平日日刊話題の本の情報をお届けします。
自己啓発、料理、動物、経済、趣味のコレクション、
一緒に本を楽しみましょ♪
2007年08月25日
最近、憲法9条の改正についての議論がときどき聞かれるようです。
本屋さんでも9条に関する本や、戦争に関する本がよく並んでいる。
私は戦争なんかいやだ。体験談なんかを読むたびに思う。
だって庶民は苦しいだけみたいなんだもん。
さて、ではその戦争とは何なのか。
戦争学なるものを紹介しているこちらの本、読んでみました。
「病気に勝つなら医学を学ぶことと同じように、
真に平和を欲するなら戦争を学ばなければならない。
戦争は外交で得られない妥協を戦場で獲得するのだ。」
冒頭に、イギリスの戦略家リデル・ハートの言葉を引用している。
国際社会を構成する単位は国家であると著者は言う。
国際連合や、国際法は拘束力を持たず、
具体的に行動するのは国家だからだ。
国家同士は常に対立関係にあり、
地政学的、国体の対立、国力の不均衡などの原因で
衝突するのが常である。
人間同士なので、情緒的な問題が戦争に発展する場合もある。
戦争をとらえるのに、社会的な役割ではちがうアプローチがある。
庶民にとっては、平和を希求するのであれば、
社会学的な見地から戦争を眺めることが必要である。
指導者は、兵たちを鼓舞するためのカリスマ性がなくてはならない。
また、国家戦略として、
近隣に強国を作らせないという勢力均衡政策を
採ることも必要である。
わが国は第二次世界大戦において敗北を喫しているが、
その際にアメリカに文化的に占領されてしまった。
ちなみに、無条件降伏という言葉がありますが、
これは基本的に軍隊のみに適応する言葉なんですって。
軍隊を無力化することは戦争の終結として当たり前のこと。
ですが、国家を無条件で降伏させるということは
今までの歴史ではありえなかったこと。
この辺の言葉の違い、知らなかったので勉強になりました。
第二次世界大戦は、有色人種の白人種からの差別への戦いであり、
日本はその先鞭を切った、誇りを持って語ってもよいことである。
国土そのものを防衛線とするのは浅薄な考えであり、
太平洋において日本が戦闘を行ったのは決して侵略ではない。
現在も、石油を輸入に頼る日本としては
アジア海域での安全が死守すべきラインである、と著者は説く。
好戦的であれ、という本ではない。
むしろ、生き残るために、誇りを失わないために
戦争を直視しようという内容。
賛否はあると思いますが、まずその議論に加わるために、
なかなか読み応えのある一冊でした。
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2007年07月26日
著者、山本譲司氏は菅直人氏の秘書を経て
都会議員、衆議院議員を務めるという経歴を持つ。
その彼が、政策秘書給与の流用事件を起こしたのが2000年。
2001年に実刑判決を受け、400日あまりの獄中生活を送る。
本書で何度も繰り返されるのが、
「議員であった当時、福祉政策に取り組んでいたと
自分では言っていたが、
国会で論じられている福祉政策は
実に皮相なものでしかなかった。」
「セイフティネットなどと言っているが、
実のところずさんな網でしかない。」などということ。
実際にその目で刑務所での生活を見て、
現実と政治の落差を実感したというところであろう。
その彼が、もっとも今関心を寄せ、社会的にも運動を行っている
のが障害者の犯罪者に関する問題である。
読んでいてやりきれない。
刑務所には障害者で刑に服している人がたくさんいる。
そして、その大半が帰るところがなく、
刑務所にいるほうがよほどましだといって再犯を繰り返す。
人に言われたことを否定できず、
おうむ返しにするしかない知的障害者の人たちは、
警察の取調べで警察の思い通りの調書をとられてしまう。
また、それを食い物にするような暴力団の姿も描かれている。
彼らを養子にすることで、障害者年金を取り上げる
「父親」がいるのだという。
日本の福祉では、日常生活ができるかどうかということで
障害のランクを分けている。
よって、日常生活はできるが、
その他の援助が必要な人たちが福祉の網からもれることが多い。
障害を抱えながら、誰からも助けてもらえず、
パンや自転車を盗むという軽微な犯罪で
刑務所に送られる障害者たち。
そして、刑期を終えたとしても受け入れる施設はない。
その現状に寒々としたものを感じざるを得ない。
刑務所にいる障害者には、国の予算が
一人当たり270万円ふりわけられているそうだが、
その更正プログラムもまともに機能していないそうだ。
自分が犯罪被害者の立場であったらやりきれないだろう。
しかし、犯罪を犯さざるを得ない人たちが生み出される現状にも
やはりなんともいえない思いがある。
実例や著者の体験談が多いので、読みやすい文章になっている。
あまり知りたくない世界でもあるが、
日本のひとつの現状としてできれば
たくさんの人に読んでもらいたいとも思う。
この本の著者が言いたいこととは少し違うと思うが、
こういう人がもう一度政治家になってくれれば、と思う私である。
週末の選挙、まじめに考えよう。
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硬派!社会派系
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2007年07月21日
よくできたミステリーを読むようなスリルがある。
「アメリカ人は四種類しかいない。
超金持ちと、仕事のプロと、貧乏人と、社会的落ちこぼれだ。」
と、本の冒頭からばっさりアメリカを伐ってみせる。
投資で生活ができる超金持ち、
そのまわりでコンサルタントなどをする仕事のプロ、
かつては中産階級だった貧乏人、
そして、社会保障に頼って生きるしかない落ちこぼれ。
アメリカ人はこれらに分類できるのだという。
アメリカ人は、メイキング・マネー・イズ・グッド、
つまり、お金儲けはいいことだと信じている。
逆に言えば、お金を儲けられないのは怠け者だから、
ということになるのだ。
そして、当の貧乏人や落ちこぼれは、
「自分が怠け者だから」
お金がないのだと思っている。
はたしてそれは真実なのだろうか。
比較的歴史の浅いアメリカで、
どのようにして特権階級が成立したのか、
著者は丁寧に述べている。
レーガン大統領の時代、軍備拡大を掲げながら
所得税は大幅に税率を引き下げた。
その代わり、社会保障税を上げ、
これによって投資でお金を儲ける富裕層の税負担が減り、
労働収入でお金を得る一般市民の税負担があがった。
クリントン大統領の時は、株価、不動産価格の上昇で
やはり富裕層の資産の積み上げを加速させた。
そしてブッシュ大統領は、イラク戦争をやってのけ、
石油・軍需関連企業の利益を膨大なものにした。
こうやって、富裕層とそれ以外の人たちの差は広がるばかりである。
しかし、アメリカでは成功者は、
いわゆる下克上がこのまれるので、
成功した人たちはその出自を明かそうとはしない。
結果、少数の本当に
下層階級から成り上がった人たちが有名になり、
それは誰でも努力すれば成功できるという、
アメリカ人の楽観的思想に影響を与えている。
ハリケーンカトリーナで被害を受けた黒人たちは、
南部の綿花産業が衰退する折に、
産業の交代ではなく、戦争によって開放されてしまった。
そのまま、何の対策も出来なかったせいで
(社会問題にならなかったため)、今でも放置されたままだ。
日本の格差は労働報酬の格差、アメリカの格差は資産の格差、
とまったく違う格差社会を見せつけられる。
知的好奇心をしっかり満足させてくれる。
現在のアメリカを知ろうと思う方には必読の一冊です。
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2007年04月12日
ルワンダというと、
凄惨な虐殺があった恐ろしい国、
というイメージが私には今ある。
この本は、そのルワンダの虐殺の生き残り、
イマキュレーさんという女性の手記だ。
最初は、とても幸せな、
ごくごく普通の家庭の光景から始まる本書。
この国も、恐ろしい国だったのではなく、
普通の庶民が暮らす国だったのだ、
私たちと同じように生活している人たちがいたんだと
改めて思い知らされる。
地域の人たちに慕われる父と母。優しい兄、かわいい弟。
そんな家庭環境で、イマキュレーはすくすく育ちます。
女の子だからといわず、両親は彼女に
最高の教育を受けさせるべく努力してくれます。
それに答えて、一生懸命勉強するイマキュレー。
けれど、国内では二つの民族の争いが、
次第に表面化してきます。
ルワンダにいる民族は、長い間支配階級であったツチと、
その下にいるフツという二つの民族に大別されます。
けれど、長い間で混血が進み、
イマキュレーは特に意識することもなく成長してきました。
しかし、彼女が大学生になったとき、
とうとうフツの反乱が起こります。
ツチを皆殺しにしてしまえ、ツチを根絶するんだ!
こう叫んで、フツ族がツチ族を虐殺し始めます。
なんで?イマキュレーにはフツ族の友達もいる。
ツチの容姿(一般的には背が高い)をしたフツの親友もいる。
昨日まで近所で仲がよかった人たちが
彼女たちに襲いかかってきます。
父親は、彼の保護を求めて家に集まったツチ族とともに殺され、
彼女は仲がよかったフツの牧師を頼ってその場を逃れます。
それから、そこに逃れてきた7人の女性と
トイレに隠れ続けました。
何度も家捜しをするフツの虐殺者たち。
彼女は神と対話することで必死に希望にすがります。
九死に一生を得たものの、家族はみな殺され、
すっかりやせこけてしまった彼女。
それでも、習ったことのない英語を独学し、
国連で仕事を得るまでに。
私は今のところ何の宗教も信じていない。
けれども、神の存在を信じることで、
こんなに強く人間はなれるのだろうか。
彼女の強さには圧倒される。
脱出後、彼女は肉親を殺した人物に対面します。
そして、彼を許します。
彼女の話を聞いて、
長い間ナチスを憎み続けてきたユダヤ人女性が
救われた、という話が載っていて、思わず涙しました。
許すこと、希望を持つことの強さ。
感動したかったらぜひ、この本はおすすめ。
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硬派!社会派系
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2007年04月04日
フルフォード氏の本は何冊か読んだんだけど、
どうしても、いわゆる「トンデモ本」のような気がしてた。
彼がこの問題に興味を持つようになったのは、
中丸薫さんという人から
一枚のDVDを渡されたのがきっかけだ。
「911ボーイングを捜せ」というそのDVDには、
9.11の同時多発テロの不可解な点をまとめられています。
中丸氏にDVDをみるように言われ、最初はこう思う。
「ユダヤ、フリーメーソン、宇宙人…。
わけのわからない陰謀説に付き合う暇はないよ。
勘弁して欲しいよ」。
今回、この本の中で氏本人がこう言っているので、
本人にも「トンデモ本」に見られている自覚はあるんだろう。
しかし、実際にDVDをみて、彼は衝撃を受ける。
私も、一つ一つが説得力を持っているので、
同じように感じてしまう。
本当に9.11はアラブ過激派によるテロだったのか?
この本によると、民間機がビルに突っ込んで、
ビルが崩壊したというのはとても不自然なことらしい。
鉄筋のビルに飛行機が突っ込むと、
飛行機が潰れるのが普通なんだそうだ。
これは航空関係者が証言している。
また、熱で鉄筋が溶けるなんてこともありえないらしい。
ある映像では、飛行機が突っ込んだビルの穴のところで
助けを求める女性の姿が確認できる。
鉄が溶けるほどの高熱だったはずなのに、人間が生きている…。
それならどうしてビルは倒壊したのか。
ビルを倒壊できる方法はひとつ。
それは内部から爆薬で爆発させること。
ちなみに、ビルのオーナーは
このテロの直前に莫大な保険をかけ、
事件後に大金を手にしたそうです。
オーナーはブッシュ人脈に近い…。
9.11陰謀説は、インターネットでは
いろいろなところで議論されている。
しかし、新聞やテレビは全く報道しない。
そして、9.11を扱うサイトは次々と閉鎖されている。
9.11陰謀説を唱える人間の中から死者も出ている。
映画、マトリックスを例にとって、
私たちがマスコミに見せられているのをバーチャル、
インターネットの中の情報をリアルの世界だと言っている。
はやく真実に気づいてほしい、と何度も訴えている。
アメリカが、利益誘導のために過去に何度も
戦争を故意に引き起こしたこと、
軍事産業を支えるために戦争が必要なこと、
そして、そんな世界を変えられるのが日本であるということ。
読んでいると、頭がひっくり返りそうになる。
じわじわと背筋が寒くなる。
ちょっと違う世界をのぞいてみたい、
そんなときにいかがでしょうか。
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山谷とかいて「さんや」と読む。
ここには日雇いで仕事をしている、
ホームレスの人たちが集まっている。
その町で、病気で治る見込みのない人たちの
宿泊所を作った人の記録。
ホスピス、「きぼうのいえ」の施設長の方が書いた本です。
山本さんは、20代をいわゆるニートのような状況ですごす。
その山本さんの人生の転機となったのは、
日光ジャンボ機の墜落事故でした。
事故で肉親を亡くし、悲しんでいる人たちをテレビで見、
うちひしがれる人たちのかたわらにある人生を歩みたいと思う。
キリスト教を学び、仕事についてみるものの、
理想と違う現実に納得できず退職。
そんな中、奥様の美恵さんと出会い、
山谷でホスピスを作ることを決意する。
お金もない、土地もない中から、寄付を募り、
なんとかオープンさせたきぼうのいえ。
余命わずかな人たちの希望になれば、
という思いではじめたものの、
善意だけが空回りする現実に何度も打ちのめされます。
なにしろ、相手はいろいろな事情を抱えたホームレスの人たち。
集団生活になじめなかったり、
悲しい生い立ちのせいで
人間不信を抱えたままの人たちばかりで、
なかなか一筋縄ではいかないのだ。
それでも、ややあって心が通じ合うことの、
なんとも言えず美しいこと。
職員に悪態をつきながらも、
「あの人たちがおれの親なんだ」という老人。
「ちゃんと食事をしましょうね」といわれて、
人から気にかけてもらったことがはじめてと泣き出す男性。
もとやくざの田中さんは、取材に来たカメラマンに
「あんぱんを買って来て」という。
カメラマンは、覚せい剤の隠語だと思い、
「どんなものですか」と問う。
「甘いやつだ」と言われて安堵するカメラマン。
痴呆症でもある田中さんは、
スタッフに「ママ」と甘えてみなに愛されていた。
ここにいるのは私たちと同じ、ごくごく普通の人。
ほんの少し、人生の歩き方が違っただけで、
私たちだっていつあっちに行くことになるかもしれない。
著者の情熱には頭が下がる。
が、彼も決して器用な人間ではない。
どちらかというと社会には適応しきれない人間だと思う。
そんな人たちが、失敗し、試行錯誤しながら必至で運営している
きぼうのいえ。
こんなところが、社会にあってもいいと思う。
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2007年03月04日
外国にお住まいの経験があり、
外国に比べて
日本の問題点をいろいろと指摘している
マークス寿子さんの最新著作。
どうしてもクライン孝子さんとごちゃまぜになってしまう私。
クラインさんはドイツ、マークスさんはイギリス。
忘れないようにしないと。
両者とも、あまり系統だった論文調の文章ではない。
「ああなのよ、こうなのよ、まったく変なのよ!」という感じ
の文章なので、嫌いな人はきらいだろうけど、
私はぼけーっと読めるのでけっこう好きだ。
今回、この本で強く主張されているのが
少子化と女性の働き方について。
女性が外で男性と同じように働くことは
果たしていいことなのか?
こんな疑問を投げかけています。
今まで、男性と対等であることを目標としていた女性運動。
けれど、そのおかげで、
女性は育児と仕事の両立という厳しい状況におかれている。
ネットで子供の保育状況を確認し、
足りない時間をモノを与えることで埋めようとする。
ビデオをかけているとおとなしい、という理由で、
毎日テレビの前に座らされてる子供がいる。
子供は、生んだら一人で育っていくというものではない。
母親と親密なコミュニケーションを持ち、
人間関係の基本を学ぶ。
集団生活の教育が必要なのは3歳以降であって、
それまでは安心できる
一人の人間の保護下にいることが大事だそうです。
生んで、フルタイムで保育園に預けて働くことが
「カッコイイ」日本の風潮。
だけど、あきらかに無理があるこのスタイルに、
イギリスでは疑問の声が上がっている。
子育てを大事な仕事として認識する。
家事と育児をしていてなにが「カッコワルイの?」という
若い女性が増えているということです。
また、イギリスでは育児は女性だけの仕事でありません。
力のある男性が、すすんで子供を抱っこするのだとか。
こうやって考えると、日本が少子化社会になるのは
当然のような気がしますよ。
他にも、拝金主義に陥った日本と、
お金持ちが社会に寄付などの還元をするイギリスとの比較、
自己中心的な若い学生、子離れできない親が増えたこと、
昔の景観を守ろうとしない日本。
さまざまに日本の問題点をあげています。
もともと、ものすごい格差社会であるヨーロッパ。
格差はあるが、勝ち負けはない、
という考え方が面白かったです。
生まれつきのお金持ちにはかなわないし、
また、お金持ちには寄付や、
家屋の維持などの社会的責任が課せられる。
日本のように、お金さえあれば好き放題してもいい、
というわけではありません。
仕事はそこそこ、家庭と趣味を大事にする暮らし。
そこには負けはないのです。
思いついたことを全部しゃべっちゃった、
みたいな本ではあるものの、
考えさせられることも多かったです。
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2007年02月17日
パンドラの箱を開けると、
たくさんの災いが世界中に飛び出した。
そして、最後に残ったのは希望だった。
こんな神話がありますが、その意味、
私最初わからなかったんです。
でも、最近ちょっとわかるようになってきた。
いやなことがたくさんあると、最後には希望しか残らない。
別の言い方をすると、希望は最後まで残る、ってことかな。
家がない、お金がない、水もない、社会的経験もない。
そんな貧しい女性たちに、
小額のお金を貸し出す銀行があります。
バングラデシュのグラミン銀行を事例にとって、
マイクロクレジットについて詳しく書かれた本をご紹介。
マイクロクレジットとは、先に述べたように、
貧困地帯の女性に融資する制度。
ほんの2千円から2万円程度のお金だそうですが、
それがなくて困っている人たちが世界にはたくさんいる。
貧困層が対象だからといって、
「援助」でお金を与えるのではありません。
融資を受けるのは5人で一組が原則。
女性の地位が低いこの国で、男性が組に入ると
女性の意見がきかれなくなるため、
女性だけで5人組を作ります。
それから、二人の代表が有料の研修を受ける。
口答試験に通らないと融資を受けることはできません。
返済も5人が連帯責任を持って行います。
職業訓練はしません。
基本的に、「生産技術は持っている。資金がないだけ」
というのが銀行のスタンスです。
実際、ほとんどの人が、ミシンを買い、
家畜を飼い、
紅茶を仕入れるなど、
何らかの手段で経済状況を好転させていっているようです。
融資を受けるのをやめる人のほどんどは、
家庭やグループ内でのトラブルが多く、
返済不能になったのは約10%だそうです。
自分のお金を手にして、変わったことは何か。
女性の地位の低い国で、自分に名前があることを堂々と主張
できるようになったこと。
貯蓄を始めたこと。
物乞いをやめようと思えたこと。
子供を学校に通わせられるようになったこと。
実際に、女性たちに会って書かれた本なので、
いきいきとした彼女たちの姿には大変励まされます。
私もがんばろうじゃないか。
そう思える一冊。
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2007年02月08日
アル・ゴア氏は元アメリカ副大統領。
ジャーナリスト出身の政治家です。
以前書いた「地球の掟」という本でも
環境問題を扱っていました。
前作が論文だとすると、
今回の著作はプレゼンテーションといったところでしょうか。
カラーの写真、グラフがいっぱいで、
視覚で、地球の危機を訴えています。
それにしても、温暖化ってこんなにひどいことになってるのか。
改めて愕然とさせられる。
30年前の写真と現在の写真を比べてあるページがあるんだけど、
30年前は氷だらけだったところが茶色の荒地、というのが
けっこう多いんだなあ。
たとえば、南米のパタゴニア氷河。
有名な写真らしいですが、一面の氷原だったのが、
今ではきれいな湖に。
いや、きれいなんですが、
ここが以前は氷河だったとはまったく想像できない。
他にも、アルプスの雪原が緑の高原になっていたり、
アフリカの川が干上がって砂漠になってしまっていたり。
また、去年アメリカを襲った台風についても言及。
あれだけ大きな規模の台風が起きたのも、
温暖化の影響だと言っています。
去年、アメリカでは台風が頻発し、
台風につける名前のストックがなくなってしまったんですって。
このまま地球が暖かくなり続けると、
両極の氷が解け、水面があがる。
土地を奪われた避難民が一億人にもなる、
というのにはぞっとします。
水没すると考えられる地域の地図も示されています。
生物が生まれてから、
二酸化炭素は常に吐き出されてきたわけでですが、
その排出量は20世紀に入ってから激増している。
それにともなって、
地球の気温もかつてないほどに高くなっています。
温暖化は地球の活動の一環で、人的な影響だけではない。
そんな論調もありますが、このグラフを見る限りでは、
不自然な主張に思えてしまう。
こんな地球の危機を、どうしてゴア氏は訴えるのか。
それは、身内の人間を失いかけ、
また失った経験からのものだそうです。
ゴア氏は姉を亡くしていますが、死因は肺がんでした。
10代から喫煙を始めた姉。
煙草と肺がんの因果関係は明らかだったのに、
「みんな死ぬわけじゃない」などと、
「不都合を直視しなかった」せいで死なせてしまう。
また、お子さんが事故に遭い、
瀕死の重傷を負ってしまう事件がありました。
そこから奇跡的に回復した息子を見て、
「絶望せずに、まだやれることはあるはず」
だと思ったそうです。
確かにね。
必要ないのにテレビをつけて、灯油をいっぱい燃やして、
大きな車に乗ってドライブに行って。
そんな生活をエンジョイしてる私たちからすれば、
資源の枯渇とか、地球の温暖化って「不都合な真実」。
きちんと目を向けて、やれることをやろう、
というメッセージです。
二酸化炭素削減条約に署名しないブッシュ政権を、
しっかり非難もしています。
自分が政権にいないんだもん、どんどん批判しちゃって。
資源浪費王国アメリカを。
巻末には
・使っていない電気製品のスイッチを切る
・白熱灯を蛍光灯に変える
などなど、
家計節約にも役立つ身近な温暖化対策が載せられています。
写真が多いので、一度ぱらぱらめくってみてください。
けっこう考えちゃうかも。
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2007年01月26日
上海生まれで、日本の大学で学んだ著者が、祖国中国の真実を書き出した本。
文章としては特に難しくもなく、
こんなこともあるんだよ!あんなこともあるんだよ!
と告発している本です。
まとまった論旨というより、
ショッキングな例が列挙されている本なので、
箇条書きでまとめてみたいと思います。
・かつての中国共産党は清廉であった。
が、今は、幹部の子女が要職につき、公金を使いたい放題である。
一回の食事に20万円ほどのお金をかける幹部もいて、
それは公金で支払われる。
・国家の人事は賄賂で決められる。
・学校の備品購入は、教師に賄賂を贈っている業者が指定される。
・急な民営化のせいで、リストラされ、
一時休業に追い込まれる労働者が増えた。
庶民の生活は急に不安定になっている。
・助成金をもらえるため、大学は大勢の学生を入学させた。
だがしかし、教育は行き届かず、卒業した学生の就職は困難である。
・農民は農村戸籍しかなく、都市戸籍を持っていないため
都市で労働者になることはできない。
・食の西欧化のせいで、生活習慣病にかかる人が多くなっている。
・都市の汚染水域は90%に達している。
・工事は手抜きされ、堤防が決壊したため調べてみると
中には鉄筋が一本も入ってなかった。
・横領により私財を蓄えた高級官吏は、
海外に資金や生活の場を移している。
・1990年から2005年までのあいだに、
大学の学費が平均50倍以上値上がりした。
中国の家庭において、教育費は大変な割合を占める。
・食の安全はどこにもない。
ホルマリン漬けのタチウオ、
下水道から取り出した油で揚げた揚げパン、
オキシドールで還元されたフカヒレなどが店に並ぶ。
まあ、こんなことがずらずらと書かれている。
中国の現実の姿を知りたい方にはいいかも。
あとがきで著者は、「日本は馬鹿がつくほど、正直で公平な国」
と言ってくれています。
日本でも今、公務員の裏金問題や食品会社の衛生管理の問題が
マスコミをにぎわしていますが、
問題視されるだけマシってことかな?
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現代の日本を、二つの観点から論じています。
まず一点目。リスク化。
昔は、生まれた集落から出ることがリスクで、
それをしなければ人生には大きな問題がなかった。
親の職業を継ぎ、親と同じようなライフスタイルを守る。
それで一生を終えるのが普通だった。
今は、親の職業を必ずしも継ぐ必要はない。
だがしかし、自分で選んでも、それがかなうとは限らない。
また、結婚も、親や周りが決めるわけではないので、
かえって結婚できない男女が増えている。
人生のリスクが増えている、ということだ。
二点目は二極化。
高学歴の人は、高収入の職につきやすい。
人間関係の範囲もそれにともなうものになるので、
結婚相手もそういった人間になる。
従って、高学歴・高収入の強者連合ができる。
生まれてきた子供にも高い教育を受けさせることができる。
一方、フリーター同士が結婚してしまうと、
生活に追われ、教育にまで手が回らない。
そのようにして、格差が「世襲」されてしまう社会ができあがる。
また、かつては、学校を出ればそれなりの職について、
それなりの生活ができた。
だけど今は、学校から就職へという
パイプラインの機能がうまくいかなくなり、
そこから落ちた人間はフリーターにならざるを得ない。
そうして、下流になってしまった人たちから希望が失われてしまう。
それがタイトルになっている「希望格差」です。
恵まれた強者は、希望を持つことができるが、
大半の人にとっては、現代は「努力が報われない機会が多い」。
そういった人たちは、自暴自棄型の犯罪に走ったり、
趣味に逃げるように没頭したりする。
それを単純に自己責任と切り捨てるのは間違いである。
経済的にだけではなく、
心理的なセイフティネットが必要だ、と言いうのがこの本の主張です。
確かにねえ。
この国では首相が格差を認めちゃうような発言をしてるけど、
格差なんてあんまりあってもいいもんじゃないと思うな。
特に、リベンジの希望がないなんて最悪。
去年読んだ、ルワンダの虐殺に関する本、
カラシニコフ銃が蔓延する社会の本、
イラクのバグダッド・バーニングなど、
混乱する社会を書いた本の数々。
その混乱の背景は、
どれも下層階級が虐げられて希望がない社会なんだよね。
そんな国に、しちゃあいけないよなあ。
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2006年12月06日
タイトルは石油の終焉ですが、
エネルギー問題がテーマになっている、
非常に読み応えのある一冊です。
最初に、文明の発達とエネルギーについて書いてあって、
なるほど、
文明の発達は使えるエネルギーの増加によって支えられてきたのが
よくわかります。
石油が、エネルギーの主役になったのって、
せいぜいここ100年くらいのものなんですね。
それまでは、石炭が主なエネルギー源だった。
石炭業者たちはこぞって、石炭の枯渇を認めようとせず、
石油にとって代わられることは否定していたという。
さて、100年の間、エネルギーの主役の座にあった
石油はの現状はどうなのか。
本来、産出量が少なくなる→値段が上がる、のが正常な市場です。
ですが、著者は、OPEC諸国の政治的な駆け引きによって
石油の値段は適正な競争下には置かれていないと主張しています。
現在、OPEC諸国以外でも石油はとれますが、
そのほとんどが「採取が難しい石油」。
この話は本書では繰り返し出てくるのですが、
石油採取の現状は、「低い枝のものはほぼ取り尽くした。
あとは、取るのが難しい高い枝のものだけ」。
たとえば、北極ではまだかなりの石油埋蔵量があるそうですが、
掘り出す技術と、運搬を考えると不可能に近いみたい。
環境にも負担がかかりすぎるそうです。
また、アゼルバイジャンなどでは、
明らかに石油の枯渇が見られるということも書かれていました。
結果的に、イージーオイルを手に握っているOPEC諸国が
石油の価格を調整できる、と著者は言っています。
それでも、エネルギーの需要は依然増加の一途をたどっている。
中国では産業が発展し、
今まで以上にエネルギーを消費する傾向が高まっている。
本書では、現状で開発途上にある代替エネルギーも
いくつかあげられています。
植物を使ったバイオマス、アルコール燃料。
これは最近よく話題になっていますね。
もうひとつ、水素電池というものも開発されているようです。
非常にクリーンなエネルギーですが、
実用化されていないのが残念。
全体的に、石油の将来に対しては非常に悲観的。
実際に、現在の技術で採掘、
利用できる石油は減少の一途をたどっている。
ただ、いろいろな政治的な思惑にとらわれて、
対応策はとられていない。
減少を認めず、ぎりぎりまで生産能力を上げ、
現在の需要に対応する。
そうすると、ある日いきなり、
石油の値段が高騰する事態に陥る、
という論旨ですが、考えるとすごく怖い。
「燃費を考えずにオフロードの大きな車を買ってしまう」
(まあ、そんな人種はアメリカ人くらいだと思いますが)
人には、ぜひ読んでいただきたい一冊。
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2006年11月22日
1996年に第五回開高健賞奨励賞を受賞した作品。
今年、ホテルルワンダという映画が公開されたのを記念して、
装丁も新たに復刊しました。
どうしてもトランスアフリカンレターズと間違えてしまうんだよなあ…、
なんて独り言はおいといて。
新聞社のカメラマンが、自衛隊機とともにルワンダ入りし、
取材したドキュメンタリー。
自衛隊論、国家の武装について、新聞記者について、
やや厳しい目も向けられている。
日本人の記者があまり行っていない虐殺現場も取材していて、
読み応えのある一冊です。
とはいえ、アフリカのことはあんまり知らない私。
ルワンダってどこ?という程度の知識で読み始めました。
ルワンダには大きく分けて二つの部族がいます。
農耕民族のフツ族と、狩猟民族のツチ族。
長い間、その管理能力をもって、
少数ながら国を支配していたツチ族。
ヨーロッパの各国が、ルワンダを植民地にしたときも、
ツチ族を支配層において間接統治を行っていたそうです。
独立国になったとき、政権が交代し、フツ族が支配することに。
やがて、隣国の大統領の飛行機事故をきっかけに、
フツ族によるツチ族の虐殺が始まる。
ツチ族が抵抗し、現在は政権をツチ族が握っている。
報復を恐れたフツ族が、国境を越えたのが難民となっている、
ということらしい。
7人が、ひとつのテントで過ごす家族。
キャンプで行われる質素な結婚式。
外国人ジャーナリストから、通訳などの仕事を得て、
なんとか食いつなぐ人たち。
難民たちの様子がよく描かれています。
何度も手書きの偽領収書を作って、
著者に経費をせがむ少年がいるんだけど、
あっけらかんとしていて読んでいる私にはおかしい。
政府にとって、虐殺現場なんて取材されても厄介なだけ。
妨害を避けて、数時間にも及ぶ登山の末、
腐臭漂う現場を取材したシーンは臨場感あり。
また、小さな山が、実は殺された人間をまとめて埋めた場所だと
聞かされたりもする。
人間の威厳なんてそこにはなくて、
白骨を蹴飛ばしてしまう場面が物悲しい。
新聞記者の方の書いた本ですが、決してお涙頂戴ではない。
アフリカ人相手に値切り、最後は服まで売りつけたという著者。
読んでいてしらけてしまうところがない。
日本の安全保障についても述べていて、
それがとても現実的なのがいい。
こういう人が論説を書いたら面白そうなのに。
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2006年11月20日
海岸に上陸して戦闘がはじまる、
父親たちの星条旗。
なんとなく、プライベートライアンを思い出しました。
ご覧になった方、いかがでしょうか。
さて、戦争って一言で言うけど、もちろん私は戦後生まれで、
戦争を体験したことはありません。
それでは、戦争っていったいどんなものなのか。
Q&A方式で、データに基づいて
冷静に戦争を分析しているこちらの一冊をご紹介。
内容は、
戦争についての基礎事項
軍隊に入って行うこと
戦場ではどんな状態が待っているか
戦場で負傷したらどうなるか
大量破壊兵器
戦闘中に体験すること
敵に捕われる
戦争で死ぬということ
戦争が終わった後の日常生活
これらの項目に分かれています。
こちらの本で軍隊といえばアメリカ軍のことなので、
年金や、軍隊生活でのいじめ、軍人の妻は働くのか、など
興味のある方はぜひどうぞ。
まず最初に、戦争の定義から。
戦争とは、1000人以上が命を奪われる
激しい紛争と定義されているそうです。
知らなかった。
世界が平和だったのは、
人間の歴史3400年の間で268年。全体の8パーセント。
戦闘で人を殺すと罪悪感を覚えるか、という問いには
その可能性が高い。動揺し、怒り、内向的になると答えています。
冷静なだけに読んでいて寒気が走る回答が多い。
まえがきに、
「われわれは戦争を高貴なものにする。
戦争に関する真実を直視するのは難しい。
だが戦争は苦しいものだ」とあります。
実感できる一冊。
映画とあわせていかがでしょうか。
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2006年10月17日
トヨタにみる人材だとか、合理化だとか、
とにかく見習おうという本が多い中、異色の一冊。
週刊金曜日という、広告を載せない雑誌の編集部が取材した、
「広告料をもらっていないからこそ」書けるトヨタ批判本です。
まあ、儲かっている会社が
きれいことだけで経営されているわけがないのは
わかっているつもりですが、
トヨタさんもなかなかすごいですな、というのが感想。
合理化、ムダを省くのがトヨタウェイですが、
その徹底ぶりには驚かされます。
カンバン方式というのが有名ですね。
必要な部品を必要なだけ、必要なときに調達する、というやり方。
要するに、工場に余分な在庫を持たないですみます。
そのために、下請けが在庫を確保し、
工場に持ち込むのは15分前しか許されないのだとか。
予定時間より前に着いてしまうと工場に入れてもらえない。
本社工場の前は、順番待ちのトラックで渋滞がひどいそうです。
また、最近はさすがに改めたそうですが、
少し前まで土日が出勤日でした。(お休みは木、金曜日)
理由は、土日の方が電気料金が安いから。
家庭持ちにはちょっときついですね。
主婦の節約が雑誌でよく取り上げられますが、
あからさますぎて正視できない類のものがありますよね。
そんな感じです。
確かに正しいんだけど…、という。
トヨタの常識は世間の非常識、なんて言葉がありますが、
その下請けに対するやり方も相当きびしいものがあるみたいです。
先に述べたカンバン方式もそう。
笑ったのが、トヨタ系列の大運動会。
系列の企業が集まって、運動会をするそうなのですが、
軍隊みたいな行進をする様子が書かれています。
競技が終わりに近づくと、
「トヨタ本社に、どうやって得点で追いつかないようにするか
(トヨタに勝たないようにする)」
と、こっそり相談しあう系列社員もいるようで、
苦笑してしまいました。
環境に優しいのはイメージだけ、というプリウス。
広告料でがんじがらめになって本当のことは書かないマスコミ。
安全や、人間の幸福よりも合理化を推し進める企業体質。
ある程度はどこも同じかとは思うのですが、
本書から、トヨタという企業の本質を突いていると思った一言を。
「ホンダはのある町は鈴鹿市のまま。
トヨタのある町は、豊田市に名前を変えてしまった」
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韓流というとすてきなラブストーリーの印象がありますが、
社会派の映画もたくさん発表されています。
その中で、やはり南北分断の悲劇を描いた
「シルミド」という作品があります。
ピョンヤンに潜入し、金総書記を暗殺するための秘密作戦。
これが実話に基づいたものだということはよく知られています。
こちらの本は、シルミド作戦に代表される、
国家ぐるみの北朝鮮潜入作戦をたんねんに取材したもの。
シルミドって、映画では、犯罪者が恩赦と引き換えに
訓練にむかうという筋書きでしたよね。
現実は、軍によるスカウトで、
志願兵でも犯罪者でもなかったようです。
当時、韓国はひどい不況下で、
職にあぶれている人がたくさんいました。
そういった人たちに近づき、高給と、引退後の社会的安定、
徴兵の免除を餌に訓練所に送り込む。
たいして高い志があるわけでもないが、ほかにやることもない。
そんな人たちを集めて、過酷な訓練を施す。
そして、北朝鮮に潜入させ、
スパイ行為を行わせることが横行していたそうです。
命を落とす人も多数、引退しても約束していた給料や待遇はない。
秘密の任務なので、徴兵には応じざるを得ない。
また、逃亡したために一生を逃げ続けて過ごした人もいるようです。
韓国は正式には認めていないそうですが、
こういった任務で
一生をめちゃくちゃにされた人がたくさんいる。
元兵士にもインタビューして、丹念にその悲惨さを描いています。
国が存続するために国民がいるのか、
国民の幸せのために国があるのか。
考えさせられます。
先述のシルミド作戦ですが、
実際に作戦に参加させられた人の兄が登場します。
行方不明になっていた弟の名前が、
シルミド作戦参加者の名簿載っていて驚いたそうです。
身内にすら、その生死すら教えないないという恐ろしさ。
うすっぺらい新書がたくさん出ていて、
やっぱりだいたい700円くらい。
同じ新書でも、こちらの取材の濃密さを考えると
その5倍くらいはださなきゃいけないな、と思うほどの良書。
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政治家がいなくなっても、誰も困らない。
政治家に比べたら、回転寿司のほうがよっぽど国民のお役にたっている。
のっけからこの文章。
安倍氏、小沢氏の本を読んできましたが、
河村氏の迫力にはかなわない。
河村氏は名古屋出身。
テレビタックルなどで、こてこての名古屋弁を話してるおっさん、
あの人です。
実家は古紙回収業を営んでおられます。本人も、
議員になるまでフォークリフトに乗って仕事をしていたそうです。
司法試験にいどんだものの、9回(10回だったかな?)
受験して失敗。
その後、一発逆転と、
世の中を変えたいという思いから政治家を目指します。
地元の有力者とのしがらみ、
自民党の海部派に身をよせるものの「ここは二世とエリートが多いから」
といわれてなじめなかったエピソード。
おもしろく書いておられますが、
政治家という階層に入るっていうのは大変だなあと実感させられる。
視点が庶民なので、問題意識の持ち方に共感が持てます。
地元の歴史ある高校の校舎の取り壊しには、
「戦争に耐えたこの校舎を耐震構造にするというが、
そこには工事にからむ利権しかない」。
また、地元の干潟のをごみ処理場にする話に関しては
「ごみ屋の自分がいうのだからまちがいない。
ごみはきちんとリサイクルすればゼロになる。
結局ごみ処理場の話は中止になったが、
名古屋にごみがあふれたという話はきいたことがない」。
議員という職業に関しても、高収入でさまざまな特権があり、
世襲してでもやりたい気持ちがよくわかるという。
それに対して、高級億ション並の議員官舎への入居は断り、
議員年金までも固辞するそうです。
(奥さんが大変だ、こりゃあ)
文章がユーモラス、漫談みたいですらあり、読みやすい一冊。
お迎えの黒塗り高級車を断って、
党内のお役をおろされてしまった河村氏ですが、
東京駅構内の回転寿司が大好きだそうです。
東京駅を通られるときにはぜひ、議員の姿を探してみてください。
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もともとマスコミ嫌いだった小沢一郎氏。
民主党の党首になったとき、
周りに、マスコミ対応をしっかりやってください、
みたいなことを言われたときいたことがあります。
本のタイトルは小沢主義ですが、
オザワイズムとロゴがふってありました。
オザワイズム!
つい最近、日本改造計画を読みましたが、
それに比べるとタイトルも文章も内容も、
とてつもなく読みやすくなっています。
読む人を意識しています。
一人称も「僕」だもん。
この時期に出版された本としては、
どうしても安倍氏の「美しい国」と比べてしまうんですが、
私の超個人的な意見としては、小沢氏に軍配、かなあ。
活字も大きく、文章も易しく、
明らかに新書の美しい国に対抗してるけど、内容の重さで勝ってる。
小沢氏は岩手が選挙区でいらっしゃいます。
彼は選挙というと「ドブ板」こそが民主主義の選挙だと述べている。
ドブ板選挙の訪問は川の上流から。
民家の少ないところから、一件一件あいさつにまわる、
顔をあわせて選挙区の人たちと会話をすることを
とても大事にされています。
マスコミは、それは買収のきっかけになる、
といいますが、それは選挙民をばかにしているとも。
農業が盛んな地域の方だからでしょうか、
日本の農業の問題に関してもとても現実味のある問題提起と
解決方法を指南されています。
保護政策をやめること。
資金をばらまくことは、農家の法人化、大型化をすすめるだけだと。
また、外交に関しても、靖国に参拝するのが問題なのではなく、
しないといって「私人として」などと
「うそをつく」のが何よりも問題であるといっています。
小沢氏は田中角栄のもとで育った方のようですね。
中国とのパイプも太く、
靖国に関しても譲らず主張しているそうです。
私が読んでいて反省したのは、選挙の棄権に関すること。
棄権は「白紙委任状をだすのと同じこと、
何をされても文句を言えないということ」。
リーダー論、官僚から政治を取り戻そう、ということに関しても、
また、一党支配が長すぎるこの国に対する苦言も、
安倍氏の提言に比べ、実例、ビジョンが明確。
昨日から政治家の方の本を読んでいますが、
昨日より今日の方が、「現実味」を帯びてました。
明日は超現実、庶民派、まさに人生再チャレンジ議員の方の
本をご紹介させていただきたいと思っています。
乞うご期待?!
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よく売れてますね。
本屋でも常に平積みです。
もうお読みになりました?
週末、だんなが出勤していたので、
久しぶりにゆっくり本が読めました。
そこで、この本を選んでみたのですが、
なかなか読みやすかったです。
文章も平易だし、とても、なんというか
個人が語りかけてくるような感じなので、
へえ、安倍さんって(というと失礼なのか?)
こんな人なんだ、というのがよくわかる。
素直で、まっすぐな方なんだなあ、というのが感想。
祖父の岸首相との思い出や、学生時代、
サラリーマン時代のことについても触れている。
特筆すべきは拉致問題に関して。
マスコミや、他の政治家が知らないふりをしていた頃から、
この問題に関しては前向きに取り組んでこられたようです。
日本人に手出しをしたら、日本が黙っていない。
それをアピールしないと、
ひいては世界に打って出ようとする日本経済にも支障をきたす。
この主張はもっともだと思います。
安倍氏といえば、タカ派の政治家だといわれます。
国家に帰属する意識を、
東京オリンピックや野球のWBCを例にとってあげておられます。
靖国問題に関しては、
国のためになくなった方を国が慰霊するのは当然と主張。
これを政治問題にあげたマスコミについても
厳しい一言を述べていました。
読んでると、外交に関しての内容が多いんだな。
私たちの生活に、重く、そして直接降りかかってくる少子化や
年金問題に関しては、
「年金は、払っても損はない」
「女性も働きやすくしたい。子どもを生み、
育てるのはなにものにも変えがたい」
と、もう少し力強いお言葉をいただきたい。
でも、教育問題に関しては、教師の質について言及していて、
今までの政治家が「教育改革云々」と熟語で語っているのとは
ちょっと違う、とも思いました。
それにしても、この方よく映画をご覧になってますね。
ナショナリズムの問題に関して、
ターミナルとミリオンダラーベイビーを例に取っている。
ミリオンダラーベイビーについては、
結末を書いてしまっているので、
まだ観ていない私は少し腹がたちました。
家族のあり方については、大草原の小さな家
(映画じゃないけど)と三丁目の夕日。
男たちの大和とかもご覧になるのかな?
この前テレビでやってたけど、
大和の出撃自体が間違った作戦上のものであって、
死ななくていい若い人がたくさん死ななきゃいけなかった、
というところも読み取ってほしいなあ。
どうも戦争を美化してるような気がするので、一言、
庶民からのお願いです。
拉致問題の解決、もらえる年金をわかりやすくポイント制で
提示する、教育改革、家族のあり方を見直す、靖国は内政問題、
国家への帰属意識、制限だらけの自衛隊をどうするか。
この本のポイントはこんな感じでしょうか。
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