2008年07月10日

中国ニセ食品のカラクリ








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2008年07月08日

水戦争






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2008年03月25日

そうだったのか!中国part2






しかしまあ、1冊の本を2回に分けるなんて思いもしなかった。
自分で言ってどうするという感じですが、本当に情報が多いです。

文章も丁寧で平易なので、
中国の現代史を大まかに把握したい方にはおすすめ。

さて、今度は中国と諸外国の関係を述べてみようと思います。

台湾には、中国本土から共産党との権力争いに破れた
国民党が逃れてくる。

同じ共産国家であるソ連とは、
ソ連がスターリンを批判したことから
一時戦争になりかけるほど関係が悪化。
そんな中、対ソ戦略が一致したアメリカと、
中国は関係を深めてゆく。

アメリカに先を越されたものの、
日本も中国と首脳会談を行う。
その際に、中国は戦争においての損害賠償を
放棄すると宣言している。

ケ小平が日本を訪問するなど交流が続き、
中国もここに来て資本主義を導入することを決めた。

彼は、同時に「百花斉放」という方針を打ち出した。
言論の自由、思想の解放を訴えたのだ。

それにより、北京の町角に壁新聞が張られるようになる。
民主化運動が学生たちの間に広がっていく。
それを黙認したのが胡耀邦だ。

ケ小平はそれを許さず、彼を失脚させる。
その後、胡耀邦は心筋梗塞で亡くなるのだが、
それをきっかけに学生たちが立ち上がり、天安門広場に集まった。

学生たちは共産党に反対していたわけではない。
労働者の歌、インターナショナルを歌い、
共産党の下での民主化を要求していた。

しかし、共産党はそれを暴動とし、
未明に打ち上げられた信号弾を合図に
戦車や装甲車を広場に侵攻させた。

現在、中国が若者に対して反日教育を施しているのは
この天安門が与えたショックが大きかったからだと
著者は分析している。

歴史の授業が増やされ、抗日運動を戦った
(本当は、前面に出たのは国民党だったそうです)
共産党の正当性を教え込む。
民主化を叫んでいた若者が、反日を叫ぶのは
この「成果」が出ている。

現在、中国は軍事力を強化し、都市の経済を発展させている。
しかし、農民は戸籍法のため農村を離れることができず、
重い税金に苦しんでいる。

そんな現在の中国にも筆は及んでいる。

私は高校の頃、世界史を選択していましたが、
こんな現代史は学んでいませんでした。
今さらですが、中国の姿を知るのには最適な一冊かと。

それにしても、スタッフさんのご協力ももちろんおありでしょうが、
この池上さんという方の勉強量はものすごい。
感動した!





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2008年03月24日

そうだったのか!中国




先週から、北京オリンピックに関するニュースを
耳にするようになりました。
開催直前なのに、明るいものばかりではありません。

地理的に、とても近しい国中国。
その姿を、私は案外と知らないのではないか。

そう考えたので、本屋さんで中国関連の本を探してきました。
この「そうだったのか!」シリーズは何度か取り上げています。
マンネリかとも思いましたが、
中国関連の中で一番扇情的・感情的でなく、
情報が多いという点ではこちらが一番だったように思います。

中国の現代史を、非常に詳しく解説しています。
内容が濃いので、今日と明日、
二日に分けてご紹介させていただきたいと思います。

本日は、共産党の成り立ちと話題のチベット問題について。

1941年、毛沢東は天安門の上に立ち、
中華人民共和国の成立を宣言した。
農民に土地を与えるというやり方で、
大多数の人民に支持されての船出である。

中国では共産党が一番の権力を持っている。
警察や司法も、共産党の「指導を受ける」という地位だ。

土地を農民に戻してその地位を得たのに、
権力を握った共産党は、再び農民から土地を取り上げる。
国家の持ち物ということになる。

自分のものでなくなった土地に、
農民のモチベーションは下がる一方だった。

さらに、稲を密集して植える
(見た目では豊富に実っているように見える)、
深く耕すとよいと教えられたため、
数メートル畑を掘るなどの荒唐無稽な農法で、
生産量は激減。国土を飢餓が襲う。

さらに、知識人を追放するための文化大革命が起きた。
資本家、地主などが労働者の敵として祭り上げられた。

この革命で、300万人が投獄され、
50万人が処刑されたというデータがあるが、
自殺者、武力闘争などでの犠牲者はもっといるはずだ。

また、現在ニュースが取り上げ始めた
チベットについても述べらている。

中国にとって、チベットは「僧侶が支配している封建社会」。
それを解放するという大義名分の下、中国は侵攻を開始する。

1951年、チベットを地方政府として認める
「チベット平和解放に関する協定」を結ぶ。

チベット人の望まない改革は行わないという内容のものであったが、
実際には、首都ラサに2万人の兵士が配置された。
これは当時のラサの人口の約半分にあたるというから
かなり大規模である。

チベット族の反乱が相次ぎ、共産党はこれを弾圧。
処刑の際に「ダライ・ラマ万歳」を叫ぶ人の
舌を引き抜くこともしたそうです。

チベットが被害を受けたのは弾圧だけではない。
中国本土を飢餓に陥れた共産党的手法の農業が導入され、
気候に合わない農作物の栽培が強制された。

環境汚染、伝統的農業の破壊。
これらも十分にチベット人を窮地に追いやっているのである。

北京からラサへの直通鉄道ができて以来、
漢族が大量にチベットにやってきている。

漢族の勢力が大きくなるチベットから、
インドへ亡命する人たちが増えているが、
中国の国境警備隊が彼らに発砲する事件もあった。

マスコミでは暴動と言っているが、
果たしてそれは正確な言葉なのだろうか。

明日は天安門と反日政策について、
こちらの本の内容をまとめてみようと考えています。





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2008年03月13日

生きさせろ!





生きさせろ!
非常に生々しいタイトルである。
フリーター、ワーキングプアをテーマにした本。

著者は1975年生まれ、32歳。就職氷河期と呼ばれる世代である。
彼女自身、美大受験失敗の後フリーターを経験している。
そのせいか、やや感情的なのがこの本の悪いところでもあり、
よいところとも言えるかもしれない。

著者によると、現在の劣悪な労働環境を作り出したのは
95年に出された「新世代の日本的経営」という提言だそうだ。
まとめたのは日経連である。

それによると、不況に陥る日本において、労働者は

1、長期蓄積能力活用型
2、高度能力専門活用型
3、雇用柔軟型

の3つのパターンに分けるべきだという。

1が正社員、
2が、どうなんだろう、フリーで活躍する
クリエイティブな仕事をする人か。

そして、3が仕事の量に応じて調整する派遣、
日雇い労働者ということだ。

この本は、「あなたは悪くない!」というメッセージを
何度も発している。

フリーターになって、その状況から抜け出すことができなくても
自分を責めないで。
国家と大企業が、その状況を作り出しているのだ、ということを
何度も述べる。

その根拠となるのがこの提言というわけだ。

この本には、劣悪な労働環境で働かされる人々のことが
たくさん出てくる。
中でも驚いたのが、カメラの製造メーカーで派遣として働き、
過労死した23歳の若者の話だ。

彼はアメリカの大学に留学するため、
派遣をして学費を貯めようとする。

不規則な勤務、海外出張、長時間の残業、休日出勤。
これ、非正規雇用の若者がこなすべき仕事なの?

やせこけて、うつ病になり自殺。
死後2日発見されなかったというのだが、
23歳の若い男性の人生がこんな風でいいわけはない。
残されたお母様の心痛を思うと胸が痛い。

彼の場合はまだ帰る家があったわけだが、
何らかの理由で家族のもとへ帰れない人間だっている。

そんなときは、我慢しないで生活保護を堂々と申請すればいい。
するための支援団体、申請マニュアルなども掲載されている。

なんというかなあ。

著者が非常に感情的なので、読んでいて
少し引いてしまう部分はある。それが悪いところ、よくない部分だ。

しかしこの、ある意味「なんでも企業と国が悪い!」という
鬱屈した、理不尽ともいえる怒り。

これは、同じ就職氷河期世代の私には少なからず
同調もできる部分なのである。
冷静に見たら「ちょっと自分勝手だろ」とすら言える怒りを
素直に表現しているという点ではいい本と言えるのではないか。

生きる権利は誰にだってある。
憲法で保障もされているはずなんだよな。




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近代ヤクザ肯定論





山口組の成立から90年。
その変質を丁寧に追うことで、ヤクザの歴史、
果ては日本社会の変質にまで言及している。

初代山口組の組長となる山口春吉は、
故郷の淡路島で食いはぐれて、港町神戸にやってきた。
神戸にはたくさんの船が着く。技能を必要としない、
体ひとつで働くことのできる仕事があった。

まじめで義理堅い性格の春吉は、次第に仲間たちの信頼を得てゆく。
当時、日雇いで低賃金の労働者を束ねているのはヤクザであった。

労働者のリーダーになった春吉は、
自然にヤクザとも連携を持つことになり、ここに山口組が誕生した。
山口組の最初の姿は、下層労働者たちの寄せ集め集団だったのだ。

春吉は実直な労働者で、ヤクザの組の運営には向いていないと
自ら判断したようだ。
早々に長男の登に代を譲る。
彼が二代目組長である。
その登は、芸能などの分野に手を広げ、組を発展させる。

著者は言う。ヤクザは日本社会の中に組み入れられた、
社会に根づいた存在であった、と。

被差別部落の仕事の仲介をしたり、
長子相続のために田畑を持てない次男、三男たちに
生活のすべを与えるのがヤクザであった。
村で困ったことが起きるとヤクザに仲介を求め、
カネの無心に行くこともごく普通に見られる姿だった。

著者のご実家(ヤクザの組である)に
相談に来る人々が書かれているが、
敬遠されつつもその存在を認められていた当時の様子が想像できる。
社会からあぶれたものの受け皿、と言ったところか。

戦後の混乱期、日本には生存のために集団を作る人々の姿があった。
台湾人、朝鮮人の集団が、極貧を生き抜くために結束し、
暴動を起こすことがあった。

朝鮮人の集団と言っても、そこに日本人が混じっていることも
多く見られた。
思想哲学というより、生活のために結びついた集団で、
市内で銃撃戦を繰り広げることもあったそうだ。

その鎮圧に当たったのがヤクザである。警察署を占拠され、
ヤクザの力を借りて脱出する警官もいたのだそうだ。

本来公的機関が行うべき「負のサービス」を
ヤクザが担ってきたという事実がそこにはある。

しかし、経済発展を遂げる社会にはその不安定な存在は不要になる。
社会の格差がなくなり、中流化がすすむ社会には
ヤクザは存在することができない。

そんな中、山口組を大きく変貌させたのが三代目、田岡一雄である。
彼は、組員に「駄菓子屋でもいい」、仕事を与えようとした。

事業部を設立し、暴力組織と切り離した。芸能部を設立し、
もとのつてをたどって港湾関係の会社に食い込んだ。
土木の分野にも手を伸ばした。

田岡に関する記述は多く、
ここで少ししか紹介できないことが残念である。
非常に任侠心にあふれた人柄であったようだ。

彼がお嬢さんに、「お父さん、山口組って何?」と聞かれたときの
答えが彼の心情を語っている。

「人間てな、いや、男というもんは弱いもんや。
ひとりでおられへん。そやから、みんなで集まるんや」

警察による暴力団追放の動き、カリスマである田岡の死によって、
日本のヤクザはひとつ大きな転換期を迎えたようだ。

現在、格差社会の中でドロップアウトする人間は増えつつある。
だが、そこにかつてのような受け皿はない。

ヤクザを肯定するとは何事か、とお叱りを受けるかもしれない。

しかし、著者が書こうとしているのは差別をされ、
社会にうまく適合できなかった人間の歴史である。
常に矛盾をはらんでいる人間社会の記録である。

戦後の裏社会の動きとしても大変面白い。
情報、文章の量がとても多いので、読むのには時間がかかるが、
それを無駄だとは絶対に思わない。

読み応えあり。今週ご紹介した本の中で一番おすすめの一冊。





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2008年02月22日

世界を変える人たち




「社会起業家」という言葉が近年注目されている。
アメリカの有名大学では、
社会起業家精神のコースが設けられているそうだ。

しかし、社会起業家は単なるビジネスパーソンではない。
不屈の精神を持って、
新しいアイディアで世界を変えていく人間だ。

文字通り、まわりの人たちの考えを変え、政府を動かし、
ビジョンを実現していく改革者である。

本書では十人の社会起業家と
彼らを支援する組織のことが書かれている。

そのうちの一人、ファビオ・ロサについて少しご紹介。

1982年、大学を卒業したばかりのロサは
ブラジルのパルマレスという村を訪れる。

その村の主な収入源は米作りだったが、
パルマレスは水に乏しい土地だった。
井戸を掘ろうと思うが、動力になる電気が通っていない。

ロサはある日、格安の材料でできる発電設備があることを知った。
農民を説得し、市に新しい部門を設け、
国立経済社会開発銀行(BNDES)の
融資を受けられる約束を取り付ける。

電力会社の妨害を受けながらも、2年後には一世帯辺り
400ドルで電気が引けるようになった。
400世帯が電気を引き、その75パーセントが送水ポンプを購入した。

発電施設を導入した農家は、
月の収入が50ドルから200ドルにはねあがった。

仕事を求めて都市部に出て行った人も戻ってくることができた。

順調に見えた事業だが、91年にはブラジル経済が混乱し、
BNDESからの融資がストップしてしまう。

政府に頼ることをやめたロサは、
STAアグロエレトロという営利企業を立ち上げ、
ソーラーシステムを販売することに決めた。

さまざまな困難をものともせず、
ロサは現在でも貧しい地域の人々に電気を届ける仕事をしている。

他にも、低収入の家庭の子供を大学に行かせるプロジェクト
(アメリカ)、
障害者が人間らしく生きられる施設を作った女性(ハンガリー)、
エイズ患者をケアする運動(南アフリカ)など、
社会的に意義のある活動をしている人たちがいる。

それらの社会起業家を支援する組織に、
アショカというものがある。

アメリカの環境保護庁出身の、
ビル・ドレイトンという人が作った組織だ。

アショカはフェローと認定された人たちに
固定給としてお金を援助する。
支給期間は3年ほど。
人に融資するのでその使い道は問わない。

それだけに、選考は慎重を極めたものだ。
創造性、起業家にふさわしい性格、アイディアの中身、
倫理観が基準となる。

一番高いハードルは、
二番目の起業家にふさわしい性格という項目だそうで、
たいていはこれで振り落とされてしまう。

情熱、物事を成し遂げる力はもちろん、
彼らがふさわしいと認定する条件は、
「世界を変えることができる人」というものだ。

営利ももちろん追求しながら、
世界を変える仕事をしている人が世の中にはこんなにもいる。
いいもんですな。
週末に読むのにふさわしい、希望とパワーをもらえる一冊。





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2008年02月15日

中国に生きる




今年はオリンピックが開かれる中国。
その実態を、14の章に分けてレポートしている。

日本の100円ショップで売られている商品は、
ほとんどが中国で製造されている。
働く人の月収は、1万8千円程度。

大量に買う100円ショップとしては、
1円の価格差が大きな意味を持つ。

日本からのバイヤーは、商品の仕入れ価格を1円下げるために
3日粘ったこともある。

2万円弱の月収でミシンを踏み続ける青年がいる一方、
経済発展を遂げる中国には巨額の富を手にする人間もいる。

不動産の投資によって数百億円の金を手に入れた人。
広告会社を立ち上げて、ナスダックに上場させた元詩人。

中国のパソコンメーカーで、レノボという会社があるが、
この会社が昨年IBMを買収した。
中国では評価はされていないが、世界に向けて
着実に歩を進めている。

経済発展の恩恵から取り残されているのは農民たちだ。

四川省では、「開発区建設計画」の名の下に、
土地を強制的に取り上げられた農民がいる。

農民の一人がその窮状を訴え続け、
ついに最高裁で「適切に処理するように」との紹介状を手に入れた。
が、四川省の裁判所職員はそれを紙くず扱いして
取り合ってくれなかった。

そんな中国では、キリスト教がその信者を増やしている。
中国では非公認の宗教であるが、
地下教会に通う信者は年々その数が増している。

日本と中国。靖国問題で揺れる。
中国では今でも反日教育が行われている。
テレビドラマでは残虐な振る舞いをする日本軍人の姿が
いまだに描かれている。

その役を演じるのは日本人の俳優。
日本では無名だが中国ドラマへの出演は多い。

だが、市井の人々の間には意識の変化が生じている。

谷村新司のコンサートには大勢の中国人が集まる。

また、タクシーの運転手がこう言ったという。
「これは政治体制の問題。民主主義がなく、世論が誘導されている。
反日になる中国人を責めないで欲しい」

本や民間の交流で、一般の人々の間には
中国政府の行う愛国教育に違和感を感じている人たちが増えている。

追いつめられるのは子供たちだ。
格差の激しい中国で、親は子供が裕福に暮らせることを必死で祈る。

勉強しかさせてもらえず、友達との交流もなく、
自殺をはかるまでに神経を病む子供。
母親にカッターナイフで切りつけることが
日常化している子供もいる。

事実を、これでもかと列挙する。中国の実情がわかる良書。

受験ノイローゼ、建築ラッシュや新興事業によるバブル、
開発に伴う環境破壊。
かつて見た風景を思い起こさせる。



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2008年01月22日

不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!




報道カメラマン、
宮嶋茂樹が14歳の子供に向けて語っている。

14歳の世渡りシリーズと銘打たれた本だが、
大人が読んでも十分におもしろい。

なんせあの不肖・宮嶋だ。世界中の危険な現場をカメラ片手に
渡り歩いた男だ。著作も数多く、
本音で語る独特の文章にファンの方も多いと思う。

この本には、情報との付き合い方、
自分の目標を追うやり方が書かれている。

宮嶋茂樹は徹底した現場主義である。
インターネットでの情報を信用せず、

「ほんまいかな、よし、現場行ってみよう」

というスタンスで仕事をしている。

実際に現場で見てみると、
事前の情報と違うということは多い。

ジャワ島で地震が起きたときもさっそく出かけた。
報道では死者は2727人と言われていた。

だが、現地では全く様相が違っていた。
最終的に出た死者・行方不明者の数は669人であった。
自分の目で確かめるには行動が必要で、
真実は行動の先にあるのである。

私たちはテレビでキャスターが言う情報を真に受けてしまうが、
彼らは現場に出ることはない。

スタッフが集めてきた情報をもとにコメントをしているのだ。

それに、クレームやスポンサーへの配慮もあるので、
当たりさわりのないことしか言えない。

それを念頭に入れた上で、自分の考えを持つようにしよう。
決してテレビを権威と考えてはいけない。

将来を悩んでいる子供に、宮嶋は言う。
自分は高校以来、人に悩みを相談したことがない、と。

カメラマンになると決めて、自分で行動してきた。
フリーなので、自分で仕事を見つけて現場に行ってきた。

一流の人間というのは、一人でものを考えて行動する。
友達が必要ないというわけではないが、
決断するのは自分でありたいもの。

この本を通して、宮嶋茂樹というオッサンが、
写真一枚に命をかけているのがよくわかる。

彼は「ペンは剣より強し」ではなく、
「写真はペンより強し」を信じている。

一枚の写真が世の中に及ぼす影響を信じて、
今日も現場で写真を撮っているのだ。

マスコミの裏話あり、日本はイラクよりも危険という話あり、
内容も豊富。おすすめ。




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2008年01月17日

ネットカフェ難民と貧困ニッポン




ネットカフェ難民なる言葉を
最初に言い始めたのは日本テレビなのだそうだ。
その実態、問題点を描いた一冊。

ここまでひどいものだとは知らなかった。
若い人が夜遊びがすぎて寝る場所がなくて
ネットカフェを利用している。

その程度の認職しかなかったことを本当に、心から反省している。

最初に、ネットカフェに寝泊りしている人たちにインタビューし、
その生活と生い立ちを書いている。

IT企業に就職したものの、
手取りが15万程度で残業続き、休みなし。
思い切って転職したがうまくいかず、失業、
家を失った男性がいる。

最初はお金をためてアパートを借りるつもりだった。
しかし、洗濯にも、食事にもお金がかかるネットカフェ生活では
まとまったお金をためるのは難しい。

住所がないため日雇いの仕事しかなく、
安定していないのもネックになる。

「普通をキープするのは難しくない。
しかし、そこから一度落ちてしまうと
戻ることは無理なように思える。」

彼らは100円のお金を節約したために
体を壊してしまうような生活をしている。
そして、体を壊すと仕事に就けなくなってしまう。

彼らが貧困に陥る原因を、5つ、この本では述べている。
ゴジュウノハイジョと言っている。

・教育からの排除 
貧困層に陥る人たちは総じて学歴が低い。

・公的援助からの排除 
生活保護を受けられる立場にも関わらず、
公的機関はなかなかその認定をしない。

・企業福祉からの排除 
日雇いで、必要なくなったらすぐに
クビになってしまうような仕事しかない。

・家庭からの排除 
中には虐待を受けて家庭から逃げてきた人もいて、
家で生活をすることができない。

・自己からの排除 
自己責任という言葉が声高に叫ばれる現代において、
貧困に陥ったのは自分の責任だという考え方をしている人が多い。
自己評価が低い。

また、彼らを食い物にする企業もたくさんある。
貧困ビジネスと著者は言っている。

手数料を37%もとる人材派遣会社。
仕事で使う備品も自己負担なので手取りは雀の涙ほどしか残らない。

家賃を滞納したら即日退去、
残った荷物は取り上げるという形式の賃貸物件もあるという。

なんなんだ、いったい。
まともに働く場所も、寝る場所もなく、
ひとつのお弁当を2回に分けて飢えをしのぐような貧困が、
いつの間に日本にこんなにはびこったんだ?

努力の欠如、自己責任。
こんな言葉で片付けてしまって、本当にいいんだろうか。

非常に読み応えがある。
どうせテレビ番組の適当なまとめ本だろうなんて思っていたのだが、
今まで読んだ格差関連の本の中で
一番重い内容だった。

現実なんだもん。評論じゃないんだもん。

これで1000円は安い。おすすめ。





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2007年12月08日

下流志向




講演会でお話した内容を元に書かれた本。
なので、データや資料が少ない。
それを念頭に入れて読みすすめるといい。

著者は、子供の授業参観に行ってその様子に愕然とする。
過半数の子供が、居眠りをしたり、立ち歩いたり、
後ろを向いて私語をしたりしているからだ。

これをみた著者は、子供たちは「意思を持って」
学ぶことから逃げていると考える。

学ぶことに無関心、無気力であればぼんやり前を向いて
担任の顔を見ていてもいいわけだから。

昔の子供たちは家庭の中で労働をすることで家庭、
ひいては社会に参加し、その居場所を確保していった。

お手伝いをしてほめられ、
家族の一員として認められていったのだ。

だが、今の子供たちは最初に消費することで社会参加を体験する。
お小づかいをもらい、コンビニなりへ行ってモノを買う。
お金を持てば、大人と同じ扱いがされることを学ぶ。

学校で授業をきかない子供たちは、
教育を消費するものをして考えている。

「どうして勉強をしないといけないのですか?」と
教師に問う子供がいるが、それはつまり、
「授業中、おとなしく聞くという苦役を対価として
支払うだけの価値はあるのですか?」ということなのだ。

(しかし、私の中学時代の先生は、
「勉強するのはよい人間になるためです。」と
はっきり言い切りました。

なぜ勉強するのかという根源的な問いに、
大人も自分なりの哲学を語ってやってもいいのではないかと思う。)

消費者としての子供たちは、
勉強に意味がないと感じるとそれを放棄してしまう。

それは大人になった若い世代でも同じことである。
仕事をはじめ、「人よりつらい仕事をしているのに
対価が十分ではない」と感じると、それから逃走してしまう。

それが、ニートや正社員として働きたがらない
若い人の心象である、と著者は言う。

消費者である以上、支払ったものと同等の対価が、
時間のずれをなくして与えられるべきという考え方が、
今の若い人たちの勉強や労働からの逃避行動の根幹にある。

この考え方は斬新だと思う。

ただ、やや若い世代の現実とは乖離している部分もある。
若い人が労働に対してすぐに対価を求めるのは、
年功序列で給料が上がる保証がないことに対する
恐れのせいではないか。

ニートや非正社員の増加は社会構造の問題でもあるはずだ。
若い人個人の責任だけではないのだ、と
まだ若い世代でいるつもりの私は言いたい。

あわせて、山田昌弘氏の新平等社会
城繁幸氏の若者はなぜ3年で辞めるのか?
読まれることをおすすめする。





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2007年11月30日

でっちあげ




福岡市のある公立小学校で
いじめ事件が発生した。

いじめの犯人はクラス担任の教師である。
ある男子児童にアメリカ人の曽祖父がいると知った教師は
「血が穢れている」と言い、彼に体罰を加えた。

その体罰は、両頬を強くつかむ、
もしくはぐりぐりと拳を押し付けるアンパンマン、
また、両耳をつかんで体を持ち上げるミッキーマウスなど、
教師が独自の名前をつけた凄惨なもの。

児童はPSTD障害にかかり、
両親は教師に損害賠償を請求する訴えを地方裁判所に起こした。

朝日新聞をはじめとするマスコミがこぞって報道し、
殺人教師なるあだ名をつけた報道機関もあった。

だが、裁判所は両親の訴えを棄却。
事件の真相は意外なものであった。

事の発端は教師、川上が浅川裕二の家を家庭訪問でたずねた日の
何気ない会話である。

その中で、裕二の母和子は
自分の祖父がアメリカ人であることを話した。
帰国子女なので、日本語を習得するまでに苦労があったことも。

川上は世間話として当たり障りのない返答をしただけだった。

それから3週間後、和子が学校に
「子供が血が穢れていると言われ、体罰を加えられている」
と訴えてきた。

穏便にという校長の指示があり、いったんは謝罪する川上。

しかし和子の主張はエスカレートし、
川上のクラスには川上を監視する目的で副担任がおかれ、
ついには半年間の停職を命じられる。

裁判にまで発展したときには、
マスコミの報道により川上は孤立¥無援に近い状態だった。

裁判がすすむにつれ、原告側の主張に違和感が生じてくる。

まず、和子の言うアメリカ人の尊属は浅川家にはいないこと。
和子はアメリカ育ちというが、
地元の小中学校を卒業していること。

また、PSTDといったんは診断された裕二だが、
入院先の病院ではそのそぶりはまるで記録されていなかった。

いたって元気な、やんちゃといってもいいほどの元気ぶりが
日誌に記録されている。

耳から血が出たなどという「体罰による」怪我も認められなかった。

これ、いわゆるクレーマーというやつではないでしょうか。
以前にクレーマーに関する本を読んだことがありますが、
針小棒大に物事を述べるところがクレーマーそのもの。

それならば、きちんと筋道を正して対応するのが正解だと
その本には書いてあった。

父兄の主張におもねり、「穏便に」すませようとした
校長の態度が事件を大きくしたように思える。

そして、真相を知ろうとせず盲目的に教師をたたこうとする
マスコミの姿勢にも背筋が凍る思いがする。

「川上先生はそんなことをしない。」

子どもたちはテレビの報道を見てショックを受けていたそうだ。

一番の被害者は子どもである。




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2007年11月15日

実録ドラッグ・リポート




面白かったです。
小林紀晴のアジアンジャパニーズに
ドラックの話題をプラスしました、という感じ。
いや、ドラッグの話題アジアンジャパニーズ風味、かな。

著者はドラッグには慣れている様子。
そのせいか、大げさだったり変に驚いたりせずに
淡々とその話題が書かれているので、
少しディープなアジア旅行記という感じなのがすごい。

インドのバラナシで長期滞在した著者は、
ネットカフェを経営している男と知り合う。
彼はドラッグの仲介もしており、
ハシシ(マリファナ)を売っている。

男には弟がいて、名前をタージと言う。
強引なセールスをしかける兄と違って、紳士的な彼と親しくなる。

著者はここでマナリ・クリームという
最高級のマリファナを試してみたいと思っていた。

ある日、タージがそれを体験させてやってもいいというので
着いていくと、部屋に閉じ込められ、監禁された。

仲間の男たちがいて、
「いくら買う?400ドル?500ドル?」と迫ってくる。

なんとか交渉して、無事逃げることができた著者。

タージはしかし、こういうやり方に罪悪感を持っている。

著者がバラナシを出る前日、ビールを飲みに行こうと誘い、
「本当はおごりたいんだけど、
お金がないからシェアしてもいか?」と問う。
純粋ないい青年なのだ。

監禁されて逃げ出すまでの
緊迫感あふれる交渉もさることながら、
著者が現地の人たちとこういう交流ができる人物であることが、
ただのドラッグレポートと違っているところだと思う。

ミャンマーでは、
ゴールデントライアングルに潜入しようと試みる。

しかし、軍事政権下のミャンマーでは、
ケシの産地であるゴールデントライアングルに近づくことは
命すら危ない。

著者は、以前日本に留学していたミャンマー人の友人二人と
車でそこに向かう。

切り立つ崖と谷に挟まれた狭い道。
山が険しいので大きく迂回せざるを得ず、
「1時間前に通った道が、
谷間をはさんで100メートル先に見える」という状況だから
疲労も募る。

そして、あと100キロという辺りで、
とうとう軍の検問につかまってしまった…。

ブラウンシュガーというのは、純度の低いヘロインのこと。
不純物が混じっていて、茶色っぽく見えるのでこういわれる。

マリファナを育成するのに、
雄株と雌株を近づけすぎてはいけない。
受粉すると、麻薬として有用な成分がなくなってしまう。

こんなドラッグに関する知識も豊富。
一体この人、何してる人なんだ?
(マスコミ関係者らしいですが。)

自分ではできないが、話を聞くのは面白い。
そういう本。

著者が売春に関して潔癖であるのも、
私は好感を持って読めました。
ほんと、ドラッグが好きなのね。




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2007年11月02日

9.11オフィシャルレポート




2001年9月11日、
アメリカで起きた同時多発テロ。

その全容を解明すべく、
政府の干渉を受けない独立機関として調査委員会が設立された。

そして、2004年7月22日、
調査委員会は500ページにも及ぶ詳細な最終報告を提出、出版した。

本日ご紹介する本は、その調査報告をコミックにして、
福井晴敏氏が翻訳をしたもの。

コミックといってもあんまり読みやすくはない。
アメコミの絵柄に慣れていないせいもあるが、
基本的に報告書にイラストをつけたという感じのものなので。

それでも、書かれている内容には興味深いものが多い。

最初に、ハイジャックされた4機が
墜落するまでの出来事を時系列順に描いている。

最初の1機がビルに激突したとき、
連邦政府機関のほとんどはCNNでそのニュースを知った。
その時刻は8時46分。

政府機関でテレビ会議が始まったものの、
担当者が全員そろったのは10時をまわるころ。

突然の出来事のように思えるが、その兆候は以前からあった。

1998年、ビン・ラディンはアラビア語新聞を発行。
その中でアメリカ人を殺害することをイスラム教徒の義務、と
呼びかけた。

ビン・ラディンという人物の危険性を、
アメリカ政府はかなり前から知っていみたい。

でも、FBIではその調査は出世につながらないので熱心ではなく、
CIAにはアラビア関連の専門家が少なかった。

それでも、クリントン元大統領は、
ブッシュ氏にアルカイダの危険性を訴えたらしい。

しかし、我らがジョージは
「テロリズムについて言及していたが、
アルカイダのことを多く語ったという記憶はない」そうだ。

実行犯たちがどうやってアメリカに入り、
訓練を受けたかが詳細に書かれていて、
このテロが綿密に計画されたものというのがわかる。

と同時に、どうして計画の段階で
防ぐことができなかったのかという思いもする。

移民局は情報を知らされておらず、
FBIとCIAでは情報が共有化されることはなかった。
ビン・ラディンの爆殺も計画されたが、結局実行されなかった。

あとがきで福井氏も書いているけど、
アメリカも日本とそう変わらないところがあるんだな、と思う。

「存在していても機能しないシステム。縦割り行政の弊害。
組織のしがらみのなかで失われていく人間の想像力。」

そういうものがこのテロを見逃したといっても過言ではない。

最後に、このテロで活躍した消防隊のことを。

消防隊はビルに人命救助のためにビルに入り、
隊員から犠牲者を出した。
それは通信設備の不備が原因で、
そのことは3年も前から消防隊より指摘されていたのだそうだ。




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2007年10月17日

麻生太郎・とてつもない日本




タイトルの、とてつもない日本というのは、
麻生太郎氏の祖父、吉田茂氏の言葉だ。

日本はもっとよくなる、日本はとてつもない底力を持っていると、
かつて吉田茂は孫に言ったそうだ。

HPに連載していたエッセイをまとめたものだそうだが、
文章も軽妙でユーモアたっぷりなので、
笑いながら読むことができる。

現在日本は、

「アジアで最も古い民主主義国家、
市場経済国家として、安定的な精力である。」

と麻生氏は言う。

よく新聞などでは孤立した日本、と書かれたりもするが、
まわりの国々はそうは考えていない。

かつてナショナリズムの暴走があったが、
そのような失敗もさらけだして、
まわりの国々の民主化に協力したい。

麻生氏は、アジアがひとつのしなやかで緩やかなネットワーク
で結ばれればよいと論じている。

対等な関係で、
「他社に寛容、開かれた集落、知恵を出し合って
問題を乗り越えていく」アジア型のコミュニティが
できればよいと考えている。

外務大臣であった麻生氏は、各国を訪問して、
日本は決して嫌われている国ではない、と言う。

アジア各国の若者は日本の文化が大好きである。

この辺は、麻生氏の得意分野、
サブカルチャーについても十分にページを割いて語ってくれている。

バンコクの町では日本語のファッション雑誌がよく売れている。
椎名林檎や宇多田ヒカルの曲を、カラオケで、
日本語で歌う若者がたくさんいる。
ミッキーやドナルドではなく、ポケモンやドラえもんが、
各国では大人気だ。

このようなソフトのもつ力を、日本はもっと評価すべきである。

麻生氏は外交をこのように例える。

子どもの頃、クラスにいた子を思い出して欲しい。
・喧嘩が強く、ガキ大将のA君。(アメリカ)
・腕力はそれほどでもないが、賢くて一目置かれているB君。
(フランスなど)
・個性的で、知恵もあるお金持ちで誤解されやすいC君。
(日本)

C君はA君に知恵を貸しながら、仲良くやればいい。
それが現実的な処世術ではないか。

このように、麻生氏は話が上手でおもしろい。

教育格差というが、皆が大学に、
さらに言えば東大に行く必要はない。

地方分権を進めて、中央官庁が
地方の政治に口を出すことはやめたほうがいい。

高齢化を嘆くが、今の高齢者は
若者より金持ちで健康である。

ちなみに、著者はジョン・レノンと同い年だそうだ。
「思い切り単純化して言えば、老人は俳句や詩吟より
ロックンロールの世代なのだ」
という文章にには笑った。

靖国は外交問題ではない。政治問題でもない。
国家がきちんと戦争で戦った人たちに報いるのは
当たり前である。

高齢化、格差、少子化。
このように暗い本が多い中、明るく、楽天的になれる一冊。
難しくなく、さらりと読めるので一読されても損はないかも。



とてつもない日本、
面白いエピソードを集めてみました♪
http://haraguro-momo.seesaa.net/article/61098733.html


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2007年10月06日

バチカン・エクソシスト




オカルト本でも、
今流行のスピリチュアル本でもない。

著者はジャーナリスト。イタリアで、
この現代に活動しているエクソシストの
実態を追ったノンフィクション。

エクソシストというと、
どうしてもあの映画を思い出してしまう。
それにしても、現代に本当に悪魔と戦う人がいるのか?

だが、イタリアでは実際に、
「美容院に行くのと同じくらい」の気持ちで
エクソシストのところに来る人がいるのだとか。

そして、映画みたいに一回で悪魔を追い払うのではなく、
虫歯の治療のように、
長年通っている人がほとんどなのだそうだ。

エクソシスト。
彼らはカトリックの司祭である。
では、教会は彼らのことをどう見ているのか?

教会はエクソシストの存在にいい印象を持っていない。
疑惑と、困惑をもって見ている。

いわば、エクソシストは教会の異端であるのだ。

本書では、数人のエクソシストたちの横顔を垣間見せてくれるが、
中にはエクソシストの立場にあることに疲弊している人物もいる。

もちろん、まじめにその仕事に向かっている人もいる。
アルモス神父は精力的に悪魔祓いを行い、
たくさんの人を救っている。

国際エクソシスト教会を発足させ、
イタリアで20人しかいなかったエクソシストを
350人ほどに増やすことに尽力した。

そのエクソシストたちの大部分の見解としては、
本物の悪魔憑きは非常にまれだと考えている。

私が読んだ感じでも、セラピスト、という印象が強い。
(中には、エクソシストに精神的に依存するあまりか、
「蚊に刺されてかゆい」とパニックになって
電話してくる信者もいるらしい。)

現代キリスト教会も、
「悪魔祓いを行う前に、
依頼してきた人物が精神的、もしくは肉体的な病気ではないことを
確認しなければいけない」という見解を譲らない。

この辺は微妙で、医者の立場からしてみると、
悪魔に憑かれたと思っている人たちは
解離性障害だとも考えられるのである。

イタリアでは、精神病と診断されることが
非常に不名誉であるらしい。
それがエクソシストの存在する土壌であるような記述もある。

また、科学の発達で教会の権威が揺らいだこと。
そのせいでオカルトや迷信めいたものが流行していることに
関係があるのか、と著者は言う。

教会も、信者の話に耳を傾ける司祭は少ないらしい。

信じていた宗教の「揺らぎ」のようなものが、
人々に不安を与え、そこに悪魔の存在を見るのだろうか?

悪魔に憑かれた人たちは、教会を恐れ、十字架におびえ、
信仰から目をそむける。

しかし、私が読んだ印象では、それはヒステリーであり、
強迫観念であるようにも思える。

だけど、針を吐き出したりする人もいるようなんだな。

結局、エクソシストの是非には触れていない。
事実を淡々と述べる書き方には好感が持てる。

悪魔祓いの歴史から、現代キリスト教の置かれている立場まで、
よく書かれた本。




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2007年09月20日

安倍晋三の本性




びっくりしましたね。
いや、まさかこのタイミングで辞任されるとは。

そして私も、いささかタイミングをはずしたところで
こちらの本をご紹介。

安倍晋三とはどんな人間なのか。
バックグラウンドから思想まで、資料をもとに書かれた本です。

表紙は安倍氏の人形の写真ですが、
のっぺりとした紙人形が不気味です。
基本的に安倍氏には否定的な立場で書かれた本です。

安倍氏はなぜ、
議員になってわずか13年で総理大臣になることができたのか。

それは彼の血筋のよさだとこの本では言っています。

父親は自民党幹事長や官房長官、通産大臣、
外務大臣を歴任した安倍晋太郎氏。
母親は岸信介元首相の娘です。

まえがきでおもしろいエピソードがあります。

中国の資料館を訪ねた安倍氏。
ガイドが、「この人は中国を支配した一番悪い人」
と説明したのが祖父である岸信介。

同行した荒井氏が、
「この人(安倍氏)はその人(岸氏)の孫ですよ」と言って、
ガイドが息を呑む場面があったそう。
荒井氏こそまさに、「空気読め」である。

さて、そんな岸氏のDNAを受け継ぐ安倍氏は、
ソフトな面持ちからは想像もつかない極右翼的思想の持ち主である。

先の戦争においてのアジア諸国への加害を認めない
「新しい歴史教科書をつくる会」、
改憲・翼賛の右翼団体「日本会議」、
天皇中心の日本を標榜する「神道政治連盟」。
阿部氏はそれらの組織とつながりがある。

また、新興宗教団体である統一教会との関連も指摘されている。

日本を戦争のできる国にするために、
安倍氏は教育改革にも取り組もうとしている。

イギリスで、教育改革を行った際に
自虐史観に当たると思われる記述を教科書からなくした、
日本もそれにならいたいとと安倍氏は主張しているそうだ。

だが、確かにそのような教科書はできたが、
やはり、自国の侵略の歴史を教える教科書も存在するので、
多様性が増しただけだと本書では反論している。

ソフトなイメージの安倍氏が、長く首相の座にあり続け、
本性をむきだしたときが恐ろしい、と警告している本。

これ、発行されたの、2006年10月30日です。
まだ時代遅れになるには早すぎるはずなんだけど。

警告が無駄になって、著者の方たちは安心しているのか、
拍子抜けしているのか。
それが気になる。



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2007年09月14日

道路の決着




先日読んだ、
「絶望に効くクスリ」に登場した猪瀬直樹さんの本。
興味があったので読んでみました。

読んでいて非常にいらいらする。
文章がおかしいとか、まわりくどいとかそういうのではない。

猪瀬氏の奮闘が空回り、空回りで、
なぜこんなに前に進まないのかと怒りが沸いてくる。

2002年に猪瀬氏は道路公団の民営化委員会の委員として就任した。

猪瀬氏は摘発する。
道路公団が発注する工事は、
予定価格の97%という高い価格で落札される。

まあ、道路なんだから、
安かろう悪かろうではいけないかとは思うが、
実際には、安すぎると調査が入るという仕組みがあるらしい。

だから、入札するほうはどんどん安い価格で入札してもいいのだ。
きちんとした工事であれば、安いほうがいいのである。

しかし、道路公団にはコストを削減しようと意識はない。

税金を使う工事なのに、公団OBのいる会社に落札させている
談合の証拠を、猪瀬氏は突き止めようとする。

しかし、公団から出されるOBの名簿は
墨が塗られているものだった。
信じられます、いまどき手作業で墨塗りって…。

この本を読むと、高速道路の料金がどんな風に無駄遣いされて
たかたよくわかる。

道路わきにある非常電話の料金が一台250万円。
植木、電気などの設備も
公団OBが天下りするファミリー企業に受注している。
(高コストである。)
めちゃくちゃである。

猪瀬氏は、それをひとつずつ立証していき、
民営化することでコストを意識する団体に変えていこうとする。

しかし、利権に寄生する人たちには面白くないのはたしか。

役人は猪瀬氏に資料を会議の前日夜にやっと提出するし、
JR出身の委員は、ライバルである高速道路の値下げに反対する。
みな、自分の利益のために奔走し、
猪瀬氏の孤立無援の戦いぶりが痛々しい。

記者が入れ替わりばかりで、
深いところまで理解せずに報道するマスコミにも
苦言がなされている。

確かに、私も当時の報道を見ている限り
「ふうん、結局骨抜きのカイカクだな。」という印象を持った。

猪瀬氏は言う。
「なんとか及第点というところにこぎつけた。」

この本を読んでいると、確かに、満点の結果ではないだろうが、
それでも非常にぎりぎりのところで
民営化、分社化をとりつけたのがよくわかる。

高速料金無料化にこだわり続ける管直人氏。
談合を知っていながら知らないとしらを切るが、
狼狽する様子テレビに映し出される内田氏。
常にぶれずに改革を進め、決断も力強い小泉純一郎氏。

道路公団民営化という大事業にかかわる人間像も、
非常に臨場感を持って描かれている。

もちろんノンフィクションなんだけど、サスペンスドラマ
ようにも読める、非常にスリリングな一冊。




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2007年08月25日

外注される戦争




2005年、日本人がイラクで武装勢力に殺された。
その日本人は、イギリスのハートセキュリティ社で働いていて、
イラクには警備員として派遣されていた。
ハート・セキュリティ社は、PMCと呼ばれる種類の会社である。

今、イラクに展開する米軍は
PMCといわれる民間企業なしでは組織として機能しない。

PMC。プライベート・ミリタリーカンパニー。民間軍事会社。

本書では、いまや各国の軍事活動に
なくてはならないものであるPMCの実態、
活動を詳細にレポートしている。

戦争と経済活動の関係としてみるのも大変興味深い一冊である。

PMCは主に後方支援に携わる。
たとえば、米軍の食料補給は、
ケロッグ・ブラウン・ルート社が全面的に請け負っている。

物資の搬送(武器弾薬も含む)、
非政府組織や公共施設の警備、
新兵の訓練から果ては捕虜の尋問なども、
PMCが仕事として「受注」しているのが現状だ。

捕虜の尋問に関しては、
もともとこれは敵の情報を知る大変重要な仕事で、
本来は訓練を受けた専門家があたるものであるという。

だが、軍の人手不足、いい加減な新規参入会社の受注などの
「素人による」尋問が、
問題の捕虜虐待事件に結びついたと本書では述べられている。

イラクでは今、PMCバブルの真っ最中なのだそうだ。
なにしろ、仕事はあふれるほどある。
そのため、知識や経験のない人間が簡単に会社を設立し、
仕事をしている例も数多く報告されている。

だが、もともとはPMCは
軍のエリートたちが除隊後に始めたサービスであったそうだ。

アメリカに利するゲリラ組織を援助するヴィネル社。

若王子氏誘拐事件の解決に暗躍したコントロール・リスクス社。

戦闘まで請け負うエクゼクティブ・アウトカムズ社。

元デルタ隊員というエリートだけを採用している
トリプル・キャノピー社。

これらの会社の活躍も記されているが、
PMCが海兵隊員を助けたというエピソードなどを読むと、
どっちが本来の軍隊なのかわからなくなってしまう。

実際に、給与面でも、訓練の内容でも
軍隊より民間企業の方が各段にいい。

そのため、もっとやりがいのある仕事を求めて
軍を辞める軍人は大変多いそうだ。

もっとも、恵まれているのは先進国の人間だけで、
安い給与で働かされている発展途上国から集められた兵士、
ではなく警備員の実態も報告されている。

最後に、PMCが行う
危険地域を取材するジャーナリストのための合宿の様子が
述べられていて、
ここまで至れりつくせりなのかとため息をついた。

また、マスコミをコントロールして
世論を誘導する企業もあると知り、
現在の戦争は単なる兵隊の殺し合いではないことも実感させられた。

戦争と一口で言っても、
それが大規模な経済活動であることを改めて確認させられる。

そして、それをビジネスにしてしまう民間企業の貪欲さにも
感嘆、脱帽してしまう。

その強さ、したたかさ。
勝者はいったい誰なのか。



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戦争学のすすめ




最近、憲法9条の改正についての議論がときどき聞かれるようです。
本屋さんでも9条に関する本や、戦争に関する本がよく並んでいる。

私は戦争なんかいやだ。体験談なんかを読むたびに思う。
だって庶民は苦しいだけみたいなんだもん。

さて、ではその戦争とは何なのか。
戦争学なるものを紹介しているこちらの本、読んでみました。

病気に勝つなら医学を学ぶことと同じように、
真に平和を欲するなら戦争を学ばなければならない。

戦争は外交で得られない妥協を戦場で獲得するのだ。」

冒頭に、イギリスの戦略家リデル・ハートの言葉を引用している。

国際社会を構成する単位は国家であると著者は言う。
国際連合や、国際法は拘束力を持たず、
具体的に行動するのは国家だからだ。

国家同士は常に対立関係にあり、
地政学的、国体の対立、国力の不均衡などの原因で
衝突するのが常である。
人間同士なので、情緒的な問題が戦争に発展する場合もある。

戦争をとらえるのに、社会的な役割ではちがうアプローチがある。

庶民にとっては、平和を希求するのであれば、
社会学的な見地から戦争を眺めることが必要である。

指導者は、兵たちを鼓舞するためのカリスマ性がなくてはならない。
また、国家戦略として、
近隣に強国を作らせないという勢力均衡政策を
採ることも必要である。

わが国は第二次世界大戦において敗北を喫しているが、
その際にアメリカに文化的に占領されてしまった。

ちなみに、無条件降伏という言葉がありますが、
これは基本的に軍隊のみに適応する言葉なんですって。
軍隊を無力化することは戦争の終結として当たり前のこと。

ですが、国家を無条件で降伏させるということは
今までの歴史ではありえなかったこと。

この辺の言葉の違い、知らなかったので勉強になりました。

第二次世界大戦は、有色人種の白人種からの差別への戦いであり、
日本はその先鞭を切った、誇りを持って語ってもよいことである。

国土そのものを防衛線とするのは浅薄な考えであり、
太平洋において日本が戦闘を行ったのは決して侵略ではない。

現在も、石油を輸入に頼る日本としては
アジア海域での安全が死守すべきラインである、と著者は説く。

好戦的であれ、という本ではない。
むしろ、生き残るために、誇りを失わないために
戦争を直視しようという内容。

賛否はあると思いますが、まずその議論に加わるために、
なかなか読み応えのある一冊でした。




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