2008年07月07日

ファイブ くさか里樹







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2008年06月16日

ヘタリア






ネットで大人気らしい、この漫画。
私はこのコミックで初めて知りました。

各国を擬人化し、さまざまな歴史の場面を漫画にしたもの。

遊び好き、女好き、ヘタレで逃げ足が速い、
さらさらヘアでかわいらしいイタリア。

オールバックで目の下にクマ(?)ができている
がっしり体型のドイツ。

黒髪、小柄だけどまじめそうな日本。

こんな感じの、各国のイメージによって描かれた人たちで、
歴史的な事件を漫画にしたもの。

ちょっと例を出してみます。

先の大戦で三国同盟を結んだイタリア、ドイツ、日本。

ドイツと友達になれてうれしいイタリア。
仲間になるための準備として、
ワインとチーズ、パスタ、果物を持ってきた。

戦力にならないイタリアに幻滅し、
ドイツは日本にUボートの製造を持ちかける。

「設計図のままでは無理です」と答えた日本。

だが、小型化し、さらに色は12色を用意。
艦内アナウンスは人気声優が担当するというオプションまでつけてしまう。

一方、連合国側も会議を始めている。
ハンバーガーを食べながら会議に臨むアメリカ。

そんなアメリカを、
「昔はかわいかったのに」と嘆くイギリス。

会議に遅れてきて言い訳したあげく、
「けどそのことに関して反省も後悔もしてねえあるよ」
という中国。

会議に参加しているラトビアは、小さくてうつむき加減で話す、
なんだかかわいい男の子。

「どうしてそんなに小さいの?」とロシアに聞かれて、
「ロシアさんが僕の頭を押さえつけるからです」って。

泣ける。

いわゆる萌え絵、というやつなのかな? 
かわいらしい絵柄だが、線が多くて読みにくい。下描きみたい。

それから、よいエピソードだけを抜粋してるのだろうが、
歴史の順番がばらばらなので、背景が分かりづらい。

でも、エスニックジョーク
(それぞれの民族が持つ典型的な性格や行動様式を端的にあらわすようなジョーク)
としてはなかなかおもしろい。

アメリカが、倉庫の掃除を始める話は泣ける。

イギリスからもらったおもちゃや服をみて懐かしがるアメリカ。

「もう君の弟でも子供でもない。独立する」

と叫んで戦争をしたものの、崩れ落ちるイギリスに、

「あんなに大きかったのにな」

と悲しい表情を浮かべる。

こういうのが、擬人化され、
かっこいいお兄さんの絵で展開されるわけだ。



ヘタリア、サイトはこちら↓
http://www.geocities.jp/himaruya/hetaria/index.htm

このサイト見ると、この本作りは失敗だな。
この漫画のよさがまーったくいかされてない。

本を買わずにサイトを見よう!!! とか言ったらだめですよ〜。





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2008年04月28日

墓場鬼太郎




ちょっと古いですが。
こっそりブームになっているのと、
昨年再版されたのを言い訳にして今日はこちらをご紹介。

ゲゲゲの鬼太郎。アニメ番組としてもヒットし、
ウエンツ君主演の実写映画も作られました。
正義感の強い妖怪、鬼太郎が仲間と協力し、
悪い妖怪を倒す痛快なお話と思っておりましたが。

墓場鬼太郎は、漫画が貸本として読まれていた時代に描かれた、
ゲゲゲの鬼太郎の原点になるお話です。文庫では全6巻。
鬼太郎の誕生の秘密にも触れられています。

それにしても、この墓場鬼太郎は
アニメなどのイメージとはずいぶんちがう。
ちょっと朝から想像したくないようなものを食べているし
たばこは吸うし、絵も不気味な感じがします。

その昔、幽霊は
(この本では妖怪ではなく幽霊という言葉がよく使われています)
地上で平和に暮らしていた。
ところが人間が現れて住処を追われ、数が少なくなってきていた。

その幽霊族の最後の生き残り、
二人の夫婦の間に生まれたのが鬼太郎。
父親は子供が不憫で、見守ってやりたいという気持ちを
強く残したまま死んでしまいます。

その思いが腐った目玉に残り、落ちた目玉が鬼太郎を追って行く。
それが目玉のおやじなんですね。

うえー。まじですか。茶碗の風呂に入っているかわいいお父さん、
こんな「生い立ち」だったなんて!

赤ん坊の鬼太郎は、幽霊族の夫婦の家の隣の男性に拾われます。
男性は血液銀行の社員で、
血液に幽霊の血が混じっていたことを調査しており、
その際に夫婦とは面識があったんですね。

血液銀行というのは、戦後日本であった会社、なのかな。
私も詳しくはないんですが、
当時は生活のために血を売る人が多かったようです。

幽霊の妻は生活のために血を売り、
それを輸血された人が幽霊になってしまったことから、
社員は彼らのことを調べたのでした。

赤ん坊を捨て切れなかった男性は、墓場で生まれた子供に
「墓場鬼太郎」という名前をつけた。

鬼太郎が大きくなるにつれ、巻き起こる不思議な事件。
男性が地獄へ行くエピソード、
鬼太郎が妖怪からカネを取り立てる仕事をするエピソード、
ねずみ男も出てくるのだが、
そこに現代のアニメのようなかわいらしさや爽快感はない。

まだ子供の鬼太郎が、
水神からカネを取り立てる仕事を請け負って、
報酬のことを考えたとき言う台詞。

「1割が報酬だから、1000万とりたてたら100万か。ボロイ!」
鬼太郎、すさんでます。

気持ち悪いんだけど、
じわじわくるものがあって目を離せなくなる。
美しく、快活なものだけが人間のこころを捉えるわけじゃないんだな。

あんまり声を大にしてはおすすめしません。
こっそり読むのがオツというもの。







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2008年03月12日

手塚治虫「戦争漫画」傑作選





漫画、嫌いではないんだけど、古い漫画は苦手だった。
というより、これだけ新しいものがたくさん出ているし、
今さらねえ、という気持ちがどこかにあった。

さらに、手塚治虫というと、漫画といっても
もはや教科書のような気がして、
どこか敬遠していたというのが事実。

それが、ふとしたきっかけで次第に興味が出て、
ブラックジャックを手にとってみたら、これが面白かった。
やっぱり、いい本は時代なんて関係ないんだなあと
改めて思いました。

思っていたら、新書でこんな本を発見。
手塚治虫の作品で、戦争に関連するものを集めた本です。

特高に目をつぶされた絵描きと彼を支える女性の話。「女郎蜘蛛」
非道なナチス将校の、「処刑は3時に終わった」。
日本軍将校が、傷つき、たどり着いた村には
不思議な若い男女がいた。「大将軍森へ行く」

手塚治虫=子供のもの、アニメと、本気で思っていた私の脳みそを、
ブラックジャック先生に治療していただきたい。
性能がよくないのはわかっていたが、
ここまでとは!恥ずかしい!

手塚漫画は非常にシニカルでユーモラスであり、
批判精神に富んでいる。大人の読み物である。

そんなことを今さらいうところがもう恥そのものです。すみません。

さて、最初に収められている「紙の砦」というお話のご紹介。

大寒少年は中学生。学校に行っても、
竹やり訓練か防空壕掘りしかすることがない。

そんな彼の楽しみは漫画を描くことと、
友達の京子ちゃんと話をすることだ。
大寒少年は漫画家、京子ちゃんはオペラ歌手になるという
夢を持っている。

昭和20年3月、見張りをしているところに敵機襲来。空襲だ。

焼夷弾を落とされ、人が焼け死んでいる。
京子ちゃんも顔に傷を負った。大寒少年は思う。
「これ、人間かい?人形が焼けたんじゃないのかい?
地獄ってこんなもんかねえ」

京子ちゃんを連れて逃げる途中、
墜落した飛行機に人々が群がっているのを見つける。
アメリカ人の操縦士を、皆でたたき殺すという大人とともに
棒を握るが、
無残な顔を見た彼は棒を振り下ろすことができなかった。

これは、手塚治虫の少年期の実体験を基に
描いた作品なんだそうだ。

京子ちゃんの存在は創作である。
しかし、傷を負って夢をあきらめざるを得なかった
「京子ちゃん」が、あの時代にはたくさんいたのだ。

手塚治虫は、戦争の体験に強烈なショックを受けた。
そしてそのショックを伝えるために漫画を描いていると
後に語ったそうだ。
そんな人の作品が子供のものだけであるわけなんてない。
ないったらないんだ!

今日は少し感情的ですみません。
ほんと、自分が食わず嫌いだったのが恥ずかしくて仕方がない。

もしそんな方が他にもいらしたら、
お手軽なこの新書からぜひどうぞ!







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2008年02月22日

強気な小心者ちゃん




どうして本を読むんだろう。
私の場合、もちろん知識を得るために読むこともあるけど、
共感できる言葉を探しているということがあると思う。

感情をぴたっと表現してくれる本を見つけると、
「そうそう、そうなのよ」と無性にうれしくなってしまう。

まあそんなわけでこちら。
小心者の日常を描いた本。漫画。誰だって、
「あるある!」とうなずいてしまうことがたくさんありすぎ。

小心者ちゃんがハンバーグを作る。
200グラムでいいお肉なんだけど、なんとなくお得な気になって
特売の500グラムのものを買ってしまう。

牛乳を冷蔵庫から取り出して、賞味期限が切れていることで悩む。
(でも使う。このへんの適当さが「あるある!」)

いざ、形を整えて焼いてみると、中まで火が通っているか
心配で切って中を見ているうちにぼろぼろになってしまう。

やっと完成したら、ハンバーグに気をとられすぎて
他のおかずは一切なし。しかも味はビミョー。あるある!

休日にゆっくり寝ようと思っていたところにかかってきた電話。
出ないのも悪いが、出るもの面倒。
間に合わないことを期待しながらゆっくり受話器に向かって歩く。

そうなの、居留守をする強さはないのよ。

友達の長電話に付き合って、その後はだらだら
テレビを見ながら過ごす。
のんびりテレビを見ればいいのに、後ろめたくなって
ダンベル体操やストレッチをして生産的な気分にひたる。

そうじを始めたものの、アルバムなどを見始めるとやめられない。

そんな小心者ちゃんが焦り始めるのは、
テレビで笑点が始まる時間。
この音楽が流れ始めると焦らされ率30パーセント。

ちびまる子ちゃんで50パーセントになり、
サザエさんが始まると70パーセント、焦らされ率がアップ。

鼻パックをすればのこりカスが顔についたまま、
マニキュアを塗ると指紋がついてあせってしまう。
女性なら誰でも身に覚えがあるはず。

おしゃれなカフェに入ると緊張し、
店で店員さんに顔を覚えられると次に行きづらい。
水をやりすぎて植物を枯らしてしまう。
メールが来ていないと寂しくて、何度もチェックしてしまう。

巻頭にある小心者診断チャートがおもしろい。
ちなみに私は「強気な小心者ちゃん」でした。




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2008年02月14日

だいすき!! ―ゆずの子育て日記




TBSでドラマになっているこのコミック。
私、タイトルをずっと「ひまわり」というのだと
勘違いしていました。

ひまわりというのは主人公の娘の名前。

主人公、福原柚子は軽度の知的障害者です。

物語は、柚子の通う作業所で働く、
やはり同じ知的障害者の草助が
交通事故で亡くなるところから始まります。

両親も知らないうちに草助の子供を身ごもっていた柚子。
周りの反対を押し切って出産し、母になることを決意します。

生まれた子は女の子で、柚子は草助が大好きだった花、
ひまわりを彼女の名前にします。

交通事故で亡くなった草助の手には、柚子へのプレゼントである
ひまわりの花が握られていたから。

いやもう。
基本的に、柚子がトラブルを引き起こし、
周囲の人を巻き込んで解決、
ほんわかハッピーというパターンを繰り返すお話です
が、これがいい。王道だもん。

ひまわりが成長するにつれ、
柚子もたくさんの人たちと接する機会が増えていく。

ひまわりが保育園に入園するが、
まわりのお母さんたちは柚子に偏見の目を向ける。
お母さんの友達ができないのだ。

東京から来た野村さんもその一人。
知的障害者なんてなんだか怖い。

そう思っていたのだが、ふとしたきっかけから、
よそ者である自分に向けられる目と、
柚子を見るまわりの目が同じものであることに気がつく。

本当に、柚子は「アブナイ」人なのかな。

一緒にバザーをすることになって、
要領は悪いけど一生懸命クッキーを焼き、売り歩く柚子に、
次第に共感を寄せていく。

なんだ、ちょっと「天然ボケ」の人なんだ。
子供が大事な普通のお母さんなんだ、と野村さんは思う。

柚子がパン屋で働くエピソードもあるが、
知的障害があるということはこういうことかと知らされる。

パンにチェリーを乗せていく場面があるのだが、
普通の人は適当に飾り付けていく。

が、柚子はその適当がわからない。
3つ乗せてね、と指示をされるとその通り、
生真面目に3つを並べ続ける。

柚子は障害があるけれど、
できるだけ人の助けを借りずに生活をしようと前向きに生きている。
まわりの人たちもそれに感化されながら、
ちょっとずつ柚子を理解していく。

そんなまさに人情劇の王道。

漫画は、取材を綿密にするため休載時期をはさみながら
現在も続いています。

お茶の間で、家族で見るのにはうってつけの題材といえそう。




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2008年01月17日

金魚屋古書店




本屋さんでうろうろしているときに
思わず手にとってしまった一冊。漫画です。

一話完結なのでどの巻からでも読めそう。

「お探しの漫画、あります。」いうのが売りの金魚屋古書店。
漫画を専門に扱う古本屋だ。

最新刊の6巻で面白かったのは
「古本のお医者さん」と「本が好き」。

「古本のお医者さん」では、古本を修繕する男性が登場する。

日本で最も高い値がついている、
藤子不二雄の「最後の大戦」を手にした彼は、
病気の妻の医療費のためにある決心をする。

彼の葛藤と古本屋の友情を描いた話だが、
古本の修繕の技術など、読んでいて非常におもしろい。

「本が好き」は新刊書店に勤める女性の話。

金魚屋古書店の常連、キンコが
アルバイトすることになった新刊書店には
夏目さんという女性がいた。

仕事に厳しく、皆に煙たがられているが、
書店にかける情熱にはすばらしいものがある。

本屋に入って、なんとなくこの店は本が選びやすいと感じる
ことってないですか?

本屋さんにとって、本を並べることはその店の
「伝統芸」であるのだと夏目さんは言う。

お客さんが興味のある本はどんな本なのか、
何が売れているのか。

本を棚に並べていくことを「差し」と言うのだそうだが、
その差しには書店員の知識の蓄積が現れるのだ。

作家のサイン会が行われる日には、
その作家の関連の本を多く並べ、看板を統一し、
さりげなくイベントを盛り上げるための店内に作り上げる。

そうか、居心地のいい本屋さんというのは
こんな努力のおかげなんだな、と改めて感心させられる。

最後、彼女はその新刊書店を辞めてしまう。
新たに彼女が選んだ仕事場がまたいい。

本好きだったらぜひとも読んでいただきたい一編。
これを読んだら絶対に本屋さんに行きたくなってしまう。

他にも、古書店が地震に見舞われる話、
ボーイズラブ漫画が好きな女の子とホストの恋愛話。

どれも漫画が大好きな人たちが登場する心温まるお話になっている。

あー、本が好きだー!




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2007年11月02日

ドラことば




うう。泣いてしまった。
ドラえもんってこんなに感動的な話だっけ?
いや、そういえば昔、映画の「のび太と竜の騎士」でも
相当泣いたなあ、と懐かしい気分になった。

こちらは、雑誌「もっと!ドラえもん」と
HP「ドラえもんチャンネル」に、
読者から寄せられた心に残る言葉を集めた本。

読んだことがある、聞いたことがある、というものばかり。

子どもの頃は何気なく読み飛ばして笑っていたけど、
こうやって集めてみると本当にいい言葉が多いなあ。

「あの青年は人のしあわせを願い、
不幸を悲しむことのできる人だ。
それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。」

のび太との結婚に揺れるしずかちゃんに、パパが贈った言葉。

「あったかいふとんで、ぐっするねる!
こんな楽しいことがあるものか。」

一日の半分寝ているのび太。自分のことを考えるうち、
こんな結論に達しました。

「のんびり行こうよ、人生は。」
「あきらめのいいところが ぼくの長所なんだ。」

これらものび太の言葉。
のび太って弱虫でいい加減って子供の頃は笑ってたけど、
本当はマイペースでいいやつなんだな。

そんなのび太を、ドラえもんはこう励ます。

「未来なんて ちょっとしたはずみでどんどん変わるから。」

忘れてはいけないのが我らがヒーロー、ジャイアンの名言。

「正しいのはいつもおれだ。」
「スネ夫の物はおれの物。おれの物はおれの物。」

下の台詞は私もよく応用して使っています。

ドラえもんでは台風やらタンポポやらと
のび太が話をする場面がありますが、
こちらはタンポポがのび太に言った台詞。

「それはいけないわ。 
にが手ならなおさら、ぶつかっていかなくちゃ。」

そして感動のラストシーン。
ドラえもんが未来へ帰ることになり、
心配させないためにも、
一人でジャイアンに向かっていったのび太。

「かったんだよ。ぼくひとりで。
もう安心して帰れるだろ、ドラえもん。」

うわーん!また涙が出そう。

声優さんの好きな台詞、藤子先生の言葉、
読者さんの好きな台詞とエピソードもたくさん。
改めてドラえもんを読んでみたくなりました。




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2007年10月22日

自虐の詩



単行本もあります
http://ameblo.jp/koredoku/entry-10052052146.html



安部寛と中谷美紀で映画化された漫画。
安部寛、パンチパーマでいい味出してますね。

この漫画、かなり古い。中学生だった頃、
父親が好きで読んでいたのを覚えているから相当昔の話だ。

さて、物語はというと。

森田幸江(ゆきえ)と葉山イサオは
小さな古いアパートで暮らしている。
一部屋で、玄関のすぐ横に台所のあるぼろアパートだ。

イサオは無職。幸江が中華料理店で
アルバイトをして暮らしを支えている。

イサオは乱暴者で、ご飯がまずい、
ビールがぬるいと言っては
食事のならんだちゃぶ台をひっくり返す。
パチンコに行くために、なけなしの生活費を持ち出してしまう。

そんなイサオに徹底的に尽くす幸江。
となりの部屋のおばちゃんにお金を借りてでも、
イサオに遊びの資金を渡してしまう。

中華料理店のマスターが幸江に想いを寄せ、
幸せにしたいと言うが、
幸江はイサオに「好きだといってよぉ」なんてすがってしまう。

上巻はひたすらこんな感じ。

書いていると悲惨だが、みなどこかユーモラスで、
ははは、と乾いた、
しかし妙にあきらめたような笑いが浮かんでくる展開だ。
自分がこうなるのはいやだが、
人の不幸な生活は、時には笑えるものだとわかる。

下巻になると少し雰囲気が変わってくる。

とはいえ、幸江が幸薄いのは同じ。

母親が家出をし、借金取りが家に来る毎日。
ぐうたら親父のせいで、小学生の頃から新聞配達をする幸江。

高校に入り、熊本さんという友達ができる。
同じように貧しくて、いじめられている女の子。

高校を出て、故郷を捨てて東京に出る幸江。
そこで、イサオとのなれ初めも描かれている。

そして、感動のラストとなるわけだけれど、
私は、作者が最初からこのラストを想定していたのか
疑問に思っている。

幸江というキャラクターの不幸と、けなげさに
引っ張られて出来た奇跡じゃないかと思っている。

4コマギャグでありながら、不思議に哲学的で、
感動的なラスト20ページ。

幸江はイサオの子供を身ごもる。
母になり、自分を捨てた母を恨んでいた気持ちから開放される。

最後の章は、幸江の書く母への手紙が
モノローグとして語られる。

「この世には幸も不幸もないのかもしれません。
私たちは泣き叫んだり、立ちすくんだり…。
でもそれが幸や不幸ではかれるものでしょうか。

幸や不幸はもういい。どちらにも等しく意味がある。
人生には明らかに 意味がある。」

一度は裏切った熊本さんと再会し、涙を流す幸江。
貧乏で、学校の鯉まで盗んでいた隈本さんは結婚して
幸福になっていた。

別になんてことない、生きるのが下手な
負け組の女性の話である。
しかし、どこか共感し、幸江と一緒に泣き笑いしてしまう。
不幸にも、幸福にも、意味はある。




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2007年09月28日

兄帰る




失踪して3年、野田功一の消息は、
事故死したことで家族に知れることになった。

彼に関った人間、母、妹、弟、婚約者。
彼らはいまだに過去から解放されていない。

彼が何を考えていたか、どうして失踪したか、
そして自分は彼の死にどう対峙するのか。

空白の3年間の、功一の足跡をたどることでその答えを探そうとする。

功一は、一定の場所にはとどまらず、
風来坊のように日本を旅していた。

婚約者は丹沢にやってくる。
まじめで、仕事熱心だった功一。映画がきらいと言っていたはず
なのに、そこで彼は、映画が好きだと話していた。

和歌山温泉には妹が訪れる。
功一たちの父は、借金保証人になって失踪していた。
父の代わりに大学をやめ、働いてくれた兄、。
そんな兄は、この温泉の人たちの記憶に、
やはり優しい人として残っていた。

弟は、兄がしばらく滞在していた老姉妹の家を訪れる。
映画監督になりたい夢を持っていた兄を、
否定した自分のせいだと彼女らに告白する。

母は、功一が最後に会った人物、夫の元を訪れる。
もう他の女性と暮らしている父に、功一は言った。
「おれはあんたを許さない。でも、今のあんたは認める。」

周りの人間は、父親のせいで夢をあきらめた功一に
同情と負い目に似た感情を持っている。

だが、功一はそう思われることを是としていたのか。

あとがきがいい。少し長いですが抜粋してみます。

「世の中に、どれほどの人が、
思い通りの満足いく人生を過ごすことができるのだろう。

人生の収支は死んでみないとわからないが、
赤字でも黒字でも、他人が決算するものではない。

さまざまな事情で人生の計算を狂わされ、
不本意な道を歩む人につい同情するのは自然な感情だが、
それ以上の憐憫を抱くのは傲慢だ。

しあわせ、ふしあわせの収支は、
その人の心の中でつけるしかないのだ。」

最後、皆それぞれに功一の死を昇華し、未来に向かう。

夢をあきらめたとはいえ、それなりに平穏な生活を送る功一の
失踪を描くことで、不本意な人生そのものと、
それを歩まざるを得なかった人間の苦悩を描いた作品。

絵はシンプルと言えばシンプルだが、雑ともいえる。
ですが、それなりに人生を経てきた大人であれば、
きっと胸に響く何かがある一冊。





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まんねん貧乏




わーい。こんな楽しい本、久しぶり。
読んでて楽しい。うらやましい。いっそすがすがしい。

帯に書いてある。
「年収15万円。なんとかしのいでいます。」

36歳、女性。独身生活を謳歌したいがために、
結婚をせずに過ごしてきたが、
とうとうニュージーランド人の男性と結婚。

お金を使わない遊びと妄想、昼寝が大好き。
へたくそだけど家具カーテンも作ってしまう。

貯金はする。月々貯めたお金でやりくりし、
キャッシュカードはあまり使わない。
何のためにお金を貯めるかというと、無職になるためだ。

バイトをして、無職になって、
絵を描こうと思いつつ昼寝をして。
そんな生活。

それでも、気が弱いのでNHKの集金が来るとお金を支払ってしまう。
買物に行こうとしていたところに出くわして、
今夜のおかずがなくなってしまうこともある。

ヨーグルトの空き箱に貯金をして、美容院に行こうとする。
意気揚々と、普段はかないスカートをはいて自転車に乗ったところ、
後輪にスカートが巻きついてぼろ布みたいになってしまう。

情けなさ満載である。

バイトもする。

マニュアルだらけのファーストフード店では撃沈。
常連さんには何か一言話しかけたいと思っても、
マニュアル以外のことは話してはいけない。

水商売を始めてみると、ママが気を使って、
「娘に買ったんだけど」と
さりげなく洋服をプレゼントしてくれる。

本は文庫本しか買わない。
増えてきたので整理しようと古本屋に行くと300円で買い取られる。
後日、もったいなくなって再び買いに行き、
450円の値段で買い戻してしまう。

友達から遊びの電話がかかってきても、お金がないので行けない。
おごりときいても、電車代がないから行けない。

お金を使わない遊びだったらできるのである。

靴下を丸めてカーリングをしてみたり、
エアギターに興じてみたり、
派手目のメイクをして踊ったりする。

20代の頃は、こういう遊びにつきあってくれる友達がいた。

でも、大人になると、がんばった分贅沢がしたいものなのかな、
とふと思う。
自分は大人になってはいけない人間だったのだろうか。

いいよなあ。こういうのも。
笑えるけど、まねはできないけど。
お金から自由というのはこういうことかも、と思ったりもする。



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2007年08月30日

絶望に効くクスリ




先週から戦争とか格差とか、
なんだか現代に絶望しそうな本ばかり読んできたので、
ここはひとつ、タイトルもそのまま。
「絶望に効くクスリ」を。

漫画家、山田玲司さんがさまざまな人物に会い、
インタビューしている本。もちろん漫画です。

これを読んでいると、
自分のつまらない悩みなんか
まだまだたいしたことがないんだ、とか、
こんな風に生きている人もいるんだ、といつも励まされる。

この本に出てくるのは、
・解剖学者 養老孟司
日本テレビ 土屋敏男(電波少年のT部長)
ダンサー アキコ・カンダ
・作家 猪瀬直樹
・作家 宮城まり子
・ギタリスト 野村義男
・文筆家 伊勢華子
・ピアニスト 舘野泉 

どの人の言葉も含蓄があり、深く感動できるんだけど、
私が好きな話は宮城まり子さんと野村義男さん。

小説家吉行淳之介と不倫の恋に落ちた女優、
宮城まり子の壮絶ともいえる愛し方。

病魔に侵され、
時にひどい欝になり作品を燃やしてしまったという吉行氏。
宮城氏は言う。
「だからいつでも燃やせるように暖炉を作ったの。」

こんな風に支えるだけの愛情っていうのもあるんだなあ。

そして、その優しさと強さが、
ねむの木学園という障害児を預かる施設を作ることに
つながるのかなあ、なんて優しくも強くもない私は思う。

無邪気なんだ。
ただ、自分のやりたいことをしたの、彼女は言う。

無邪気といえば、野村義男もそうである。

野村義男。ええ、私の世代のアイドルですよ。
アイドルのヨッちゃんが
地味なギタリストになっていたのを、一時は笑いはしたが、
今では十分に成功したといえるのではないでしょうか。

ただギターが好きなだけ。

仕事がない時代にはそれなりに苦労もしたようだが、
それでもそう言って笑う。

貯金をはたいてギターを買って、
残りが120円くらいになったと言って笑う。
好きなことに没頭して笑えるというのは素敵なもんだと思う。

他にも、左手だけでピアノを弾く舘野氏。
世界の子どもたちの言葉を集める伊勢氏。
道路公団に命がけの戦いを挑んだ猪瀬氏。

こんな人もいる。
暗いニュースばかり読んでいると、
私みたいな凡人はすぐにやけっぱちになってしまうけど、
決して世の中いやなことばかりじゃない。

後ろ向きになってるひまなんてないな。
そう思える一冊である。



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2007年07月03日

LA QUINTA CAMERA〜5番目の部屋




ポップなイラストのような画面。
白が多くて、洗練された印象を受ける。

舞台はイタリアのとあるアパート。
住人はみんな独身の中年男である。

家主のマッシモ、
街角で歌を歌っているルーカ、
トラックドライバーのアル、
ストライプスーツに口ひげ、個性的なチェレ。

部屋が5つあるので、ひとつあまったその部屋に、
留学生を受け入れている。

デンマーク人のシャルロット、脚本家だというおばあちゃんなど、
留学生も個性豊かで、いろいろな出会いと別れがある。

アパートを舞台に繰り広げられる一話完結の短編マンガ集だ。

ある日、アパートに短期で部屋を借りたいという男がやってくる。
イラストレーター志望。
彼女とともにこの町にやってきて、
二人で住める部屋を探しているのだという。

ルーカはその日も街角で笛を吹いていた。
ルーカを写真に撮りたいという女の子が現れ、二人は仲良くなる。

アパートに帰ったルーカは、
イラストレーター志望の男とも親しくなり、
男はルーカの絵を描き始める。

ルーカは彼女に恋をしている。

でも、彼女はイラストレーターの恋人だった。

あっけない恋の終わりに、ルーカは服を着たままシャワーを浴びる。

彼女とのこと、忘れようとしてるんだろうなあ。
でも、彼女と過ごして楽しい気分になった思い出も、
全部忘れたいのか?と、マッシモが問う。

泣きながら「ううん。」と言うルーカ。

とってもシンプルで、後味のいいお話が納められている。

実はこのオノナツメという漫画家さんのことは、
このメルマガの読者の方にメールで教えてもらいました。

シンプルな絵、独特の優しい世界観に、
人気が集まっている漫画家さんだそうです。

これは、はまる人ははまりそう。
雨降りの午後、
ゆっくりとコーヒーなんか飲みながら読むには最高の本です。



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2007年07月02日

夕凪の街桜の国




この夏、田中麗奈さん主演で
映画化されるコミック

コミックといっても、A5サイズの薄い本です。

原爆をテーマにした本ですが、
終戦の年を描いたお話ではありません。

2部構成。

1部。

原爆の落ちてから10年後の広島
原爆に会った皆美は今も、
生き残ったことへの自責の念を抱えて生きている。

恋をして、幸せになってもいいと思ったそのとき、
原爆による後遺症で死の床につく。

死ぬ間際、原爆を落とした誰かにむかって問う、
「『やった! またひとり殺せた』とちゃんと思うてくれとる?」
という言葉が重い。

2部。

皆美の弟、旭は疎開してたため被爆しなかった。
広島に戻り、そこで知り合った女性と、東京転勤を機に結婚する。

やんちゃな姉七波と、優しい弟凪生という、
二人の子供にも恵まれるが、妻は原爆の後遺症で死亡。

成長した七波は、父旭が
普段と違う行動をとっていることに気がついていた。
電話代が急に高くなり、休日はどこかへ出かけている。

ある日後を追うと、父は長距離バスに乗っていた。

そこで出会った幼馴染の女性と、七波はバスに乗り込む。

バスが着いた先は広島。
そこで父は、いろいろな人を訪ねて歩いていた。

途中で父を見失った七波は、
幼馴染の女性が凪生と結婚をしようとしていたが、
彼女の両親に反対されていることを知る。
凪生の原爆の後遺症を心配してのことだ。

東京に戻り、帰宅途中の電車の中で父に会う七波。
父は、七波に、広島で死んだ姉のことを
知っている人に話をききに行ったのだ、という。

淡々とストーリーが進む。

ラストシーンも、七波が父に、
「凪生、結婚するかもよ」と言うと、
父が、
「そんなことよりお前のほうが心配だ。
おれの合コン仲間紹介してやろうか?」などと、
明るい最後である。

にも関わらず、感動と、とても悲しい感情が残る。

戦争が、原爆が、生き残った人たちの生活にも
影を落としているのがひしひしと伝わってくる。

何がこの人たちの幸せを奪ってしまったんだろう。

しみじみと考えさせられる一冊。
これは読む価値大の一冊です。

絵もきれいなので、男性にも女性にも安心しておすすめできます。




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2007年05月15日

ひなたの狼




いろいろなドラマ映画
漫画の題材として取り上げられている新撰組。

今回、そんな中で一風変わった漫画をご紹介。

表紙の絵が、きれいな女性のような人物。
はあ、まーた沖田さん女みたいに描かれてるんだな、
なんて思っていると、土方さんのほうでした。
これは斬新。

現在5巻まで出ていて、最後は芹沢鴨の暗殺まで。
これで完結となっているのがあまりにも惜しい。

ストーリーをざっとご紹介。

江戸で道場を開いている近藤勇のもとに集まった若者たち。
京都で将軍を護衛する浪人を集めているという話を聞いて、
上洛する決意を固める。

しかし、京都についてみると、清河という浪人が、
外国人を打ち払うために再び江戸に帰ることを主張する。

大多数が帰っていく中、近藤一派と
芹沢鴨という水戸浪人の一派だけは京都に残った。
これが後に新撰組と呼ばれる集団になる。

彼らは会津藩が身元を預かることになり、
京都の護衛の仕事をはじめた。

残った芹沢は乱暴な男で、商家に入っては金銭をせびり、
遊郭の代金を踏み倒し、
呉服屋が取り立てによこしたお梅を無理やり自分の女にしてしまう。

大阪では相撲取りと伐り合いの大喧嘩を演じ、
乱暴狼藉の限りを尽くす芹沢。

そんな芹沢を、土方は暗殺することに決めた。
江戸から一緒に来た、沖田総司、原田左ノ助らとともに、
眠っている芹沢に襲いかかる…。

司馬遼太郎の、新撰組血風録で読んだことのある
エピソードが多い。
奇をてらった新撰組ではなく、じっくりと丁寧に、
歴史を描こうというのが作者の意図のように思えます。

絵はきれい。髪型が現代風
(土方はおかっぱ、沖田もさっぱりした短髪です)なので、
違和感を覚えつつも読みやすい。
ただ、ちょっと人物の見分けが難しいかな。

私が気に入ったのは沖田総司。
いつも女性みたい、もしくはかわいらしい少年剣士として
描かれる沖田さんですが、
今回は背がひょろっと高く、やや目が離れていて、
ひょうきんないでたちです。

実際に、文献によると色が黒く、ひらめみたいな顔だったという
話もあるらしいですし。

土方像にしてもそうですが、
従来のイメージを壊したというところでは面白いかも。

ほんと、5巻で終わるのは惜しいなあ。
私としてはこのナイーブで繊細な歳さんが、
函館で奮戦するところが見たい。

銀魂、ピースメーカーで新撰組に興味を持った方、
ぜひこちらもどうぞ。



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2007年02月17日

IS―男でも女でもない性




ISとはインターセクシュアルの意味。
生まれつき、男女両方の器官を持って
生まれた体を持つ人のことです。

その難しい問題を、優しく描いたこの作品。
一応女性向けの漫画ですが、
絵がきらきらしてるわけでもないので、
男性でも読みやすいのではないかと思います。

ISとして生まれた春。
サッカーが好きで、
男の子の格好をしているほうが精神的には安心できる。

高校生になり、どちらかを選ばなければいけない時期になった
春の葛藤と、周囲の人たちの変化を描いています。

自分の性を隠さずに、
学校の友達にISを知ってもらおうとする春。
理解者はいるものの、「変わった子」と見られます。

女子として入学したものの、やっぱり納得できなくて、
男子の制服を着て登校することにする。

春の家族が、春の性別のことも含めて
子供をまるごと肯定してあげている様子に、
読んでいて感動します。

どちらでなくても、春は春。
お母さんが素敵なんだ。

そんな春に影響されて、少しずつ、
人は一人一人変わっていていい、
と思い始める人たちが増えてきます。

思春期を迎え、同級生に恋をする春。
それでも、自分は男でもなく女でもない。
学校では異色の存在である自分にかかわらせる訳にはいかない。

一方、春に、最初は親友として、
次第に恋愛の対象として惹かれていく
伊吹には向かい合いたくない過去があった。

自分の姉が障害者で、
「普通じゃない人」と一緒にいることを拒んでいたのだ。

春に出会い、自分の弱さを知った伊吹は、姉に会いに行く。
春に向き合える、強い自分になるために。

同じISでありながら、ISであることを認めてもらえない美和子。
最初は遠巻きに、次第に春を理解していく友達。
春の周囲の人たちが、少しずつ変わっていく様子がいい。

現在連載中。

普通って何?と全編で問いかけている作品。

と同時に、春の一途な思いと、
伊吹の不器用な愛情がかわいらしく、
恋愛漫画として楽しんでいます。

読んだあと、ちょっと元気になれる、素敵な作品です。



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2007年01月24日

パーマネント野ばら




去年西原さんの本を一冊読んで、
それ以来なんとなくはまっています。
どうしたらこんなに悲しくて、おかしい世界を描けるんだろう。

パーマネント野ばらは、村でたった一つの美容院。
女たちがパーマをかけに来て、
ざんげのようにナニカを話して帰っていく。

主人公はなおこ。
ひっそりした美人だ。まわりが怪獣みたいな女ばかりなので、
よけいにそう見える。
なおこの目から見たいろんな女たち、という設定で
いろんなエピソードが語られていきます。

幼馴染のみっちゃんは、金髪で指輪もジャラジャラつけてて、
スナックの経営をしている。
またいい味出してんだ、これが。

私が好きなのはまぐろ屋のひろこちゃんのエピソード。

ひろこちゃんの家は漁港の魚屋さん。
毎日魚くさくなって、まぐろをおろしているのに、
だんなはふらふら出かけていってしまう。

ある日、靴下の場所がわからないだんなを
包丁で刺してしまった。

救急車呼んでくれ、という男に、みっちゃんが一喝。

「あんたは三枚におろされてもしかたがないのに、
その上にゼータクに救急車ですかあ。
大事な話しとるのに、だまっとれ!」

事故ということで通しちゃって、
みっちゃんのスナックに女たちが集まる場面が豪快。

結婚生活20年、我慢の定期預金に金利がついてきた〜!と
大笑いして、
「人生はじけてみるもんやなあ!」と明るいひろこちゃん。
いいわあ。

自分の夫が死にそうになったのを見て、
「今日は天気がいいから死なしたろう」と、
救急車を呼ばないおばあちゃん。

虚言癖があって、結婚後に自殺したけいちゃん。

好きな男に逃げられて、
「好きな人がいない布団は砂をまいたようだ」というゆきママ。

下品な絵、せりふで、女の人生の妙味が描かれている。
このバランスがすごい。

主人公のなおこは、そんな毎日を送りながら、
ひそかに恋人と会っている。
なおこの傷をかわいいといってくれて、
ただ散歩したり、手をつないだりする恋人。

ずっと好きなんてないから、私は毎日うそをつくという
なおこの恋は悲しい。

この漫画で唯一の叙情的できれいなシーンなんだけど、
最後のオチがなんとも言えず悲しい。

傷つきやすくて、たくましくて、したたかで、強くて、弱くて。
女の人生もいろいろ大変なんです。

いいです、この本。ほんと。




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2007年01月13日

機動戦士ガンダムさん (つぎの巻)




赤い彗星のシャアがお尻を出してたり、
キシリアさまのことを紫ババアって呼んでみたり、
ララァにおしおきされたり。

渋いシャアが大好きな方にはつらいかも。

ファーストガンダムを思いっきりパロディにしたこの漫画、
2冊目がでました。

最初は楽しいいつもの4コマ。

面白かったのは、シャアがセイラさんに、
戦場を離れるための資金を贈るあのシーン。

シャアとセイラさんというのは生き別れになった兄妹なんですね。
その兄妹が敵味方になって戦っている。
ジャブローで出会った兄は、妹に戦艦を離れるように説得し、
そのための資金として金塊を渡す。

はずなんだけど。
セイラさんがトランクを開けると、
犬神家の一族のスケキヨの、
水面から突き出した二本の足のフィギュアが。

トランクは次々と送られてきて、
あのマスクをしたシャアが、裸にネクタイだけの
「クールビズ」フィギュア。
次はやっぱり裸のシャアが両手を挙げて「エイドリアン」。
連作で笑わせます。

他にも、ヤンキー仕様に改造されたガンダムや、
出撃をしぶるアムロに、
「ゆうこりんが全裸で戦場歩いてる!」というブライトさん。
ジオンも連邦もいい味出してます。

今回は4コマだけではなく、ストーリー漫画も掲載。

「隊長のザクさん」は、30代以上の、
部下を持つ社会人なら涙なしには読めません(笑)

新型モビルスーツ、ゲルググの若者たちをまとめる
隊長のザクさん。
「ザクがゲルググに指示するのっておかしくないっすか?」
などといわれ、呆然。

ライフルの解体、組み立てを訓練しようとすると、
「おれたちビームライフルなんすよね」
「メンテなんて必要ないっすよ、ぶっちゃけ〜」と、
あからさまにしらける若手ゲルググにまた涙。

夢を見つけたいと、携帯で辞めることを伝える若者に、
「ちゃんとやってたら見つからなくて、
バイトだったら見つかる夢ってなんなんだよ!」というせりふは
ザクさんでなくても言ってみたい一言かも。

ザクさん、いつか報われる日がくるといいな。

1巻目はパワーで乗り切ったパロディ全開でしたが、
2巻目になってやや方向性を模索しているのか。
ザクさん、ハロの中にいるおじさんなど、
哀愁あふれるキャラが目立ってました。

ガンダムファンの方、怒らずに読んでね。



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2006年12月01日

ベルばらKids




私が行く本屋さんでは、いろいろと工夫がされていて、
今週でた新作と、よく売れた本がわかるコーナーがある。

人気本のコーナーにあったので、ふと手にとってみました。
まだ人気あるんだ、この漫画。

近所のお姉ちゃんにコミックをもらって、
その世界にあこがれていた子供の頃。
ふわふわのドレスとか、リボンとか、
まねをした絵を描いたりしてたなあ。

フランス革命をテーマに、
マリー・アントワネットの生涯を描いた、
ベルサイユのばら
その漫画を題材にした新聞コラムが本になりました。

32年ぶりに出た新作の、池田理代子本人による4コマ漫画と、
記者の方の解説コラムの組み合わせ。
漫画は、本編のパロディみたいな感じです。

王宮を守る近衛兵隊長で、男装の麗人オスカル、
アントワネットの恋人、スウェーデン人のフェルゼン、
オスカルの幼馴染で、後に夫となるアンドレ
懐かしい面々が、3頭身になって活躍しています。

朝日新聞の土曜日版で、コラムとして掲載されていたようです。
記者の方がすごく楽しそうな気がするのは私だけ?

錠前作りが趣味のルイ16世。
機械オイルがこぼれて顔についたのを、天然痘と間違えられる。
地味で、政治よりも趣味に没頭ていた性格を、現代ならきっと
アキバ系のオタクだったにちがいない、と解説しています。

また、アントワネットを気遣うあまり、ストレス太りしてしまう
母マリア・テレジアもかわいい。
解説では、マリア・テレジアの偉大な女王ぶりに触れています。

アントワネットとフェルゼンの仮面舞踏会での出会い
黒い騎士を追いかけるオスカル、
町の酒場でけんかしたオスカルを抱えて歩くアンドレ。

原作のファンなら懐かしい名場面が、
これでもかってほどパロディになってる。
往年のファンの方には必見の一冊です。

私、どうしても読みたくなっちゃって、
原作も読み返してしまいました。
小学生の頃は、ドレスとバラしか興味がなかったけど、
改めて感動しちゃった。

平凡で、失礼ながら軽薄な女性であるアントワネットが、
女王であったためにおきた不幸。

当時のフランスの国家財政難の原因は、
アメリカ独立戦争に加担したせいだそうですね。

女王一人の贅沢で国が傾いたわけではない。
でも、外国人である彼女は、
国民の憎悪の対象になりやすかったんでしょうね。

歴史ってほんとはすごく面白い。
世界史を履修したかどうかを損得ではかるなんて
間違ってると思うよ。
なーんて、受験から遠く離れた世代だから気楽に言えるのかな。
でも、ほんと、面白いのに〜。



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