているのだ。

清子の夫はカスカベという名前の男に殺されたが、
それでも清子はカスカベに求められることがうれしかった。

が、孤島生活が長くなると、
次第に若者たちは清子に関心を示さなくなった。

清子の夫はくじ引きで決められる。
最初は皆が立候補したものだが、
5年目になると候補者が5人しかいなくなった。

男性同士で夫婦生活を送るものも出始め、
いびつな形で孤島の生活は安定を見せ始める。

清子はある日、中国人の集団とともに島を脱出しようとする。
しかし、島の周囲には強い海流があり、失敗してまた島に流された。

裏切り者として周囲からはじき出される清子だが、
その体には子どもが宿っていた。
中国人のリーダーの子かもしれないのだが、
清子は日本人集団の中でその子どもを生もうとする。

そんな中、また島の均衡を破る出来事があった。
フィリピン人の若い女性が流されてきたのだ。

彼女らは、生活力のある中国人集団を頼り、
乗ってきた船で再び脱出を試みる。

双子を産み落とした清子は、決死の覚悟でその船に乗り込んだ。
男女の双子は、男子は住民に奪われ、
女の赤ん坊だけが清子とともに船に乗ることができた…。

とまあ、こんな感じのあらすじなのだけど、
この本の面白いところは、小さい閉鎖された島で
どんどんおかしくなっていく人間模様にある。

少ない集団にとけこめず、
狂気の様相を見せながら一人で暮らす男。

記憶喪失を装った気の弱い男がやがて島民のリーダーになる様。

孤島にありながら文化的な暮らしを楽しもうとする日本人と、
野豚を捕まえる生活力旺盛な中国人。

アマゾンのレビューは芳しくなかったけど、
私はけっこう楽しんで読めました。
清子のしたたかで身勝手な性格が、
それほどいやみには感じませんでした。

娯楽として読めばそれなりに面白い、かな。








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2008年11月18日

お嬢さまとお呼び!




超ユニーク、超パワフル。
森奈津子さんのデビュー作を単行本化した本書、
笑いっぱなしで読み終えました。

主人公は綾小路麗花。
フリルのついたワンピース、縦ロールの巻き毛という
正統派お嬢さまスタイルが身上の女子中学生だ。

書き出しはこんな感じ。

「あたくしの名前は、綾小路麗花。なにか、文句があって?
…そう。なければ、よろしいのよ。ホホホホホホホホ。」

いやあ、いっちゃってますな。
このいっちゃってる一人称で、全編語り続けるのだからすごい。

ある日、麗花は岡野という男子高校生に出会った。

本屋で万引き犯と間違われた麗花の追求から、
本屋の店員を守ったのが彼である。
その軟派な態度に立腹しつつ、心をひかれる麗花。

麗花には佐伯という友達がいる。
もとい、麗花の認識では「従者」だ。

地味なひっつめ髪、分厚いめがねといった、
麗花の引き立て役のような女の子である。

その佐伯が突然誘拐された。
東京御令嬢クラブの会長なる少女から電話があり、
麗花が、伊集院貴子という少女と勝負をして、
クラブに入会できれば返してやるという。

伊集院貴子はその翌日、学校に現れた。すごい美少女である。

その美少女がからむ、なんだかかわいいドタバタがあって、
麗花はとうとう、佐伯がいるという冷凍倉庫へ向かっていく。
例の男子高校生、岡野とともに。

倉庫に閉じ込められた麗花、
「好きなひとを死なせたくないって気持ち、わかる?」と岡野に告白をする。

岡野も、「ぼくも、好きな女の子を死なせたくないよ」

そこでじゃじゃーん、佐伯の登場。
なんと、伊集院貴子は佐伯が変装した姿で、]
陰謀は麗花と岡野を結びつけるためだったのだ。

あ、あ、あほくさ〜。でも、かっわいい!

いわゆるツンデレ好きな方にはたまらないキャラクターかも、
麗花さま。

森奈津子さんはバイセクシュアルであると
ご自分で公言されている。
そのせいか、少し変わった作品がこの人には多い。

本当は、「先輩と私」という小説をご紹介してみたかったのだけど、
これはやめておきました。
少女の一人称、どたばたかわいい文体の
ちょっと過激なレズビアン小説なのです。

レズビアンなのは問題ないけど、エッチすぎるんだもん。
だめ、朝から配信なんかしちゃ。

その代わりといっちゃあなんだけど、この「お嬢さまとお呼び!」。

独特の世界観と少女のかわいらしさが満載で、
森奈津子さんの原点ともいえる作品であるようです。









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2008年11月09日

藪枯らし純次






いやあ、与一ちゃん、ありがとありがと。
めっちゃ楽しかったよ!

さすがさすがの重い文体、夜の底の底のような暗い展開、
どろどろした人間関係、容赦なく死んでいく登場人物。

じっくりがっつり船戸ワールドを堪能させていただきました。

さて、主人公は高倉という男。興信所で働いている。
依頼を受けた高倉は、
中国山地の山奥のひなびた温泉街にやってきた。

依頼主は温泉街の住人、宮本。
高倉が働く興信所の所長の、学生時代の友人である。

宮本は、自分の住む赤猿温泉に戻ってきた、
若宮純次という男の監視をしてほしいという。

純次には、藪枯らしというあだ名がある。

藪枯らしとはぶどう科の蔓植物の名だ。
繁殖力が旺盛で、周りの植物を枯らせてしまうために
その名がついた。

若宮純次のそばにいた人間はみな、
何かの理由で落ちぶれてしまっている。

住民が純次を恐れる理由は、純次の母と姉の死にある。
二人とも、寺の裏にある松の木に首を吊って自殺した。

純次の母はもとは旅芸人一座の女であって、
赤猿温泉に住み着いてからほとんどの男と関係を持っていた。

純次もその姉も父親を知らない。
そして純次の姉も、父のわからない子を産んでいる。

純次は復讐のために赤猿に戻ってきた。宮本はそう主張する。

だが、純次はそのことには頓着せぬ風で、
温泉街にレッドモンキーというジャズバーを開店させた。

その店の音楽には性的興奮をかきたてる作用があり、
老人たちはその音楽のとりこになった。

老人たちがひっそりと暮らす赤猿温泉には暗い歴史があった。

高倉と時を同じくして赤猿温泉にやってきた学者の涼一によると、
この地を拓いたのは幕末の暗殺者集団であるという。

暗殺者たちの子孫である老人たちは、
レッドモンキーの音楽に陶酔しはじめ、
静かだった温泉街で次々と殺人事件が起きる。

徐々に狂い始めていく日々の中で、
高倉は、赤猿温泉を通る道路の建設予定があることを突き止める。

そしてその土地の買収に、高倉を派遣した
興信所所長が絡んでいることも知る。

興信所を辞した高倉は、所長の陰謀によって家族を失ってしまう。
怒りを覚えた高倉は、一丁の拳銃を手に
赤猿温泉で所長と対決しようとする。


山間のさびれた温泉街に残された人たちの、
田舎独特の絡みつくような人間関係の描写がお見事。

そこにさらに幕末から続く怨念も加わって、
最後の最後まで目を離せない展開になっている。

ラストはもちろん船戸与一の本領発揮、
皆殺し大作戦発動である。

後味はよくない、かも。

しかしながら、こってりと重いハードボイルドを
気負いもてらいもなくここまで読ませてくれるのは
さすがなんである。
ありがとう!










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2008年11月06日

阪急電車






本日の小説、阪急電車とかけて初デートととく。
その心は、企画で勝負。

短編小説集で、阪急今津線の各駅ごとに一本の小説が書かれている。

そしてその主人公たちが入れ替わり、
入れ替わりつつ触れあい影響しあいという、
計算されたつくりになっている。

まず企画ありき。

そしてその企画を、冷や汗かきつつもがきつつ、
なんとかかんとか大団円にもっていこうとする、
不器用な初めてのデートみたいな印象の短編集だ。

宝塚南口から乗り込んだ翔子は、真っ白なドレスを着ている。
こんな服装で、結婚式に参加してきた帰りなのだ。

同僚に婚約者を寝取られた翔子は、
白いドレスで披露宴に「討ち入り」を果たした。

悔しさの晴らせない翔子。車内で隣り合った老婦人に諭され、
途中下車して休んでいくことにする。

降りた駅、小林駅の構内で見た燕の巣と、
それを温かく見守る駅員に心を和ませる。

ミサは仁川駅から恋人と電車に乗った。
同棲するつもりだったが、彼の暴力にはうんざりしてる。
見かねた老婦人は、ミサに「やめておけば?」と声をかけた。

ミサの心は揺れる。
しかし、甲東園で乗り込んできた女子高生の「恋バナ」(恋愛の話)
を聞いて心を決めた。彼とは別れる。

女子高生は、年上の彼氏と付き合っている様子だが、
その彼氏は彼女をとても大切にしているようだ。

そう、ああやって大事にされる恋愛がいい。

女子高生はにぎやかにしゃべり続けている。

門戸厄神駅を過ぎるとき、
あまりにうるさいので圭一はヘッドフォンを耳につけた。

だが、車内には大学の同級生の女の子がいて、
その子の話が楽しくなってきたので、ヘッドフォンは外した。
彼女と話すほうが、音楽を聴くよりもよほどいい。

ほのぼの、前向きな恋愛小説集。

なかなかいい、と言えないこともないのだけど、
初デートってのはそんなには甘くはないもんである。

図書館戦争のヒットで知られる作家さんに、
こんなことをいうのはどうかと思うけれど、
思うのだけれどやっぱり気にかかる。
文章の幼稚さが。

「彼女はフリーズした」「○○的には」
「ごめんなさいメールを打ち」のような、
会話で使う言葉を地の文に使う小説を読むと、私は悲しくなるんだ。

目の付け所は悪くないと思うけど、
後々までしみじみ思い出すような、
世界に引き込んでくれるような文章がないのが残念。

企画勝負。ボロ出さないようにがんばって、
それでいてやっぱり未熟で不格好。

まさに、初めてのデートという印象の残る本。








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2008年10月08日

のぼうの城






遅ればせながら、やっと読みました。

表紙には、青と黒を背景に男の横顔が描かれている。
イラストは漫画家のオノナツメ氏。

およそ時代小説らしからぬ装丁の本書、
売れに売れているらしい。

物語は豊臣秀吉の備中高松城攻めから始まる。

秀吉がこの時とった戦法は水攻め。
人工で作った堤を決壊させ、城下を水で沈めるというものだ。

それを見守る石田三成は、その華麗さにいつかは自分も、
との思いを強くする。

その後信長が討たれ、秀吉は天下統一に乗り出す。
八年かけて九州と四国を平定し、
いよいよ北条一族の勢力下にある関東にその手をかけた。

北条氏の配下にある城を押さえよ。
三成には武州忍城平定の命令が下された。

忍城には変わった男がいた。当主成田氏長のいとこ、長親だ。
のぼう様と呼ばれている。でくのぼうの略だ。

この長親、農作業が大好きだ。
百姓の手伝いをしたくてたまらないが、
体ばかり大きくて不器用な長親の手伝いは邪魔なだけ。
子供にまで「お侍、まじめにやれ」といわれる始末だ。

三成の大群が忍城を囲んだとき、
城内では降伏するものと話し合いができていた。
戦っても負けるのだ。

だがしかし、三成の送った使者は無礼千万、
のぼうこと長親は開戦を宣言する。

戦う武士たちの個性がすばらしく、
この作品を生き生きとさせている。

気性が荒いが女子供にめっぽう優しい和泉、
魔人と恐れられるほどの槍の達人丹波、
才走った、しかしどこか愛嬌のある靭負。

そして、男たちに負けないほどの腕を持つ甲斐姫の存在が鮮やか。

最初の攻撃を見事撃退した忍城を、
三成は水攻めにすることにした。
百姓を駆り出して堤を築く三成。忍城は絶体絶命だ。

そう、そこでのぼうこと長親が動くのである。
単身で三成軍の前に進み出て、自ら討たれようとする。

軽んじられながらも愛されている長親。
彼が討たれたら百姓たちは黙ってはいまい。
長親を乗せた小船が、堤によってできた湖を走る。
三成は長親を射よと命じた…。

良質のエンターテイメント。
司馬遼太郎の歴史小説と比較しているレビューがアマゾンにあったが、
そもそもそれは間違いである。
目指すところが違う。

司馬遼太郎もすばらしいが、
現代にはこういう小説の方がマッチしていると私は思う。

壮大な歴史ロマンよりも、
弱者の意地、誇り、一矢報いる様の方が、
共感を寄せやすいのではないか。

スカッとする小説を探している方、そんな方にぜひ。









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