2012年04月09日

白い死神







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2012年04月04日

あんぽん 孫正義伝







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2011年09月28日

殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く








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2011年07月18日

風をつかまえた少年







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2011年05月27日

この国を出よ







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この国を出よ  大前 研一、柳井 正
¥ 1,470  小学館 (2010/9/29)

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発行は震災前だ。経営コンサルタントの大前研一さんと、ユニク
ロの社長柳井正さんが、対談形式で日本の問題点を語る。辛口。

大前氏と柳井氏、発言をランダムにすくい取ってゆく。大と前置
きがあるものを大前氏、柳が柳井氏だという前提でお読み下さい。

大「自民党政府がやったバラ撒きは、何の成果も生まなかった。
では民主党はどうかというと、政権をとったとたんに同じような
バラ撒きを始めた。これは絶望的。

今の日本はミッドウェー海戦後に似ている。敗戦を認めようとし
ない。まだなんとかなると思っている」

柳「競争を避ける教育が、日本の没落につながっている。仕事で
アジア各地に出向くと、日本を下に見る風潮があることに気づく。

韓国など、かつては反日が叫ばれていたが、最近ではその観も薄
れた。日本はもはや敵ではないということかもしれない」

大「ジャパンバッシング(日本叩き)ならぬ、日本パッシング
(日本素通り)が行われている。お金の動きに顕著に見られる。
投資マネーは日本よりも、アジアをよい市場とにらんでいる」

柳「経済敗戦後の日本は、世界の保養所となるのではないか。温
泉やショッピング、そういったものを楽しんでもらう場所」

大「政治家は勉強不足。高速道路や高校授業料の無償化。わかり
やすいキーワードだけが一人歩きして、中身の議論がろくにされ
ていない。大衆に迎合するだけの政治ではだめ」

柳「役所に保護される産業はつぶれる。JALがいい例だ。日本の
現状をたとえると、年収370万円の家が、1億円の借金をしている
ようなもの。国家運営にも経済的視点を」

柳「グローバル化は最大のチャンス。世界の市場を視野に入れよ
う。国際化。英語は必修。ユニクロだって最初のうちは、海外進
出において大変な失敗をした。だが失敗は肥やしになる。次のス
テップに活かせばよい」

大「成長するアジアに学ぼう。たとえばシンガポールなどは、政
府機関はとても柔軟に運営されている。

ぷロジェクトごとに組織をつくり、目的が達成されれば解散する
というやり方をしている。こうすれば利権ができることもないし、
存続のための予算の奪い合いなどしなくていい」

大「消費税増税は避けられない。その代わり、所得税、法人税を
全廃しよう。所得税がなくなると、金がまわって消費が活発にな
る。その上で消費税を上げれば、税収が増えるのは明らか。

法人税がなくなることで、外資企業日本で仕事をしやすくなる。
雇用の増大にもつながる。

相続税もなくす。代わりに資産税を導入する。資産に税がかかる
となれば、これも消費喚起に一役を買う」

柳「政府は費用対効果を考えない。死に体の企業に公的資金を入
れるなど、何を考えているのか。費用対効果を考えられない政府、
官僚組織はできるだけ縮小すべき。小さな政府が望ましい」


テーマは小難しいんだけど、対談形式、語り口調なのでそんなに
大変ではない。割と読みやすい。


ここで本をご紹介するとき、私が基準にしているのがアマゾンの
ランキングである。10万位以内に入る本が、だいたいまあ、動い
ている、という感触でやっている。

で、3桁、4桁あたりが「田舎の町の書店にも置かれるくらい、売
れている本」かなあって、勝手ながら考えてる。データはないけ
ど、実際に田舎町に住んでいる私の体感みたいな感じかな。

その感じでいえば、この本はとても売れている本なのだといえる。
なんとなーく、危機感を抱いている人が、少なくはないというこ
となんだろうね。












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2011年05月10日

原子炉時限爆弾







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原子炉時限爆弾  広瀬 隆
¥ 1,575  ダイヤモンド社 (2010/8/27)

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簡単にまとめると、下記のような内容。

「日本は地震多発時代に入りました。日本の国土の大半は、大昔
には海だったので、どこもかしこも地盤がゆるいです。原発は危
ない。特に浜岡原発が危ないです」

昨年8月に出された本であるが、このたびの災害を言い当てても
いるようで、少々ばかり肝が冷えた。

さて。日本の国は、中央構造線という大きな断層の上にある。そ
の断層は、九州を斜めに横切り、四国の北側を走り、紀伊半島を
横断して長野県の諏訪湖にいたる。

この断層が活動を激しくする時期というものが、この国には古来
からあるようだ。江戸時代にも、地震が多発した時期のことが記
録されている。

現代においては、雲仙普賢岳の噴火や、阪神淡路大震災がその時
期の皮切りであったという。今後もしばらく、地震災害に悩まさ
れることになりそうだ。

ただ江戸時代とは違う災害がある。原発による災害だ。被害は甚
大。これは人災と呼ぶにふさわしい。

なぜなら日本の原発は、地震に対する備えが十分でないからだ。
原発を建てる際の調査が甘すぎる。地盤の調査が行われたことが
あるが、弱い地盤が発見されたため、サンプルを入れ替えて調査
結果としたことさえあるのだそうだ。

このことは、現場作業員の証言によって明らかになった。だが計
画は見直されることもなく、当初の予定通り工事は進んだ。

著者が恐れる浜岡原発は、ユーラシアプレートとフィリピンプ
レートが交わるその上にある。プレートのひずみが地震の原因に
なることは、どなたもご承知のことであると考える。

また、浜岡原発は糸魚川から太平洋に向かって伸びる、糸魚川・
静岡構造線の直近にもある。先に述べた中央構造線の終着点に
も近いことから、地震の危険は多大であると考えられる。

地震が起きて恐ろしいのは、原発に流す電源が消失することだ。
制御室に手立てが取られているというが、巨大地震が起きた際に
は、人は動くことができない。非常用電源も失われる可能性が高
い。(昨年8月の発行時点で、このことは本書に明記されている)

電源が失われるとどうなるのか。高熱に達した原子炉が冷やされ
ることなく、暴走する可能性がある。原子炉とは、常に熱を取る
処置を施していなければならない。

実は柏崎刈羽原発は、新潟中越地震の折に、大変危険な状態にな
りつつあった。このときは、かろうじて外部電源が生きていたが、
原子炉の暴走の一歩手前という状態だった。

また大型クレーンのジョイント部分の破損が認められた。このク
レーン、停止したのが6号原子炉の真上である。大惨事に「ニア
ミス」というところ。


実は私は、この広瀬隆という人の本が、あまり好きではないので
ある。その昔「赤い楯」という本を、お高い単行本で上下そろえ
て、読み通せないことがあったせいだ。せこい恨みだが、この人
のねちこい文章はやっぱり苦手。

この本も、やや「怖がらせ」が強いかな、という印象は持った。
また、書いてることが整理されていない(と私は感じる)せいで、
読み終わっても頭がごちゃごちゃしている感じ。(あくまで個人
的見解です)

でも考えることはあったなあ。津波のこととか、あらかじめわ
かってたことなんやなあって思った。

私はこれまで、この手の事故がたとえあったとしても、電力会社
はきちんとした手段や処置をとるチームを、当然、備えていると
思ってたのよ。それがこのざまなんだもん。びびりますよ。

そう考えると、なあ。

ちなみにこれまで浜岡原発は、2009年8月、夏の電力需要期に営
業を停止したことがあるそうだ。駿河湾地震の影響だ。

だが電力不足は起こらなかった。ならいいじゃんと私は思う。












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2011年04月07日

ミスキャンパスpresents 世界を変える仕事44





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ミスキャンパスpresents 世界を変える仕事44  
¥ 1,575  ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/11/16)

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都内の八大学、ミスキャンパスのお嬢さんたちが「世界を変える
仕事」をレポート。

表紙もページのレイアウトも、雑貨の本みたいでおしゃれ、かわ
いい。才色兼備のお嬢さんたちのコメントも載っていて、若い人
にも誰にもとっつきやすいつくりになっている。

では「世界を変える仕事」とは。具体的にはNPO、NGOなどの団体
の紹介である。どのような団体があって、どのような活動をして
いるのか。写真コメント豊富で解説されている。

たとえば特定非営利活動法人ACE。インドやガーナなどで、生活の
ために働く児童の支援を行っている。

発展途上国には、学校にも行かず、否、行けず、厳しい条件で働
く子供がたくさんいるんだよね。その子供たちのために、チョコ
レートのフェアトレード(公平な貿易)などを始めた。
http://acejapan.org/choco/buy/

こちらでは、有給常勤スタッフが6名。非常勤、インターンスタッ
フなどで活動を支える。

しかし、支援が必要なのは途上国の子供たちだけではない。日本
の高校生を相手に、将来を語るという活動がある。

特定非営利活動法人カタリバがそれだ。大学生や専門学校生が、
高校を訪れてキャリアの相談に乗る。少し年上の先輩が、生の声
を聞かせてくれるという仕組み。

日本の高校生って、世界の生徒に比べて満足度、自己評価がすご
く低いんだってね。テレビか何かでやっているのを見たことがあ
る。

不景気のせいかな。前向きに、失敗談も交えながら、話してくれ
る先輩の姿は頼もしいものかも。

ナマケモノ倶楽部。ここはHPも素敵。スローライフを提唱する団
体だ。http://www.sloth.gr.jp/top/top.html

エクアドルの森の保護活動を根っこにおいて、日本の消費型のラ
イフスタイルにも警鐘を鳴らす。ナマケモノ、つまりのんびり豊
かな暮らしを手に入れようという考え。フェアトレード商品も多
彩。ホームページよりショップをのぞいてみると楽しい。

こちらの団体には、有給で働くスタッフが3名おられる。その平均
年収は236万円だそうだ。

そしてこれらの団体を支援するファンドというものも、日本には
存在している。寄付や支援の仲介をしたり、企業や財団との共同
企画を進めたりしている。要するに、金銭的なバックアップを行
いますよということらしい。

特定非営利活動法人市民社会創造ファンドという名前で活動され
ている。


いろいろな団体があるものだなあと、感心しきりで本書を閉じた。
また学生さんたちが、おしゃれできれいであるだけでなく、社会
に関心を持っているのがとても頼もしく感じられた。

ただ、帯の文句「就活する前に読んでほしい」というのはどうか。
経済的な情報などは、薄かったように思う。就職先となる団体が、
あるかどうかは疑わしい。大人としての本音の感想だ。

しかしまあ、さまざまな団体が一覧で見られるのはうれしい。先
にも書いたとおり、手軽に手に取れるデザインもありがたい。

ご興味のある方はどうぞ。










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2011年02月25日

名古屋発どえりゃあ革命!






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名古屋発どえりゃあ革命!  河村 たかし
¥ 800  ベストセラーズ (2011/1/18)

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新書。前回の選挙にあわせて、大急ぎで仕上げた感はやや残るが。

名古屋市議会のリコール問題について。県知事となった大村氏と
の対談。日本の政治はどうあるべきか。このようなことが語られ
ている。柱となるのは「減税」という言葉だ。

リコール問題について、簡単にまとめてみる。

09年、名古屋市長となった河村氏は、その公約のメインであった
市民税の減税を実現化すべく動き出す。

河村氏の前職は古紙回収業である。経営者だ。零細企業だったの
で、彼自身もフォークリフトに乗って朝から晩まで働いていた。

その彼の目から見ると、行政には無駄が多すぎた。議員の給料も
高い。前著「おい河村!おみゃぁ、いつになったら総理になるん
だ」から一貫して述べられている主張であるが、議員が高給取り
では、ろくな政治ができないと彼は考えている。

一般市民の考えがわからなくなる。楽な仕事であるため、世襲し
ようとしたり、政治以外のことを知らない議員が増えてしまう。
それでは国は立ち行かなくなってしまう。

そもそも財政の危機が騒がれているが、そんなものはまやかしな
のだと河村氏は一刀両断に切り捨てる。無駄がまだたくさんある。
増税? 冗談ではない。議員を養うために、庶民から金を取ると
いうのか。

今成すべきは減税である。河村氏は考えている。この考えは、織
田信長の「楽市楽座」を例に取るとわかりやすい。

「楽市楽座」は規制緩和だった。庶民が誰でも、商売ができるよ
うにしたものだ。行政はこれを目指すべきである。行政側の考え
は庶民と離反している。その欠落を埋めるには、上からの指導で
はなく、下からの動きが必要である。

だから減税。議員の給与も半額に減らし(それでも800万。仕事
内容は「ブログ市長」の本でも述べたとおり、パートタイムで務
まるものだ)、市議会の議席も減らす。

当然、議会の猛反対にあった。おかしなことだ。河村氏が選ばれ
たことで、民意は減税を求めているというのに。

だが市長には議会の解散権がない。地方議会は首長の意思が通ら
ない仕組みになっている。

リコール運動が提案され、市民が動き出した。署名を集めなけれ
ばならない。その数およそ36万。

猛暑の名古屋、河村氏の支持者たちがかけまわった。出足は遅
かったが、素人だから仕方がない。だが最終的には46万余りの署
名が集まった。

そこからがねえ、すごかったのよ。夕方のニュースでもよくやっ
てたけど、呆れてものも言えんかった。

選挙管理委員会が、署名を審査して11万名を無効としたのだ。
「○番○号」と書くべき住所が「○−○」と略されている。公団
住宅と書くべきところがUR住宅とされている。そんないわゆる、
いいがかりに近い理由で多くの署名が却下された。

署名をした名古屋市民は怒った。当たり前だわな。自分の署名が
無効であるか、ないか、確認する場が設けられ、多くの人が足を
運んだ。

無効になっていた署名は、後に訂正され有効票と数えられた。市
民の反発で、採決が覆ったというわけ。


河村さんは、それが民主主義の曙だとおっしゃっている。市民の
声が、正当な手法で通されたからだ。市民も今以上に、しっかり
意識を持たなあかんということなんだろうな。

名古屋を、愛知県をアジアで輝く都市にしたいという、大村氏と
の対談も面白かった。

日本の政治は地方から変わる。明治維新を見てもそれがわかる。
そう、河村氏は言う。

リアルタイム龍馬伝みたいで、けっこう面白かった。名古屋弁で
言ってみると「日本を洗濯せなかんのだて」って感じになるかな。











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2011年01月18日

台湾人生







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台湾人生  酒井 充子
¥ 1,650  文藝春秋 (2010/04)

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旅行記ではなかった。読み始めてすぐに「ありゃりゃ」と思っ
たけれど、本を閉じようとは思わなかった。

台湾はかつて日本の統治下にあった。50年という長い年月だ。
その時代を生きた人に会い、聞いた話をまとめたもの。ドキュ
メンタリー映画にもなっている。

統治時代をめったやたらに賛美するものではない。差別はあっ
た。軍国教育を受けて徴兵に応じ、死んでいった台湾人もいる。

だが50年だ。生まれたときには日本人で、そのまま成人した人
が台湾にはたくさんいる。本書に出てくる人たちは、そのよう
な時代を生きた人だった。

少年工として、日本の兵器工場で働いた男性がいる。工場の
あった町を今でも懐かしく思い、第二のふるさとであると考え
ている。当時働いていた日本人とは、今でも交流がある。

彼は貧しい育ちだった。就学を断念しかけたが、日本人の先生
が金を出してくれたおかげで学校に通えた。「先生がなかりし
かば」と、彼は口癖のように言う。今の私の人生はなかった。

恩師が病に伏せたとき、彼は日本まで来て看病をした。先生の
最期の言葉は「もういいよ」だったそうだ。

ビルマで戦った元日本兵がいる。軍国少年だったから、軍隊に
は自ら志願した。軍での差別、戦友の死を見て、やはり戦争は
いけないと思う。

なんとか帰国することができた。帰国後の暮らしは厳しいもの
だった。

台湾は中国に占拠されていた。同胞が来たと、喜ぶ声も確かに
あった。だが中国人の統治は横暴で、次第に日本のほうがまし
だと考えるようになった。

暴動が起きた。このことがきっかけで、多くの知識人が逮捕さ
れ、殺された。彼も拷問を受けた。危うく助かったが、弟が銃
殺されるという悲劇を経験した。

今彼は、観光ガイドのボランティアとして活動し、若者に本当
の歴史を伝えようと務めている。日本人が来ると、教育勅語を
印刷した紙を手渡すのだそうだ。

日本人には親しみがある。だが日本政府には納得がいかない。
戦後台湾を見捨てた。今も中国の顔色ばかり見て、台湾の国連
加盟を後押ししてくれない。


彼らの日本に対する感情は、陳腐だけれど、愛憎半ばというこ
となのだろうかと考える。

茶道も生け花も、日本人の若者よりも知っているという自負が
ある。好きな歌は日本の歌。勇ましい軍歌が好きで、日本語の
歌詞ですらすらと歌う。

しかし日本は彼らに報いなかった。捨てられた、なぜ捨てたの
だと責める気持ちが消えない。

アメリカよりも、中国よりも仲良くすべきは日本だと思うのに、
台湾人も日本人も、かつて同国であったことを忘れ去ってし
まっている。歯噛みするような思いがある。


押し付けがましい思想はないので安心して読める。知らないこ
とがたくさんあって、とても勉強になった。

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2010年12月23日

「普天間」交渉秘録







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「普天間」交渉秘録  守屋 武昌
¥ 1,680  新潮社 (2010/7/9)

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クリスマスなのに。アホのくせにに。いろんな意味で勘違いの
チョイスとなってしまったが。

しかしいい本だった。何より文章がいい。硬質で理路整然として
いて、その上情景描写も素晴らしい。冒頭の、沖縄の海の描写を
読んで、素敵な冒険小説が始まるのかと思ったほどだ。

だが、難解でもあった。もともと政治に詳しくはない。事態や人
が入り乱れ、正確に読めた自信はない。種々読み間違いがあるか
もしれないが、自分なりにわかったことをまとめておきたいと思
う。

守屋氏は防衛次官という職にあって、普天間基地返還の仕事に長
く関わってきた。本書ではその経緯と、著者なりの自衛隊考察の
がつづられている。今日のメルマガでは、普天間基地返還交渉に
ついての部分を主にご紹介したい。

まず、アホの私が驚いたのは、普天間基地返還については、日米
の合意がすでになされていたということ。住宅地の中にあるこの
基地の危険性は、アメリカも十分承知だということだ。

1996年、普天間基地については、海上施設を作ってそこに収容す
ることに取り決めがされていた。名護市の沖に埋立地を作って、
そこに基地を移転するつもりだった。

しかし、沖縄が求めたのは「移動」(本書では単純返還という言
葉が使われている)ではなく、県内からの完全撤去だった。基地
を他県に移せというわけだ。

それを受けて、海上に空港を作る案が提出される。最初は軍用空
港で、後に民間用として沖縄に払い下げられる予定だった。稲嶺
県知事はこれを是として公約に掲げ、当選した。

海を埋め立てるにはアセスメントが必要である。環境を調査し、
影響がないよう配慮がされなければならない。この費用は当初、
沖縄が持つとされたが、知事は費用を出すことを渋った。

政府が金を出して調査を開始すると、妨害の動きが見られた。調
査する民間会社の人間に対して、小船に乗った市民の嫌がらせが
続いた。

やがて、沖縄で事業を手がけるある有力者から「浅瀬案」が提出
される。辺野古近くの浅瀬を埋め立てて、ここに滑走路を作ろう
というのだ。

驚いたことにこの案は、日本政府の頭越しに米国にも持ち込まれ
ていた。沖縄県民から出されたものだ。これで交渉が進むと思っ
たが、浅瀬を埋め立てるのは環境に最悪の影響をもたらす。環境
団体を敵に回すことは必至と考えられた。

小泉元首相はこの案を認めなかった。自身、環境団体に敵視され、
選挙運動が危なくなった経験がある。彼らと対立してはいけない。
また、ジュゴンなどの海洋生物への保護も必要であった。

沖縄は浅瀬案を押す。この辺が奇怪なんだけど、彼らはこの案が
通れば、環境団体が動き始めることを知っているのだ。実質的に、
実現不可能な案であった。

(ここで改めて書いておくけれど、この本は自衛隊の「中の人」
によって書かれたものである。沖縄には沖縄の主張がもちろんあ
ることを忘れてはいけない。しかしこの本を読む限りでは、沖縄
の交渉術は非常にしたたかであり、狡知であるように見えた。)

守屋氏は対抗して、キャンプシュワブの延長上に土地を確保して
滑走路を作る「L字案」を唱える。これなら海への影響は最低限で
済む。

以後、交渉はこの案をメインに進み始め、滑走路をV字型にすると
いう修正が加えられる。

防衛省が窓口となる交渉であるが、沖縄は外務省につてを作り、
省庁同士の争いを引き起こそうとする。V字の滑走路の角度にもこ
だわりを見せ、交渉は遅々として進まなかった。

この間、防衛省の不祥事もいくつかあった。そのたびに守屋氏は
批難の的とされ、また、彼自身を陥れようとする動きもあった。
小池百合子議員などは、沖縄の言葉に篭絡され、交渉の場で一人
反対の陣を張ったこともある。

だがその後、小池議員は梯子を外された格好になり、「なんだっ
たの?」とぼやく羽目に。


守屋氏の日記をもとに書かれたもの。様々な人が実名で出てくる。
大臣が何度か変わり、そのたびに状況も変わるさまには、読んで
いて頭が痛くなるほどだった。

なぜ沖縄はこうまで交渉を引き延ばそうとするのか。はっきりと
書かれてはいないが、あとがきで基地の周辺に落ちる金が、利権
があることが示唆されている。

このあとがきでは同時に、基地周辺に住む一般市民についても言
葉が添えられている。安全を脅かされ、不安なままで過ごす人た
ちが沖縄にはまだたくさんいる。

その人たちのことを、一番に考えなあかんはずやんな。










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2010年11月16日

コミック貧困大国アメリカ






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コミック貧困大国アメリカ   堤未果(著)、松枝尚嗣(イラスト)
¥ 1,260  PHP研究所 (2010/1/21)

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新書で発行され話題を呼んだ「ルポ貧困大国アメリカ」を漫画化
したもの。前から読んでみたかったので、とりあえず漫画でと、
ありがたく手に取ってみた。

六つの話題が取り上げられている。サブプライムローン、貧困と
肥満、医療保険の問題、転落する医師たち、経済徴兵制、民営化
する戦争を支える世界のワーキングプア。

それぞれ主人公が設定されており、読み手は感情移入しつつ、わ
かりやすく問題を理解できる。漫画の後には解説もあり、知識を
補完できるようになっている。

ここで二つばかり、話題をご紹介してみようと思う。

・一度の病気で破綻する人々 医療保険の問題

エミリーは小さな会社のOLだ。背中が痛い。契約している保険会
社に電話して、近くの病院を紹介してもらおうと思った。

アメリカでは、大半の人が民間の保険会社で医療保険に加入して
いる。民間の会社であるため、どの病院でも適応されることがな
く、その会社の契約している病院にかからなければならない。

適当な場所になかったので、エミリーは背中の痛みを放置したま
ま日々を過ごしていた。

友人がいる。彼女は男の子を生んだが、入院費用が出せないため
に出産したその日に病院を追い出された。アメリカでは入院一日
あたりに、4千ドルから8千ドルもかかる。

やがて友人は家を出てゆく羽目となった。実は彼女の夫は虫垂炎
で手術を受けていたのだ。その医療費と出産費用。やりくりがで
きず、自己破産するしか仕方がなかった。

そしてエミリーにも病魔が襲いかかる。背中の痛みだけでなく、
めまいまで起こるようになってしまった。だが保険は下りない。
初期段階で検査を怠った、エミリーに問題があるというのだ。

病院は金を稼ぐために無駄な検査をくり返す。(次章の転落する
医師たちに詳しい)保険会社は理由をつけて保険料の支払いを拒
否しようとする。エミリーにも自己破産の影が……。

・出口のない若者 経済徴兵制

ジェーンは高校三年生。高校を訪れる軍のリクルーターに神経を
とがらせる日々だ。

アメリカは慢性的な兵士不足。リクルーターを立てて若者を軍に
勧誘する。狙いは貧しい家の子供だ。大学の学費を国防省が負担
する、従軍時にも職業訓練が受けられる、保険制度の適応など、
甘い言葉をなげかけるのだ。

この裏には、ブッシュ政権で成立した「落ちこぼれゼロ法」なる
法律がある。この法律は、生徒の個人情報(親の年収を含む)を
軍に渡すよう命じたものだ。

個人情報を出さない学校には、国からの助成金が削られる。それ
で運営を支えている貧しい地区の学校は出さざるを得ない。だが
裕福な家の子が通う学校は……。

入隊の折には、良心的兵役拒否の権利があると「だまされる」。
職業訓練が受けられるという言葉に「つられる」。だが現実はそ
うではない。

軍の賃金は民営化によりコストカットの対象となっている。無事
大学に入学できても、支給される額では授業料をまかなえない。
借金が増える。貧困層の再生産だ。

一度軍に入った者がリクルーターになる例も多い。危険がないホ
ワイトカラージョブだからだ。だがそのリクルーターにも重いノ
ルマが課されており……。


こ、こわー。怖いわ、アメリカ。もちろん、これがかの国の暗部
に焦点を当てて描いたものだと理解はしている。だが虚構ではな
いのだ。

一読の価値はあり。資本主義の行き着く先がこれかと、暗澹たる
気分にさせられる。

最後はオバマ大統領の演説で締めくくられている。「我々が今、
問うべきなのは政府が機能するか否かなのです。家族が人並みの
給与の職を見つけたり、負担できる保険やちゃんとした退職金を
手に入れること。その助けに、政府がなれるかどうかなのです」

変われるのか、アメリカは。
















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2010年10月19日

独裁者 “ブログ市長”の革命






わが愛知県には河村たかし名古屋市長がいる。大阪府には橋下府
知事。どちらもマスコミからは割合温かいトーンで見られている
印象が、私にはある。

そやのになんで? というのがこの本を読んだきっかけ。私の中
ではこの人も前者二人と同じくくりの人なんだけど、この人に関
しては批難の報道が多いような気がしていて、不思議だった。

硬そうな本だったけど、読んでみるととても読みやすかった。主
張、感情、立場がはっきりしているので読み手が流されることが
ない。難しい言葉もそんなに多くはなかった。

さて。著者の竹原さんは鹿児島県阿久根市の市長を務めておいで
の方だ。ブログを書いているのでブログ市長などと呼ばれ、マス
コミからは市政を無視した独裁者などとあげつらわれている。

竹原さんはもともと、お父様の後をついで建築業のお仕事をされ
ていた。当時、市営住宅の建設をめぐって市の理不尽さを思い知
らされることになった。

そこで、竹原さんは「阿久根時報」なるチラシを作ってこれを告
発することに決めた。費用は自己負担。多くのチラシを作って阿
久根市の家庭に配り始めた。

脅迫や妨害もあったそうだ。だがくじけず続けていたところ、で
はいっそ議員にならないかという誘いを受けることとなった。

もちろん断った。自分が考える「腐敗」の中に取り込まれるのが
いやだったのだ。しかしそれでは何も変わらぬと諭され、出馬し
たところ見事当選。

市長になったのも同じような経緯であって、竹原氏は現在の職を
決して「名誉なもの」とは考えていないようだ。あくまで自分が
感じた矛盾を、壊すために彼は働いているのである。

彼が感じている矛盾とは下記のようなこと。

市役所職員の給与が高すぎる。阿久根市民の平均月収のおおよそ
二倍、下手をすると三倍くらいの給与である。この不景気の折、
年々給与が上がっていく仕組みにも納得がいかない。

公務員は身分が保証されているのに、なぜか組合が存在する。そ
してその仕事を、本来の業務の間にしている職員がいるのも解せ
ない。(ヤミ専従といわれるものだ)

その組合のせいで、改革は進まない。こんな時代にも給与アップ
を主張し続け、過剰に職員を保護するばかりで、市民の利益とな
る発想がない。

また、地方の議会はろくに機能してはいない。利権者、市職員の
思惑の通りの議決ばかりが行われる。議員も、年四回、三十日足
らずの議会に出るだけで四百万の給与を手にしている。本業あっ
ての議員であり、議会が副業となっているのだ。

議員の調査費の使われ方も適当だ。旅行に行った議員もいる。税
金が遊興費に使われている。

市長はインターネットで「辞めて欲しい議員」の投票を行った。
また、市役所職員の給与を全部公表したこともある。こういった
行動が、市長を独裁者、議会制民主主義の敵と呼ばれるゆえんで
ある。

彼は地方分権にも異を唱えている。先に述べたとおり、地方議会
はまともに機能していないのだ。そこに金を与えても、きちんと
使われることはないだろう。


もちろんこれは竹原市長の言い分100パーセントなのであって、職
員さんなりの見方もありはするのだろうとは思う。難しい問題だよ
ね。

しかし、そろそろ変革が必要な時期だとは私も思う。右肩上がりの
時代ではないのだし、いつまでも変わらない発想でいることは、役
場も許されはしないのかと考える。

自分の立場や給与を守ることだけを考えていては、結局はこの国が
全部沈んでしまうのではないか。そうなってはもとも子もなくなる
のではないかな。考えて欲しいな。

事実、がんばっている自治体さんもたくさんあるんだよね。少しず
つ、よい方向に変わるといいなあ。

知ることが大事だと市長は常に説いている。監視の目がなければ、
議会も行政も腐敗する、堕落する。そのとばっちりを受けるのは私
たち市民であるのだから、関心を持つことが何よりも大切というこ
とであるようだ。







発行後、メールをいただいた。
この市長さんにも問題はいろいろとあるのだそうな。
有権者がしっかりしなければ。







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2010年10月07日

国境の島が危ない!







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国境の島が危ない!  山本 皓一
¥ 840  飛鳥新社 (2010/01)

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山本皓一さんはフォトジャーナリスト。尖閣諸島の問題の折に、
テレビによく出ておいでだった方。

パンフレットみたいに薄い本だ。活字も大きめ。しつこいけれど、
何かのイベントのパンフレットと言われても納得できそうな作り
の本ではあった。

国境にあるいくつかの島が紹介されている。読んでみて、信じが
たい現実に唖然とする場面も多々あった。ほんと、びっくりした。

まず話題の尖閣諸島から。魚釣島という名前がよく聞かれるけど、
これはこの尖閣諸島最大の島の名前なんだそうだね。

この島を「発見」したのは福岡生まれの商売人だ。19世紀、古賀
という商人が、探検隊を派遣してこの島を見つけた。

島にいたアホウドリのおかげで、古賀氏は大変な資産を築いたの
だそうだ。羽毛などが高値で取引されたため。また水産資源も豊
富で、島にはカツオの干物を作る工場が作られていた。日本人も
多く住んでいたのだという。

島の住人によって、中国の難破船が救助されたことがあった。こ
の折、中国は「日本の尖閣諸島でかような事件があった」旨の感
謝状を出している。

領有権を主張するようになったのは、島の周辺で石油などの資源
が発見されて以降のこと。

なお、日本人の住人がいなくなったのは太平洋戦争の末期のこと
だ。燃料などの輸送が難しくなったため、彼らは石垣島に引き上
げてしまった。

著者はこの本の中で、国境の島から日本人が少なくなりつつある
現状を嘆いている。与那国島でも人口の減少が続いているようだ。

与那国島は東京から約1900キロ、日本列島の最西端に位置し、111
キロ向こうの海には台湾を望むことができる。

与那国島では自衛隊の誘致運動が盛んだ。誘致を主張する市長が、
選挙でおよそ9割の支持を集めた。国境の地に生きる緊張を、島の
住民はひしひしと感じている。

同時に、島民の減少にも歯止めをかけたかった。自衛隊が来れば
島に仕事ができる。税金も入る。自民党時代に一度内定が下され
たが、政権が変わって白紙に戻されてしまった。

「国境政策がまったく無策だから、辺境はまさしく辺境になって
しまった」。島民の悲痛な声である。


ここでは書かないけれど、対馬の現状は悲惨としか言いようがな
かった。島の土地や建物が、外国資本に買い漁られるって、ほん
と、そのままでいいのかなって思っちゃった。

自衛隊の基地が見渡せる位置にあるホテルが、外国資本の手にあ
るだなんて、なんというか、無防備すぎへんのかな?

北方領土についても記載があった。私たちはあまり意識をしない
けど、北海道の北では常に「外国」がそばにあるんだな。猟の途
中でビールを買いに、ふらりと日本にやってきたロシア人がいる
と聞いて、これも驚いてしまった。

パスポートも持たない不法入国だ。しかしそんなことも考えない
ほど、国境は溶け合っている。

考えたことは、そこで暮らす人たちの不安、心配、そんなことだ。

政治に関して大上段に振りかざすような理論を、私は持っていな
い。けれど一市民として、考え込んでしまう記述が本書にはたく
さん見られた。興味深い本だった。















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2010年09月16日

奇跡の画家







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奇跡の画家  後藤 正治
¥ 1,785   講談社 (2009/12/8)

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読みながら、頭をかきむしりたい衝動にかられた。もどかしかっ
た。

石井一男という「謎の画家」を描いたノンフィクション。彼自身
についての記述は少なく、非常に少なく、ページの多くは彼に関
わる人、彼の絵に触れた人について割かれている。

もっと本人に迫って欲しかった。その思いは残らないでもないが、
著者自身が「対象を解きほぐすよりも、より深く感受したかった」
と述べている。

そういう、画家であるようなのだ。ぐいと迫ってえぐり取る対象
には、どうにもなりえないお人柄であるらしい。

先にも述べたように、書かれていることの大半は彼の絵に接した
人についてのことだ。だがこのメルマガでは、(行数もさしてな
いことだし)石井氏本人についてを主にご紹介してみたいと思う。

不思議な絵だ。グワッシュという手法で描かれている。ほの暗い
画面の中に、眠るような女の顔がぼんやりと浮かび上がる。はっ
きりとした輪郭はない。点に置かれた絵の具の色が、女になって
現れた、という印象がある。

本書ではこれを「イコンのような絵」と表現している。キリスト
教徒が、神や聖人の姿を描いた絵に似ているのだと書いている。

上手ではない(らしい)のだが、不思議と見る者の心をつかむ。
私が本書を読み通せたのも、ひとえに表紙に描かれた絵の力によ
るものだ。目が離せないんだ。

だがこの絵を描いた本人は、46歳になるまでろくに絵筆を持たず
に過ごしてきたのだそうだ。

石井一男は独身である。神戸市の棟割住宅の二階に一人で暮らし
ている。若い頃、正社員として働いたこともわずかにあるが、以
後はアルバイトで生計を立ててきた。

石井は49歳で海文堂ギャラリーという画商に絵を持ち込むが、そ
の当時の仕事は夕刊配りのアルバイト。月収は7、8万と、清貧の
暮らしである。

内気でシャイな性格だ。アルバイトを選ぶ基準は「黙ってできる
仕事であること」だった。絵筆も持たず、鬱々とした日を過ごし
たこともあった。

だが、絵への気持ちを忘れたことはなかった。46歳で絵筆を取り、
のち三年間黙って絵を描き続けた。誰に見せるつもりもなかった。
「無名のままあり続けて風化して土に還ればいい」と語ったこと
もある。

しかし、彼はある画廊の店主の言葉に感銘を覚えた。店主は店で
小冊子を発行していたのだ。この人ならと感じ入り、神戸の海文
堂へと絵を持ち込んだ。

持ち込まれた島田氏は、海文堂書店の社長を務めた人物。絵画、
芸術にも明るい。

絵を見せられて、彼は息を呑んだ。完全な素人の画家が、これほ
どまでに素晴らしい絵を描きためていたとは。絵は巧拙を通り越
した、聖なるものの領域に達している。

海文堂で開かれた個展には多くの人がつめかけた。無名の個人画
家には珍しく、石井の絵はそこで完売した。

お金を渡そうとすると、石井はかたくなに固辞し、若い芸術家を
支援する基金に寄付してくれと言い出した。島田は困惑の表情を
浮かべる。

「石井さん、その基金はあなたのような人を援助するためのもの
なのです…」


死の淵にあって絵を買い求めた人、震災で教え子をなくし、絵に
慰めを見出す人、彼の絵を愛する神戸の老舗レストラン。しつこ
いが、ほとんどは彼の絵を買った人について述べられている。

それが、もどかしい。くり返すけどもどかしい。しかしそういう
書き方をしたかった著者のお気持ち、お考えもすごくよくわかる
ような気がする。

絵のことはぜんぜんわからないけれど、やっぱり私もこの方の絵
がとても好きだと思った。読んでよかったといえる一冊。




今、ぽつんと考えたんだけど、この本を読んで残る読者の「物足
りなさ」って、著者が石井氏本人に感じていることではないのか
な。

生意気言ってごめんなさい。画家の絵の奥深さ、正体のつかめな
さが、よーく表れているのかな。










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2010年06月09日

世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日







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世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日  橋本 淳司
¥ 1,680   PHP研究所 (2009/6/30)

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水曜日なので。

物々しいタイトルにふさわしく、内容は至ってシビア。しかし文
章はですます調の丁寧なもので、大変読みやすかった。

世界では、水の需要が逼迫しているのだという。今後は水をめぐ
る争いが苛烈化し、戦争になる可能性も考えられる。

水に恵まれた日本人にはぴんとこない状況かもしれない。だが世
界には、最低限の暮らしを営むのに必要な水が得られない人が、
実に11億人もいる。

汚染された水を飲む、飲まざるを得ない人たちがいる。水を得る
ために数キロも歩き、汲んで運ばねばならない人たちがたくさん
いる。蛇口からきれいな水が出るというのは、とてつもない贅沢
なことなのである。

同じアジアでも、水不足は深刻化している。地球温暖化のせいで、
ヒマラヤ山脈の氷が溶け始めたのがその原因だ。アジアの水源が、
そこに集約されているからだ。

中国では、黄河が干上がって渤海まで届かない現象が起きている。
周辺地域の砂漠化が進み、農民は飲み水にも事欠く有様だ。

中国は、メコン川の上流にダムを作った。国内に流れる川だから
というのがその言い分だが、メコン川はタイ、ラオス、カンボジ
アなどの六カ国を流れる国際河川である。下流地域の国々の不満
は日々高まっている。

国際河川の利用はきな臭い紛争を生む可能性をはらんでいる。上
流地域の国はそれを利用しようとするが、命に関わる水を政治に
利することは、深刻ないさかいを生むことになるだけだ。

国際河川を持たない日本には、これも理解しづらいことなのかも
しれない。

しかし、日本はある側面から見るとこの「国際河川」の最上流に
位置しているとも言えるのだ。

日本は外国からさまざまな食べ物を輸入している。よく言われる
ことだが、例えば天ぷらそば。この一品から輸入品をのぞいてみ
ると、残るのは水だけなのである。えびも小麦粉も、すべて海外
の生産に負っている。

そして、農作物を生産するのには多量の水が必要となる。穀物を
輸入することは、間接的にその地域の水を使っていることなのだ。

水はビジネスになりつつある。水道事業を手がける民間会社も多々
見られる。彼らはウォーターバロンと呼ばれ、大きな力を持って
いる。

水道事業を民間企業に託すことは非常にリスクが高い。採算が採
れないと撤退された地域もあるし、貧困層に支払えない金額が設
定されることもある。ウォーターバロンの入った地域で、住民の
紛争が起きた例も枚挙に暇がない。

日本の会社を見てみると、この水ビジネスには数歩遅れをとって
いるようだ。水道事業を経営するノウハウがないからだ。

しかし、きれいな水を供給する、すぐれたシステムを開発した会
社もある。ヤマハ発動機などは、発展途上国でも使える原始的と
も言えるろ過設備を開発した。

日本の水に狙いをつける国もある。森林地帯を買い占めて、その
地下水脈を得ようという考えであるらしい。土地の売買を禁ずる
法律はないから、防ぎようがないのが実際である。



考えてみると「湯水のように使う」ってのも、ある意味とっても
贅沢な言葉なんだよね。水自体が非常に貴重な国にとっては。

本当に、書いてあることは真面目で難しい風味なんだけど、語り
口はとても丁寧でわかりやすい。身構える必要のない本だ。

観念的、政治的な主張もそりゃあるけど、基本的には「世界には
こんなことありますねんで」的な実例が多いので、読んでるこっ
ちも「ふーん、ほお、大変だ」とアホの子的な感想を言いながら
読み進めていける。驚きつつ、考えさせられる。

もちろん、著者がアホの子であるわけはない。アホの子にわから
せるには大変な力量が必要なんだ。その辺りもご安心いただいて、
たくさんの人に読んでいただきたい一冊。














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2010年05月14日

生き残る判断 生き残れない行動







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生き残る判断 生き残れない行動  アマンダ・リプリー
¥ 2,310  光文社 (2009/12/17)

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思いも寄らない災害時に、人がどのような行動をとるかという例
を集め、解説したもの。

その意味では、日本語のタイトルは少し意訳をしすぎかもしれな
いかと私は思う。生き残るための判断についての記述は、私の期
待値に比しては低かった。しかしそれは、あくまで期待に対する
比なのであって、読んだことについてはまったく後悔していない。

一般的に、突然の災害に見舞われると、人はパニックに陥ると考
えられがちだ。

だが、実際は違う。人々はおとなしく、動きを止めてしまうこと
が多い。また、意外と親切であり、普段よりもいい人らしい振る
舞いをしたがることもわかっている。

災害に直面すると、人はまず否認の段階に入る。現実を認められ
ないのだ。

9.11のとき、ビルの中にいた女性もそうだった。オフィスに煙が
入ってきているのに、「火事なんてよくあること」と、自分に言
い聞かせていたのだという。

パニック状態で出口に殺到するという場面は、ついには見られな
かった。

ハリケーン・カトリーナの折にも、現実を認知できず、亡くなっ
た方が大勢いた。

実はあのとき、たいていの人は安全な場所に避難できていたのだ。
後の調査によると、貧富の差には関係がなかった。被害にあった
のは、家から離れようとしなかった年配者に多かった。

また、恐怖に際しては、人の体は思いも寄らない反応を示す。

大使館テロに遭ったある大使は、テロリストが入ってきたとき、
視界が突然スローモーションのようになったと語っていた。一こ
ま一こまを今も思い出すことができるという。

この現象は一般人だけではなく、警察官や兵士など、訓練を積ん
だ人たちにも同じように起きる。銃撃戦に巻き込まれた警官が、
周りの状況がスローに見えたと証言している。

麻痺に陥ることもある。大学で銃乱射事件に直面した青年は、な
ぜか死んだふりをしようと、とっさに思いついたのだそうだ。

これは、動物にも見られる反応である。車の前に飛び出した鹿が、
突然動きを止めてしまうのと同じ、本能的な行動だ。

こんなとき、強力な指示、命令があると、人々は素直にそれに従
うことになる。自然にそうなってしまう。

劇場で火災が起きたとき、アルバイトの青年が客に退避の命令を
出した。高額なチケットを買ってショーを見ていた客たちは、お
なしく彼に従い、劇場の外に避難した。

危機に陥ったときの状況が、さまざま例に出されている。災害の
とき、とっさに正しい行動をとることがいかに難しいかがよくわ
かる。

私たちがパニックに陥るのは、絶望的、孤独であると認知してし
まったときだ。そうならないためには、どうすれば安全であるか、
どうすれば避難できるか、あらかじめ知っておく必要がある。

飛行機事故の折、すばやく逃げることができた人が話している。
彼は座席に座ったときに、配れらた「安全のしおり」に目を通し
ていた。出口の確認もしていた。

そのことが彼と彼の妻の命を救った。硬直して動けない人々の間
を抜けて、彼らは出口にたどり着くことができた。前もってのシ
ミュレーションは、このように大事なのである。

訓練を積むことも大切だ。9.11のとき、モルガンスタンレー社の
社員を救ったのは、普段からの避難訓練だ。

訓練を指示していたのは、ベトナム帰りの警備担当の男だ。仕事
中の訓練は疎んじられていたけれど、おかげでテロに際しても、
社員は整然と逃げ出すことができた。

警備担当の男は、ベトコンに包囲された地域を行軍した経験が
あった。恐怖がどのように人を縛るか、彼は骨がらみで理解して
いたのである。


恐怖にすくんでしまったとき、落ち着きを取り戻す有効な手段は
ヨガやラマーズ法の呼吸をすることなのだそうだ。息を吸って、
止めて、ゆっくり吐く。このことを知っただけでも得した気分だ。

お仕事で、防災や安全管理に関わる方にはぜひご一読いただきた
いなあ。

普段から備えること。危険があっても、それが制御できるという
思いが少しでもあれば、人は生き残るための行動をとることがで
きるのだそうだ。











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2009年11月18日

王道の日本、覇道の中国、火道の米国







オカンはときどき、鋭い政治分析をしてみせて、
電話口の私を驚せる。

どうしたのかと尋ねてみると、
たいていはこの人の受け売りであるようだ。

青山繁晴という人、関西で人気のニュースコメンテイターである。
オカンだけでなく、友達も、
この人の解説はとてもわかりやすいのだとよく口にしている。

この本では、主に日中の関係について言及しながら、
今後日本がとるべき道についての主張を述べている。

青山氏いわく、今後日本がとるべき道は王道であるという。
北方領土を取り戻し、尖閣諸島や竹島を守り、国土を安定させるべき。

北方領土は、戦後となってからソ連に不法に占領された。
映画になった硫黄島のように、
玉砕してこの地に散った日本兵がいたのである。

しかし、青山氏が北方領土を取り戻したいというのは、
決して感傷によるものだけではない。

国際法で認められた日本の国土であるし、
メタンハイドレードという資源が眠っている。

資源大国となり、国際法という筋を通す、王道を行きたいものだ。

米国の火道とは、米国が一度焼け、
再生を目指すべきという考えによるものだ。

黒人であるオバマ大統領を選んだことで、
既存の考えを打ち砕こうという米国民の意思が見て取れる。

中国が目指すのは覇道。
これは、策略、トリックによる覇権であると青山氏は述べる。

今年の北京五輪は偽装五輪と言い換えてもよいものだった。
市民の家を踏み潰して町をきれいに見せかけたし、
口パク少女の存在もあった。

五輪を取材に来た記者たちは、
ノートパソコンにハッキングされ、、
ウイルスをばら撒かれた。

中国の人民解放軍には、こういった電子作戦を実行する部隊がある。

国内は安定していない。

チベット、ウイグルの騒乱が伝えられるが、
実際には漢人(中国の大多数を占める民族)の暴動も多い。

上海ではバスの爆破事件があったが、報道されないままだった。

日本を騒がせた毒餃子事件も、
犯人は工場に勤める漢人だとされている。

解雇を言い渡された腹いせであったらしい。
人件費の高騰に悩む中国では、
突然解雇を言い渡されることも少なくないのだそうだ。

日中の警察の動き、政治家の動きなど、
非常に詳しいのでご興味のある方はご一読ください。

少数民族への圧力も苛烈をきわまる。
ウイグル人の暴動があったたが、
この実情も悲惨すぎてここに書くことができない。

ロシア、北朝鮮の動きも気にかかる。

五輪の際に、グルジアの暴動が報じられたが、
米国は海軍を動かしてグルジアの町に治安を回復した。

が、ロシアは撤退をせず、今も国境の地に軍を置いている。

青山氏は共同通信の記者であったそうで、
その頃のコネを生かして政府関係者、警察関係者に多く取材をしている。

ニュースアンカーをご覧の方にはおなじみの手法であるが、
本で読んでも臨場感が感じられ、非常に面白い。

しかし、青山氏は熱いね。

彼は日本が王道を行くべく、彼いわく、
「右でもなく左でもなく、まっすぐ真ん中の道」を行くべく、
私たち市民の連帯を呼びかけている。

民主主義の国であるから、民が主役であるというわけだ。

その例として、
彼の番組で中国のチベット弾圧に反対の声明文を読み上げた
僧侶のことを紹介している。

圧力に怯え、迷いながら、
僧侶はチベット弾圧に反対の声をあげた。
この放送にはたくさんの反響があったのだという。


あんまり、テレビでは聞かない話ばっかりなので、
頭がぐるんぐるんとまわる。

こういう本もたまにはいい。

この本のカバーは世界地図である。

その地図に描かれた国境線こそが、
正しいアジアのあり方であるのだと青山氏は述べている。

本屋さんで見かけたら、ぜひカバーにご注目くださいな。














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2009年11月13日

AK‐47世界を変えた銃






タイトルのAKとは、アブトマット・カラシニコフの略。
カラシニコフ式自動小銃という意味だ。

この銃は頑丈である。
つくりは簡素で、どんな気候の下でも作動する。

泥の中に埋まっていたこの銃を、
蹴飛ばすと正常に稼動したという話も聞かれる。

AKを発明したのはミハエル・カラシニコフ氏。

彼はロシアの農民として生まれ、
兵士となってドイツ軍の侵略と戦った。

戦いの中で、銃で虐殺された同僚の姿を見、
自らも病院送りとなった。

その病院で、祖国を救うために考えたのがこの簡素な銃である。

祖国のためであったので、カラシニコフ氏は特許を取らなかった。
その概念すらなかっただろう。

現在は少ない年金で暮らす貧しい老人で、
経済的な処置を取らなかったことを悔いてもいる。

自らの発明した銃については、祖国のためであった、
政治家の用法が悪いとしながらも、
「農民のために役立つものを作ればよかった」と
述べたこともあるという。

簡素で製造も簡単なカラシニコフは、全世界に広がった。

ソ連がその製造を
ワルシャワ条約機構に参加していた国々に許可したこともあり、
中国などでは大量に生産されている。

この本では、この銃が世界に与えた影響を詳細に述べている。

あるときは自由のための戦いに使われ、
あるときは民族浄化に使われ、
またあるときは麻薬マフィアの愛用となったカラシニコフ。

アフガニスタンでは、ソ連の侵攻に対するために、
なんとアメリカがカラシニコフを持ち込んだ。
ソ連製の銃であれば、援助の元がばれないと考えたようだ。

結果、国中に銃があふれることとなり、
市民がそれを手にするのが当たり前になった。

アフリカにもカラシニコフは蔓延している。

リベリアの独裁者となったテイラーは、
扱いの簡単なこの銃で、
子供を兵士にすることを考えついた。

映画「ブラックホークダウン」では、
銃を持った民衆がアメリカ兵を襲う姿が描写されているが、
このソマリアで起きた事件にも、カラシニコフは大いに関係している。

アメリカ軍は、最初カラシニコフの力を過小評価していた。
アメリカ軍はM16と呼ばれる銃を支給されている。

だが、ベトナムではM16の作動不良を嫌がる兵士たちが
自主的にカラシニコフを手に入れようとしたし、
ソマリアやイラクでは、カラシニコフを持つ市民の攻撃に、
多大な損害を被った。

銃をめぐるアメリカの政治的な流れや、
利権の構造もよく書かれており、
そんなもののために死んでいく兵士が
気の毒でならなくなってしまった。


少々長いが飽きずに読める。
私は、カラシニコフと
バイクのスーパーカブが似たものとして感じられた。

なんていうと、ホンダの人に怒られてしまいそうだけど、
頑丈であること、誰でも使えること、安価であること、
そして発展途上国の人々の生活の一部であることが似ていると思ったのだ。

そう、カラシニコフというこの銃は、
発展途上国の人たちの生活用品となっているらしいのだ。

この銃で犠牲になった人は、
原爆の被害を受けた人たちの数よりも多いという。

国連も、手をこまねいているわけではない。
だが、事態には何の進展も見られないというのが現状であるようだ。















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2009年10月30日

ハチはなぜ大量死したのか






翻訳がすばらしい。
外国語で書かれた本だということを、ほとんど意識せずに読める。
翻訳家さんの力量、努力にただ感謝。

流暢な日本語で書かれているため、
すらすらと読み進めることができる。

ハチが大量死した原因を探るという内容のもので、
まるで良質のミステリーを読んでいるような気分にすらさせられる。

が、ふとページをめくる手をとめると、
ぞっとするような現実が目の前に浮かび上がってくる。

そう、これは現実なんだ…。

2006年秋、北半球から四分の一のミツバチが消えた。
養蜂家たちにもその理由がわからなかった。
ハチは失踪したのである。

それがどうした、と思う方もいらっしゃるかもしれない。
蜂蜜を食べる習慣はないから、別に問題ない。
そう考えるかもしれない。

だが、ハチ、ひいては昆虫と
私たちの食生活は密接につながっているのである。

私たちが食べる果物、野菜。
これらは昆虫による受粉がなければ実をつけることができない。植

物の生存には昆虫が大きく関わっているので、
それらがいなくなると家畜の飼育も不可能になる。

しかも、開発により自然にいた昆虫の数は年々減少している。
今や受粉は、養蜂家がミツバチを
農園に貸し出すことで成り立っているのだ。

アメリカでは、ハチは農園をまわるためにトレーラーや、
時にはジェット機で長い旅をする。
これがハチに過剰なストレスを与える一因になっている。

ハチを殺すのはストレスだけではない。
この本では、原因をひとつに特定はしていない。

複合的な環境の変化が、
ハチの異常行動を引き起こしたと考えている。

そのひとつに農薬がある。

現在の農業は農薬なしには成立し得ない。

畑にはたくさんの農薬がまかれている。
人体に影響のない量とされているが、
それが蓄積したらどうなるのか。

タバコも、一本で死に至ることはない。
慢性的な摂取が体に害を及ぼすのだ。

ハチの食べ物は蜂蜜だと思う人が多いと思うが、
実際にハチの子が食べるのは花粉である。

花粉はたんぱく質で、蜂蜜は糖質。
花粉に含まれた農薬が蓄積し、
世代を重ねるごとにその影響を受けている可能性が高い。

実際に、イミダクロプリドという農薬を与えられたハチが、
巣に戻れなくなるという異常な行動を起こした例がある。

また、先にも述べたとおり、
ハチが蜜を集めるのは以前のような
牧歌的な光景の中で行われるのではない。

受粉のために、
いわば人間の経済活動の一環に組み入れられているのだ。

ハチが効率的に働くために、
養蜂家はシロップを与えることがある。

だが、これではハチの生育に必要なたんぱく質をとることができず、
糖尿病に冒された子が増えるだけ。

農薬、ダニ、免疫力の低下、経済効率優先の飼育法。

さまざまな要因により、
ハチの体内にはたくさんの病気が隠されている。

このままハチがいなくなったら、世界はどうなるのか。
花が失われた世界、植物の恵みがなくなった世界…。


この本の評では、多くの人が
レイチェル・カーソンの沈黙の春を引き合いに出している。
現代版の沈黙の春だというのだ。

ハチの生態にも詳しいので、昆
虫が好きな方にも楽しんでいただけると思う。
考えさせられることは多いが、ぜひ読んでおきたい一冊。












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2009年09月28日

マイケル・ジャクソン裁判 あなたは彼を裁けますか?






文句なし。
面白かった。訳もいい。

マイケル・ジャクソンが
少年に対する性的虐待で訴えられた裁判の記録。

マスメディアとは何かを考えさせられる。

マイケルに性的虐待を受けたと訴えたのは、
ギャバン・アルビーゾという少年だ。

ギャバンはかつてがんを患っていた。
症状は重く、医師もさじを投げかけていた。

病床で、ギャバンはマイケル・ジャクソンと話をしたいと望んだ。

彼をマイケルにつないだのは、地元のコメディアンだ。
マイケルは彼に電話をかけ、「絶対に良くなる」と断言した。

マイケルは支援を惜しまなかった。

ツアーで世界中をまわっているときも、
携帯でギャバンに電話をしていた。

マイケルの住まい、ネバーランドにも招待した。
アルビーゾ一家のために、マイケルはリムジンを迎えにやったのだ。

マイケルは子供が好きだった。
たくさんの子供たちをネバーランドに招いていた。
子供たちは好きなものを食べ、
映画を見、遊園地のアトラクションを楽しんだ。

マイケルは子供たちに暗証番号を教え、
自分の住まいにも自由に立ち入らせていたようだ。

マイケルの寝室は広く、おもちゃがたくさんある。

マイケルと眠りたいという子供は少なくなかったし、
彼はできる限りその希望をかなえていた。

ギャバンもマイケルと眠った。

だがこのとき、マイケルのそばにはマイケルの親友がいて、
二人は子供にベッドを譲り、
毛布にくるまって床で寝ていた。

マイケルの性的虐待が取り沙汰されるのは、
バシールという英国人ジャーナリストのドキュメンタリーが
原因となっている。

バシールは人のいいマイケルに取り入って、映像をとった。
マイケルは彼を信用し、庭にある「恵みの木」の秘密を語っている。

その木に登るとインスピレーションが湧き出し、
かの名曲が生まれたというのだ。

だが、バシールはマイケルの信頼に応えなかった。
子供がマイケルと眠ったことを、意味ありげに報道したのだ。

この後、実はギャバンたちは反論ビデオを作製している。

ビデオの中でギャバンたちはマイケルを父のようだと賞賛した。
事実、医師も見放した病気からギャバンを救ったのは
マイケルである。

そのようなビデオを作っておきながら、
ギャバンたちはマイケルを訴えた。

法廷で彼らは、あのビデオは偽物だと証言する。
そして、ネバーランドに「監禁」されたとまで主張した。

この本は、裁判の証人たちの証言で構成されている。
ネバーランドの従業員は、
ギャバンたちが帰りたいときに家に帰れたと言う。
リムジンで送っていった記録もある。

また、ギャバンたちが日に日に傲慢になり、
勝手に酒を飲んだり、マイケルに金銭的に頼り切っていた、
たかっていたことも暴露される。

母のジャネットが社会福祉を
不正に受け取っていたことも明らかにされた。

この本で考えさせられることは、
メディア報道のあり方であると最初に書いた。

マスコミは、彼が有罪であることを望んでいた。
スキャンダルは売れるからだ。

マイケルに有利な証言は報道されなかった。

マイケルが体調を崩し、病院からパジャマで駆けつけたときは
変人扱いする記事を書いた。

ファンに押されて車に登ったときも、
ただ奇異な行動として報じるだけだった。


この本を読んで一番印象に残ったことは、
マイケル・ジャクソンの優しさ、人の良さだった。

英国人ジャーナリスト、バシールを信頼し、
初恋を恥ずかし気に語るマイケル。

無邪気に遊ぶ子供時代を持てなかったことの寂しさから、
純粋に子供たちを愛するマイケル。

マイケルは、移動に利用するジェット機では、
ワインをコーラ缶に入れて飲んでいた。

子供たちが同乗することもあったため、
アルコールを飲む姿を見られたくなかったのだ。
なんつー気遣い!

テレビで言われてるのとぜんぜん違うやん、ねえ。

それほど多くはないが、肌についての記述もある。
彼は白班病という、白い斑点が広がる皮膚病を患っていたようだ。
あの白いメイクはそれを隠すためのものだった。

長い、分厚い本だけど、
マイケル・ジャクソンのファンの方にはぜひ読んでいただきたい。
そして、報道のあり方について疑問を持つ方にも。

力作。
良書。













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